ひなの節句のお茶会

3月3日は、生涯学習センター3階の箕楓軒の月釜のお茶会でした。私がお茶を習っている先生が当番です。去年は当番がなくて、一昨年の夏のお茶会で、初めて裏方仕事に回りました。今回が裏方の2回目です。前回はお菓子係で、大先輩と私一人でしたが、今回は二人で。

着物のNさんは、ひざが悪いので受付係です。雨の予報が出ていましたが、降っていなかったので折り畳み傘をバッグに突っ込んで、畳で座っての作業なのでスカートで出かけました。8時45分にお茶室のカギが開けられて、私たちは水屋の方へ。お客さんは行列を作って9時までそのままです。

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部屋に入ると前日に運び込まれたお茶の道具が置いてあって、早速、大きな薬缶に湯を沸かす人も。私たちが担当するお菓子の白い台の上には、主菓子の入れ物の喰篭(じきろう)や干菓子のお盆が並べられました。

一回に茶室に入れる人数は20数人。7回、お客さんは135人でした。終わるまでお茶を点てる人や裏方は休みなし。お昼には、お茶室でお茶が点てられている間に、お弁当を食べますが、それも皆さん、合間を縫って、食事も中断しながらでした。

水屋の部屋にいたのは20人ほど、内5人が洋服でした。茶室でお茶を点て終わって正客さんにお茶が出されると、裏では温めた20個以上のお茶碗でベテランさんたちが茶筅でお茶を点てて、一斉にお運びさんが茶室に運びます。その前に、主菓子と干菓子の菓子器も運ばれて。

お茶を二服お出した後、お道具の拝見があり、道具類が戻って、30分ほどで一回が終わると私たちの仕事です。戻ってきた漆の菓子器を布巾でふいて、内裏雛をかたどった桃色と緑色のお菓子を5個、7個と奇数個、なるべく色が重ならないように入れます。干菓子はピンクと緑と白の三色の和三盆です。これも、お盆の真ん中に彩りよくこんもり盛り付けますが、崩れやすく、なかなか難しい作業です。これを7回。

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最後の方になると作業にも慣れて少し余裕も。隣のお茶室の会話も聞こえてきます。まず始まる前に、お正客さんが決まるまでの遠慮合戦。誰かがどこかの流派の先生の名前を挙げると早いのですが、みんな末席を狙って大変です。静かになって、お弟子さんのどなたかがお辞儀をしてお茶碗をもって部屋に入りお点前が始まります。少しして先生が替え茶碗をもって入室。

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この日の先生はお茶を点てるのではなくて亭主役。全体の総監督というお立場です。座の代表の正客さんと時候の挨拶から掛け軸の話、道具類の説明などお茶室での役目と、裏方から受付、お菓子の手配(足りなかったら即追加)と83歳の先生には本当に重労働?じゃないかと思います。

最後7回目の人数は少なかったので、エプロンを外して参加してもよいと言われて、他の方たちと一緒に二人でお座敷に、着物姿の一人は廊下に置いたベンチの席に座ることに。お内裏さんの練り菓子は柔らかくてとてもおいしいですし、和三盆は口の中ですぐ溶けて上品な甘さです。

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出されるお茶碗は普段のお稽古で見た立ち雛を描いたものや、普段は見たこともない鮮やかなお雛さんのものも、「永楽」と書いてありました。黒楽や、古九谷風のものや、黒い輪が描かれた大胆な柄のお茶碗も。これは人間国宝さんのものとか。しっかり写真を撮っておくんだったと残念。

掛け軸は「春水満四沢」=春の水が辺りの沢=田んぼ?に満つ=春を表す光景を読んだ春の掛け軸だそうです。お花はきれいな水色のガラス器に見える陶器?の一輪挿しにすっきりと桃の花と椿が活けてあります。

お棚は糸巻き棚に鼓(つづみ)の蓋置。貝の棗(なつめ)は茶杓と一緒に拝見に回っているので、空いた棚には空の小さなツボ(韓国製)が置かれていました。私が写真に撮ったときは空棚でした。

左の写真の薬缶の横のお茶碗は黒楽と古曾部焼きのお茶碗、その横の小さな蓋つきの壺が韓国で求められた鼠色の壺。お点前が終わった後、棗と茶杓が皆さんの拝見に回っている間、糸巻き棚の上に代わりにこれが置かれます。

銀色に輝いている建水(湯こぼし)に鼓の蓋置。錫製の器ですね。タイかインドネシア製かな。茶杓南天の木でできていて,表、裏三か所に南天の実の模様が描かれています。

あとで、控えの間の床の掛け軸(トップの立ち雛の掛け軸)とその日使われたお道具類の箱書きとお道具類の銘などを書いた毛筆の書き物を写してきました。ピントが合っていません。

記念写真を撮った後、私たち三人は帰らせていただきました。着物姿の皆さんやベテランの方たちは残って片づけをなさったようです。お二人はNoさんのご主人が車で迎えに来られるので玄関前で別れて私は歩いて家へ。お天気が持ってよかったです。

お菓子係の責任者の着物の方が、戻ってきた棗にお薄茶を足す作業をしておられました。木製のスプーンで缶の中の粉状のお茶を足して、細い竹の棒で搔き均して山形を作っておられます。「それ、茶筅のですか?」「そう、いらなくなった茶筅の一本を使って、スギヤマに」「スギって、木の杉ですか?」「そう、杉の木の形してるでしょ、三角で」「なるほど、富士山形だと思っていたけど、杉形というんだ」。これで、次回、棗に茶こしで漉した薄茶の入れ方がわかりました。

私は家でお茶を点てるとき、茶こしでお茶をふるって直接棗に入れていました。そうすれば三角錐の山型になるのかと思ったのですが、これが周りに緑の粉が散って後始末が大変。それで、訊いてみました。「そんなことしたらあかんよ。あちこち飛び散って大変やん」と言われました。「どうするんですか?」「紙の上でふるって、それを棗にいれるのよ」「あぁ、なるほど、紙を真ん中で折れば入れやすいですね」。大収穫のお茶会でした。(最後の写真は香合。Naさんと二人で”可愛いね~”。私が「最近、お稽古では出されなくなって・・・」と言うと、「省略されてるよね~」と)