愛知県の愛知芸術文化センターで、8月1日に国際芸術祭「愛知トリエンナーレ2019」が開幕しました。「平和の少女像」の展示は、2015年に「排除された作品」を復活させる試みであり、表現の自由がまだこの国では生きていることを示すための企画「表現の不自由展・その後」は、津田氏の意図に反して、名古屋市長や政府の権力側が締め出す方向で動いているのが本当に残念です。テロの予告があっても、警察が自由を守る側で動いてくれないのなら、もう安倍政権下では表現の自由はないということになりますね・・・これぞ『表現の不自由な国・日本』!
◆ 安田氏はNHKの「100分で名著」の平家物語で解説をされた能楽師さんです:
内田樹 Retweeted
安田登 @eutonie 8月2日
あいちトリエンナーレの従軍慰安婦像、国家の方針に逆らうのはアートではなく反日だ!なんていう人がいるけれども、世阿弥は武士の棟梁である北条氏の見ている前で、武士たちを修羅道に墜とし、苦しんでいるさまを見せた。それを「反・武士だ!」と怒る狭量の人はいなかった。日本人は小さくなった。
山崎雅弘
@mas__yamazaki 8月2日
国際芸術祭「あいちトリエンナーレ」に展示されている特定作品は、別に現在の日本国に対して何の実害も与えておらず、ただ過去の大日本帝国時代の「負の歴史」を一般日本人に思い出させる効果を持つ程度だが、それをあたかも「自分への挑戦」のように捉えて逆上する安倍政権。
想田和弘さんがリツイート
町山智浩 @TomoMachi 8月2日
「あいちトリエンナーレで「表現の不自由」をテーマに慰安婦問題を象徴する少女像が展示されていることについて、菅官房長官は、補助金を交付するかどうか慎重に検討」
とうとう官房長官まで「表現の不自由」というコンセプチュアル・アートに参加。
◆とうとう撤去決定、というかコーナーそのものが閉鎖です。残念ですね。
つい先日、蛙ブログ(「在日一世詩人・金時鐘に訊く(4)」(日韓市民サイドの関係を深める創意工夫を)で、「心ある人たちがあれを融和の像にすればいい。たとえば日本の市民の誰か1人、たった一輪の花でいいから、通りすがりに少女像の前に置いて、黙礼したらどうでしょう」という在日70年、今年90歳の詩人・金時鐘さんの『ひそやかな期待』は無残にも打ち砕かれる日本の現状です。
内田樹さんがリツイート
安田登 @eutonie 8月3日
「テロ予告や脅迫の電話等もあり…」って、日本政府はテロには屈しないはずでは…。「撤去しなければガソリンの脅迫も」企画展中止に知事:朝日新聞デジタルhttps://www.asahi.com/articles/ASM835SDPM83OIPE01R.html
●町山智浩氏が、里山資本主義の藻谷浩介氏の日韓問題に関する発言を取り上げておられます。「嫌韓と反日の応酬で得をするのは誰なのか?」考えてほしい。ほんとうにそうですね。ここは冷静になって、考えるべき時です。
内田樹 Retweeted
町山智浩 @TomoMachi 8月1日
藻谷浩介氏「嫌韓層には『韓国を懲らしめてやれ』という強い処罰感情がある。根っこにあるのは、ストレスに満ちた日本社会の中で抱え込んだ個人的な敗北感。普通の国民は、嫌韓派に同調してしまってはいけない。そもそも嫌韓と反日の応酬で得をするのは誰なのか考えてほしい」
(藻谷氏引用続き)「日韓の対立をあおって得をするのは(国内の不満を隣国に向けさせることで延命を図る、日韓双方の)政治家。損をするのは韓国から昨年だけで2兆円の経常収支黒字を稼いだ、日本のハイテクメーカーと観光関係者。官邸関係者も、嫌韓の人たちも、決してその責任を取りはしない」
◆◆◆全文引用です◆◆◆
【日韓 報復の応酬】 藻谷 浩介さん
2019/7/29 11:00
西日本新聞 オピニオン面
◆傍観 その先にある損失
内心に募る否定的な感情を、他者にぶつけて憂さを晴らそうとする人が増えているように感じる。その最悪の例が、京都での無差別放火殺人かもしれない。
もちろん、そういうところまでいってしまう人は、まだ社会のごく一部だろう。だが犯罪行為ではなく、政治的なトピックの場合には「自分たちだけが正しく、相手だけが間違っている」という一部の過激な主張に、その外側にいながら何となく同調してしまう人が、市井の普通の人にも増えている感じがする。彼ら自身は否定的な感情を大人げなく他者にぶつけはしないのだが、誰かの排他的で視野の狭い行動を「そうはいっても相手の方がより悪いよな」と、何となく許してしまう。
そういう人こそ気付かなければいけない。「相手側から自分たちがどう見えているか」についても考えないと、結局は自らの利益を損ねる可能性があることを。
日本の韓国に対する、一部製品の輸出に関する優遇措置剥奪のニュースを、何となく肯定的に受け止めている人たちは典型例だろう。
◆ ◆
今回、日本政府には「韓国から第三国へ不正輸出が行われている可能性が否定できない」という表向きの理屈がある。しかし、文在寅(ムンジェイン)政権の経済失策で弱り切っている韓国国民の、心中の機微を理解しないままにさらにプライドを傷つけるのは、日本にとっておよそ得策とは思えない。
日本だって自分が当事者でなければ「判官びいき」だ。だから分かると思うのだが、日本の理屈が世界から「弱い者いじめの自己正当化」とみなされる危険性は十分にある。
駆け引きにしてもやり過ぎに見えることから考えて、外務省ではなく首相官邸-経済産業省ラインが主導したのだろうが、それで世界貿易機関(WTO)は通るのか。韓国による東北産水産物の輸入規制をWTOが是認したのは記憶に新しい。連敗した場合、政権に責任を取る覚悟はあるのだろうか。
もちろん、コアな嫌韓層はそれでも満足だ。彼らには「韓国を懲らしめてやれ」という強い処罰感情がある。だがその根っこにあるのは、ストレスに満ちた日本社会の中で抱え込んだ個人的な敗北感を、自分が「強者」の側に立って攻撃することで発散したいという欲求ではないか。
◆ ◆
普通の国民は、嫌韓派の極論に「もっともな面もあるな」と何となく同調してしまってはいけない。
そもそも嫌韓と反日の応酬で得をするのは誰なのか、考えてほしい。徴用工問題で被告にされている、日本企業の担当者は喜ぶだろうか。両国の関係がこじれるほど、いけにえにされていじめられるだけではないか。
輸出規制の対象企業はどうか。韓国企業が日本に頼るリスクに気づき、独自の技術開発にまい進するほど、今の独占的地位を失う危険が大きい。それらに該当しないあるハイテクメーカー関係者も「韓国への輸出減で大損害だ」と漏らしていた。さらにいえば、韓国人観光客が減って九州の誰が得をするのだろう。
半年前の当欄で「日韓の対立をあおって得をするのは(国内の不満を隣国に向けさせることで延命を図る、日韓双方の)政治家」と指摘した通りだ。そのせいで損をするのは国際競争でもうかっている側、すなわち韓国から昨年だけで2兆円の経常収支黒字を稼いだ、日本のハイテクメーカーと観光関係者である。
かかる金銭的損害をもたらしたとしても、官邸関係者も、嫌韓の人たちも、決してその責任を取りはしない。一般国民はいつまで、彼らのことを「何となく許し続ける」のだろうか。
【略歴】1964年、山口県徳山市(現周南市)生まれ。88年東京大法学部卒、日本開発銀行(現日本政策投資銀行)入行。米コロンビア大経営大学院で経営学修士(MBA)取得。2012年1月から現職。著書に「デフレの正体」「里山資本主義」など。