●15日(日)、NHK大河ドラマの「いだてん~オリムピック噺~」が最終回を迎えました。1964年の東京オリンピック開会式と古今亭志ん生(ビートたけし)「富久」がどうやって終わるのか興味津々でしたが、いつもより長めの1時間、収まりきるのか心配なほどエピソード満載の賑やかさでしたが、うまく収まりました。大満足でした。
なるほど最後に神木隆之介くんの”五りん”があんな風につながるとは。母親はハマ(杉崎花)さん、父親は金栗四三(中村勘九郎)の弟子でオリンピックを目指していたマラソンランナーの小松勝(仲野太賀)。学徒出陣で神宮球場で雨の行進をして、満州で志ん生の落語を聞いて「富久」は絶品と言う言葉を残して戦死した小松勝の忘れ形見が「五りん」くんでした。
田畑政治(安倍サダヲさん熱演)の「私のオリンピック」が「みんなのオリンピック」になったのは「私」がオリンピック精神と合致していたからですね。(↓番組スタート時点のキャストの写真。不祥事で途中降板したピエール滝さんの写真も)
最終回、ちょっと顔出し出演者の豪華だったこと。脚本の宮藤官九郎さんもタクシー運転手で出演。スタンドにはロサンゼルス大会の日本水泳陣の斎藤工、林遣都の老いた顔もあり、挙句には加納治五郎と共に五輪招致を目指していた90代の可児が遺影を掲げた姿まで。コンゴの陸上選手二人だけの出場は否応なく、金栗四三と三島弥彦(生田斗真)のストックホルム大会を思い起こさせます。
東京オリンピックが終わった3年後、ストックホルム大会ではレース途中で行方不明になったままの金栗さんに、一通の手紙が。これは話題になりました。これを最後に持ってきました。粋な計らいで55年がかりのマラソンを完走することに。
あの時(64年の東京五輪)は確かに「世界に見せたい日本」がありました。この時の思いが来年受け継がれるのか。私利私欲の「私」しかない首相のもと、アンダーコントロールの嘘と不明な金で呼び込んだと言われる来年の「東京五輪」が何を世界に示すというのか・・・を考えさせて、見事な「オリムピック噺」でございました。
視聴率が最低を更新したとか。
今までは平清盛が最低の一つだったそうです。
あの頃はまだ次男が家から通勤していたころ。
三人で平清盛を毎回楽しみに見ていましたので、
この時も視聴率が悪いと知って意外でした。
●秋の連続ドラマが次々と最終回を迎えています。
・面白かったのが生田斗真主演の「俺の話は長い」(日テレ、土曜日)。ニートが主人公の珍しい設定でしたが、家の建て替えで期間限定で転がり込んできた姉(小池栄子)一家とのドタバタ?毒舌のやり取りが凄まじい。不登校の娘(清原果耶)もかなりのもの。母親(原田美枝子)は、高齢になっての男手は何かと便利でニートも深刻ではない。へ理屈と皮肉の長話が有効なコミュニケーション力を発揮して、不登校の中3娘も登校できるようになり、ぎくしゃくしていた姉夫婦と親子の関係もうまく解決。最後には自分も一歩踏み出してみようかな…というハッピーエンド。
1時間ドラマを二つに割って別々のタイトルをつけるという新しい手法も。プロデューサーに懐かしい櫨山裕子氏の名前。櫨を「はぜ」と読むと知ったのは20年ほど前のことでした。
・「シャーロック」(フジテレビの月9)、現代風のシャーロック・ホームズ(ディーンフジオカ)とワトソン(岩田剛典)が難事件を解決する一話完結でありながら全体がつながっている話。最終回は犯人もろとも海に身を投げる獅子雄で終わりますが、二人の行方は不明。謎解きが楽しいし、間に入るディーンフジオカの奏でるバイオリン演奏もよかったです。
・「G線上のあなたと私」(TBS、火曜)は、大学生(中川大志)と仕事と結婚の両方を失ったアラサー(波留)とアラフォーの主婦幸恵(松下由樹)が真於先生(桜井ユキ)のバイオリン教室でトリオを組んで、最後は、真於先生の結婚式で演奏。幸恵の励ましで8歳違いを克服して二人が結ばれるというお話。
・「グランメゾン東京」(TBS、日曜)。木村拓哉と鈴木京香のおじさんおばさんコンビ。周りを沢村一樹、及川光博、ライバルに尾上菊之助、若手の玉森裕太。途中数回見なくなりましたが、最終回はまだ。三ツ星が欲しいのは何のため、誰のため?という話になり、結局なんとなく見てしまうことに。
・「4分間のマリーゴールド」(TBS、金曜)キリエの同名の漫画が原作で、手を合わせると最期が見えるという特殊能力を持つ救急救命士花巻みこと(福士蒼汰)が血のつながらない姉(菜々緒)の運命を知って、兄廉(桐谷健太)と弟藍(横浜流星)とその母(麻生裕未)との1年の暮らしを描いたドラマ。最後は二人の結婚式の場面で終わりました。結局、倒れても4分間以内に心臓マッサージをすれば助かるというお話ですが、命の限りを知ったとき人は1日1日がどれだけ大切かという真面目な内容。
みことの特殊能力の設定が一寸ついていけない話ですし、ナレーションのフレームがつくと感情移入できない距離を感じます。父亡き後、母親がカメラマンとして家を空けて稼ぎに出る。その結果、長兄廉は家長代行、高校中退して今は警備会社勤務。末っ子藍は家族の料理担当。知り合った一人暮らしの和江おばあちゃん直伝の煮込み料理が得意の料理男子となる。料理の専門学校へ進みたい藍に、廉は社会に出てからは大卒が有利と成績優秀な藍に大学受験を勧めて譲らない。
大学受験の当日、試験を受けずに帰った藍に兄廉はつかみかかる。兄の気持ちは分かるが進路に関しては譲れない藍は追い詰められて、話を聞いてくれないのなら母親に相談すると口走る。小さい藍の母親代わりを務めてきた廉には全てを否定されたも同じ。
やけ酒で二日酔いの朝。前夜姉の沙羅から「好きなことをやるんなら収めるのも自分で」と励まされ、兄のみことからも「自分がもう”ちび助”じゃないことを分かってもらえるようにすれば」と助言を受けた藍は、勝手に受験しなかったことを詫びたうえで改めて自分と将来を信じてほしいと料理へのあつい思いを話し、無口な藍の口癖「おかわりあるから」と言い添えて廉の前にお粥の入ったお椀と匙を置いて学校に出かける。
藍の作ったお粥は二日酔いの廉の体に染み入るような美味しさ。もはや藍は昔のちび助ではないと悟った廉、涙と嗚咽で飲み込むお粥は、廉が背負い込んだ責任を立派に果たせた成果であり、巣立った藍を認め役割を終えた寂しさの混じった味がするに違いないという素晴らしい場面でした。藍の自立と重荷から自由になり諦めていた恋人を追いかける廉の二人を描いた第7話が最高でした。
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