春の連続ドラマの最終回(「あのときキスをしておけば」「着飾る恋には理由があって」他)

 
 
 
Karyn NISHIMURA
 
@karyn_nishi
 
あれ、他の8人は濃厚接触者として扱わないの?
東京五輪事前合宿で来日のウガンダ選手団 空港検査で1人陽性 | NHKニュース
NHK東京オリンピックの事前合宿のため、19日夜、成田空港に到着したアフリカ・ウガンダの選手団の1人が、空港の検査で新型コロナ…

◎先月22日のドラマの最終回(連ドラ後半「桜の塔」と前半終「着飾る恋には理由があって」に観る『インフルエンサー』 - 四丁目でCan蛙~日々是好日~ (hatenablog.com))に続いて、最終回直前のドラマも加えて。録画でCM抜きで飛ばし見したようなドラマは書かずです。

★18日(金)最終回「あのときキスをしておけば大石静脚本。遅い時間なので全部録画で。マンガ家巴(麻生久美子)とスーパーの清掃員田中マモル(井浦新)とが事故で入れ替わるという奇想天外なお話。飛行機事故で亡くなった巴は田中マモルの身体に入って、外見は清掃員の男だけど中身は巴(オジ巴)というややこしいことに。井浦新が男の姿で中身は女性の巴、途中からマサオに戻ったり巴になったり、いつの間にか麻生久美子さんに代ったりという難役を楽しそうに演じているのが見もの。

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巴を愛しているスーパー店員桃地(松坂桃李)と漫画家の元夫(三浦翔平)と清掃員の妻(MEGUMI)と息子、巴の母(岸本佳代子)との奇妙な物語。井浦新の演技がとにかく絶品、絶妙.。巴は自分が書き残した漫画の最終回を書くと消えていく運命。命短し恋せよ乙女というか、限りある命、思い残すことなく生きようということかと・・・思いましたが、最終回、大サービスの結婚式まで。

巴が残した人間関係を桃地は死者からのプレゼントとして生きていける・・・1年後、昇天した巴はくじ引きで一等を引き当て時間制限でこの世に戻る。死者も姿を代えて愛する人のすぐ近くで見守っているという・・・さすがに面白いドラマでした。井浦新さんのあの演技、巴が憑依したオジ巴と田中が演じているオジ巴と、本来の田中マサオと三種類の人間をクッキリ演じ分けることが出来なければ成立しないドラマでも。

井浦新さんと大石静香さん脚本と言えばNHKドラマ「コントレール~罪と恋~(2016年)」を思い出します。石田ゆりさんとの許されぬ恋。夫を殺した人を好きになってしまうという大人の恋のお話でしたが、井浦さんの演技に引き込まれました。本当に何でも演れる俳優さんですね。

NHK今週25日(金)最終回「半径5メートル

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女性週刊誌の記者風未香(芳根京子)の成長ドラマ。先輩記者宝子(永作博美)のフォローの仕方がとても上手。今時の働く女性の様々な葛藤や事件も。先週は就職氷河期の20年後の女性をめぐるお話でしたが、次男が丁度その時期でしたので身につまされる思いで見ていました。

★19日(土)最終回「コントが始まる

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高校の同級生がコントのトリオを組んで10年、区切りをつけて解散することに。最後の1年程をファンとして応援していた姉の里穂子(有村架純)と妹のつぐみ(古川琴音)。つぐみと同居して付き合っている神木隆之介は一年の世界漫遊一人旅に、仲野太賀は恋人(芳根京子)と結婚を前提に付き合い実家の酒屋を継ぐべく酒屋修行とそれぞれの道を。一人菅田将暉は次が見つからない。ファミリーレストランのバイト最後の日に訪れた菅田に再就職を見つけた里穂子は”三人の精魂込めたコントは生き続ける”と感謝の言葉を伝える。1年3か月後、菅田の就職先が決まるというコント仕立て?か現実か?で終わる。28歳のモラトリアムを生きる若者たち、それぞれの旅立ち。同級生3人のやりとりが飛び切り自然でした。

★明日22日(火)最終回「着飾る恋には理由があって

一つ屋根のシェアハウスで隣り合った部屋に住むインテリアショップのインフルエンサー真柴くるみ(川口春奈)と、スペイン料理店を失敗して辞めて、今はミニマリストでキッチンカーでカレーを販売するシェフの藤野駿(横浜流星)、駿のハトコで精神科医のカウンセラー(丸山隆平)と付き合い始めた画家の卵の羽瀬(中村アン)。そして途中から同居することになった真柴の会社の元社長の葉山(向井理)。オーナーの料理研究家の香子(夏川結衣)とよりを戻すために通ってくる元夫(生瀬勝久)。

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心の動きを丁寧に描写する脚本と大胆緻密な演出で、今の社会の誰にでもあり得る仕事と恋の挫折と葛藤を描いて考えさせられます。前半、次々と駿の無理するな、着飾るよりは何もしない方がいいという助言を取り入れて素の自分に近づいていくくるみ。一途に駿を想い自分からハッキリ好きだと告げる男前なくるみと、一度の失敗に臆病になって、真柴の中にはまだ社長がいると遠慮している駿との組み合わせ(ヒーロー、ヒロインの逆転?)は、ジェンダーに捉われない若い人の生き方を提示しているようで面白い。

後半、突然の葉山の恋のライバル宣戦布告?と、くるみからミニマリストなら「後悔も捨てたら」という助言に駿は元働いていた料理店の苦境をシェフとして頑張ることで過去のトラウマの克服に乗り出す。8話では今までの駿とは違って、泊まり込みで店主のテストに合格するため懸命に働く今まで見たことのない駿の姿。二人は次第に気持ちの行き違いを感じる。せっかくのデイトの約束にも連絡がつかず結果としてすっぽかしてしまった駿は翌朝、土下座をして謝罪、テラスの朝食を準備して、これからはスマホをケイタイするからと、駿の側でも心の鎧を脱ぎ捨てる大きな変化。

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最終話直前の9話では、インフルエンサーとして初めての挫折を味わったくるみを駿が初めてのデイトの渓流釣りに誘う。釣りの後、河原で食事をしながら、北海道で店を出す話があることを「マメシバ真柴」呼び改め「くるみ」に話す。「行こうかな~駿と居たい」と話すくるみ。

やっと二人が下の名前で呼び合える関係になれたところなのに、不器用な駿は思い余って過激でストレートな言葉「逃げてない?逃げるな」と言ってしまう。傷ついたくるみは一人でバスで帰ったが誰も居ず連絡を取った葉山の優しさに感情が決壊、泣き出してしまう。駿の本心はかつての自分のように「逃げてほしくない、俺みたいに、問題を解決しないで目をそらして逃げると後悔する。そうなってほしくない、自分の夢をかなえてほしい、くるみには(最後のサイドBのセリフ)」だったのに、あの場で言えなかった。大事な時に思ってもいない言い方をして悔やむことは40代でも、60代でもありますね。

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くるみが最後、葉山の背中の陰で泣き続ける場面と、1話の7年間想い続けた社長の突然の失踪に泣きながら駿が作ってくれたカレーを食べる場面。泣きじゃくりながら、それでもお腹はすいているし、カレーは美味しいしと涙を流しながら食べ続け完食、手を合わせてごちそうさまをするシーンは名場面でした。川口春奈さん、大河ドラマで信長の妻(急遽の代役)を凛として演じていましたが素晴らしい女優さんです。この時泣きながらカレーを食べるくるみを自室に帰る階段の途中で振り返って見る横浜流星さんの一瞬の表情、駿の中で何かが起動した瞬間でした。

さて明日2人が出す結論は? 駿はくるみの実家に行った時「辛い時、言葉をかけてもウソっぽくなる、代わりに隣にいるから」と言ってましたので、北海道で店を出す話は断って東京でキッチンカーを続けてくるみと二人の生活を選ぶんでしょうか・・・

迷い、悔い、再挑戦にしり込みしつつ、互いにぶつかり合いながらも励まし合い助け合って再起を図る3世代のそれぞれの決断と再出発を『食べる門には福来る』を基本に描いたドラマ。毎回料理シーンが挟まれて駿の料理で何品か紹介されますがとても美味しそうで食卓を囲むシーンは楽しそう。

(最後のオフショットはくるみの母親役工藤夕貴さんと初島ロケ)

「不幸な女」呼ばわりされた私たちが『着飾る恋』に最高に癒されるのは、恋以上の何かがありそうだから。 | ハフポスト (huffingtonpost.jp)