豊能障害者労働センター「アフリカ布のサコッシュ(肩掛けバッグ)とスタッフの声」と京都精華大サコ学長の「コロナ問題と日本人」

アメリカのトランプ大統領の滅茶苦茶ぶりが止まりません。日本も大変ですがアメリカも大変。オバマさんの一言、日本の私たちにも通じる一言です:

内田樹さんがリツイート

YoJung Chen @YoJungChen 5月15日

コロナ失策で再選が危うくなったトランプ大統領は手当たり次第の責任転嫁に必死民主党、中国の責任追及の他に突然憎き前任者「オバマ逮捕論」をぶち上げながらもそのオバマが一体何をしたかは一切説明なし

右翼から沸き上がった自分への中傷とデマに対し、オバマ氏はたったの一言「投票しょう」!

引用ツイート

Barack Obama @BarackObama 5月15日

Vote.

◎先日、豊能障害者労働センターの機関紙「積木」が届きました。どうもアフリカ特集みたいな内容になっています。

まずタイトルのような出だしの言葉。ローマ字読みをしてみると「ハラカ ハラカ ハイナ バラカ.   ポレポレ、ンディヨ ムウェンド.」と読めますが、合ってますか?通じますか? スワヒリ語のことわざで、直訳すると「いそげいそげに祝福はない。ゆっくり、ゆっくり、そう、(それが)歩むということ」だそうです。 

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 今年のオリジナルTシャツは、東アフリカの生活布「キテンゲ」の図柄を使って上の写真の馬木さんが絵をかき、字を小泉さんが書いてデザイン化されたものとか。

アフリカ(ケニア)の布の色とデザインは独特で、その布を使って、岩手県大槌町出身の大学生がゼミの先生である文化人類学者の中村先生(東洋大学)のご縁で労働センターを訪問、「人と布のプロジェクト」に参加、今回、アフリカ布のサコッシュの実現となりました。
サコッシュというのはフランス語で、元々は自転車レースで水分や簡単な食料を受け渡す際に使われた袋が始まり。肩にかける小さなバッグのこと。

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◎今回は新型コロナウィルス感染拡大を受けて組まれた「緊急特集」のスタッフの声からお二人の記事を紹介してみたいと思います。

一人目は石原礼さん。初めて見た?のは今から25年前、阪神淡路大震災の年、センターで初ボランティアをさせていただいた時、まだ未成年だったかもしれない色白で金髪の少年がいました。あれ以来、その後事務所に行かなくなり年一回の行事ごとに顔を出すようになった時など、あの頃のままの金髪の石原礼くんを見ました。今はもう青年というより働き盛りのセンターの大黒柱になっておられるのかも。その彼の『声』です。福島の被災地も訪れていますので石原さんにとって福島も他人事ではありません:

コロナ・ウィルスは人災だ。

東日本大震災から九年経った現在、いまだ除染作業が続き、仮設住宅暮らしを強いられる被災者をないがしろにして、ただ暑いというだけで死人が出るような猛暑の真夏に、無理やりにでもオリンピックを開催したい、手柄と名誉と金儲けのことしか考えないご連中が対応を遅らせ、日本中が被災地になってしまった。

 こんな時だけ政治に文句を言う、国の所為(せい)にすると仰る方もあろうが、何を吐かすか。ほとんど権利も補償もないまま、コロナとの戦いと称して義務と自粛と自己責任(感染経路すら自己責任にすり替えられている)だけ押し付けられたうえ、お上の一声で軍隊のごとく足並みそろえる事を強要されている俺たち。何より、放射能に加え疫病の恐怖までさらされる福島の人たち。いま怒らないでいったい何時、怒れというのか。きみだってそうなんだぜ。

 俺たちもそれなりの自粛はしている。けれどもそれは、コロナと戦っているわけでもなく、ましてや、お上の言いなりになってその様にしているわけでもない。うつりたくないしうつしたくない、誰かを傷つけたりしたくないという、人として当たり前の気持ちとしてその様に過ごしているのだ。多くの人たちがそうやって過ごしているのだ。

 俺たちはコロナとは戦わない。怖いから逃げるのだ。危ないことは回避するのだ。争いごとはイヤなのだ。ましてや、戦いたがる奴らに利用されるなど真っ平御免だ。誤魔化されるなよ、皆さん。

                         石原 礼

 ◎もう一つの声は聴覚障害者の方です。もう一月近くも前になるかもしれませんが、吉村大阪府知事が夕方の記者会見でその日のコロナ対策について報告しているときのことでした。マスクをした吉村知事の斜め後ろに手話通訳の方がいます。誰かがツツっと吉村知事の傍に言って耳打ち。吉村知事はハッと気づいたようにマスクを外してポケットに。それからは記者会見はマスクなしです。後から分かったのですが、聴覚障害者の方は口元を見て唇の動きを読んで話を理解しているのでマスクをされるとわからないのだそうです。吉村知事の対応の早さの素晴らしい一面だと思います。さて、次の『声』はその聴覚障害の方です:

「透明マスクがほしいなぁ」

 新型コロナウィルスが流行り出して、どれくらい経つんだろう。

 始めは、「うわー、なんかまた新しい名前のウィルスが流行り出したなぁ」と思っていました。でも、少しずつ日本にもはやり出し、大阪へも。

 まさか、子どもたちが休校になるまで重大になるとは思いませんでした。休校も新学期には、従来通りに戻るだろうと思っていた私ですが、日に日に感染者が増えてきて、イヤこれは、まずいよと思い始めた矢先、「緊急事態宣言」が。下の娘の入学式も延期になりました。

 今回のこの新型コロナウィルスの流行では、気づかなかったことがたくさんありました。

 まず、まわりの人がマスク・マスク!聴覚障害のため、唇や口の動き、顔の表情を見る私は、音のない世界に放り込まれた感じがしました。スーパーやコンビニなどで、「唇を読みたいのでマスクを外してください」といっても、ほとんど身ぶり手ぶりで手を振られたり、X (バツ)と指でされるようになりました。きっとマスクの中では、「感染したくないから外したくありません」と言っているのだろうな。

 知人に会っても、今の世の中、「マスク外してしゃべって」と言いにくくなり、聞こえたふりをすることが多くなりました。そして、その後、いつも「そういえば、なんて言ってたんだろう」と気になり、後悔する日が毎日のように続いています。透明のマスクがあれば唇を読めるし、顔の表情も見ることが出来そうなのに…。

 先日もスーパーで買い物をしたとき、カードに現金をチャージしようと思い、レジの方に「五千円分、チャージお願いします」と一万円を渡したら、レジの方が「…ですね?」と聞きかれましたが「五千円分ですね?」と聞いてくれたとん思い「はい」と言ってカードを返却されたものの、お釣りがありませんでした。「あれ?お釣りは?」と聞くと「〇〇〇…」と何か答えているけど聞こえなかったので「すみません、聞こえないので筆記してください」と言うと、「一万円分のチャージでいいとお客様がおっしゃっていたので」とメモに書かれていました。五千円分と言ったのではなく、一万円といったのかなぁと落ち込んでしまいました。もう、次からはお釣りのないようにチャージしようと決めた私でした。一日でもで早く新型コロナウィルスが終息することを願うばかりです。そして、早く皆の顔の表情や唇を見ながら楽しい話をしたいです。

                        小谷 麗子

 ◎さて、アフリカ特集に因んで最後もアフリカで締めてもらいます。東久留米日記さん

https://higasi-kurumeda.hatenablog.com/entry/2020/05/15/060210のご紹介記事。京都精華大の学長は、漫画家の竹宮恵子さんの後はアフリカ出身のウスビ・サコ学長です。外国人から見た日本の問題点の指摘、さすがです:

・私たちがしっかりできあがっていると思っていたグローバル経済の基盤は、実はそうでもないということがわかりました。各国の本音、国と国の関係性、コストを重視したグローバル経済のもろさが表面化したことを興味深く見ています。

・今回の事態で、日本人の本音に触れた気がします。冷静に見えて他人へのいらだちを募らせていたり、堅い職業の人が、歌舞伎町やパチンコ店でこっそり気分転換したり、表と裏の二面性がある。プレッシャーの強いストレス社会なのでしょうまた「自分ではない誰かがしてくれる」気持ちが強いサービスが整いすぎているのが日本の弱さで、知恵や能力を使う機会がなく、自ら考えて動くのが苦手で他責傾向がある。ただ、わかっているのは、この問題は誰かが解決してくれるものではないということです。

 私たちはこの先もウイルスと生きていかなければならず、それに対応する強い社会基盤をいかに持つかが重要ですこの機会に、他人がやってくれないことを前提に個人の能力を上げ、自分自身や地域でやる覚悟を決めて、人と連帯感を持つしかないと気づけば変わっていくでしょう