河瀨直美監督映画「朝が来る」

◎土曜日、夫が山の会の山行で石鎚山一泊に出かけた午後、23日に公開された河瀨直美監督の「朝が来る」を見に行くことに。自宅から歩いて20分以内にある109シネマズにこの作品がかかるとは思っていなくてラッキーでした。3時半過ぎからスタートだったので終わると6時10分ほど前。辺りは暗く、水中ウォーキングで通いなれた道でしたので急ぎ足で、空を見上げると丁度半月の月がかかっていました。石鎚山は冷え込むかも。観客数10名ぐらいでした。

解説

直木賞本屋大賞受賞作家・辻村深月のヒューマンミステリー小説で、テレビドラマ化もされた「朝が来る」を、「あん」「光」の河瀬直美監督のメガホンで映画化。

栗原清和と佐都子の夫婦は一度は子どもを持つことを諦めるが、特別養子縁組により男の子を迎え入れる。朝斗と名付けられた男の子との幸せな生活がスタートしてから6年後、朝斗の産みの母親「片倉ひかり」を名乗る女性から「子どもを返してほしいんです。それが駄目ならお金をください」という電話が突然かかってくる。

当時14歳で出産した子を、清和と佐都子のもとへ養子に出すことになったひかりは、生まれた子どもへの手紙を佐都子に託す、心やさしい少女だった。しかし、訪ねて来たその若い女からは、6年前のひかりの面影をまったく感じることができず……。

栗原佐都子役を永作博美、栗原清和役を井浦新、片倉ひかり役を蒔田彩珠、栗原夫婦とひかりを引き合わせる浅見静恵役を浅田美代子がそれぞれ演じる。

新型コロナウイルスの影響で通常開催が見送られた、2020年・第73回カンヌ国際映画祭のオフィシャルセレクション「カンヌレーベル」に選出。

2020年製作/139分/G/日本
配給:キノフィルムズ

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◎昔見た河瀨監督の「萌えの朱雀」で鮮烈なデビューを果たした尾野真千子さんを思い出しました。今回はもっと完璧なドキュメンタリー作品のような感じでした。尾野真千子さんにあたるのが中学生で出産することになったひかりを演じる蒔田彩珠さん。どことなく尾野真千子さんに面差しが似ています。中学生の男の子と愛し合うシーンもとても美しく撮られていました。

浅田美代子さんが所長を務める島の施設で出産するのですがここの場面や子どもを求める夫婦たちの前での講演の場面も浅田さんが女優さんだからこれはドキュメントじゃないんだと言い聞かせながら見ています。随所にここはお芝居?というシーンが。

朝斗と名付けられた6歳の男の子が本当に可愛いくて演技とは思えないくらい自然。自然と言えば、皆さんのリアルな演技を引き出すために河瀨監督は仕掛けを用意しているそうです。撮影が始まる前から夫婦や家族としての疑似体験に時間をたっぷりかけ、かつ「順撮り」で進めて、感情や心理に違和感を抱かせない河瀨直美流ということらしい。とにかくリアルそのもので、最後のドラマチックな展開で涙腺崩壊へ持って行かれます。これぞ河瀨直美ワールドなんだと思います。

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夫役の井浦新さん、母親役の永作博美さん、夫婦は自分たちが育ての親で産みの親 ”広島のお母さん”がいることを朝斗には話して育てています。最後にこの朝斗くんの実の母を見つめる顔の表情と瞳がこの映画の神髄です。よくここまで・・・河瀨監督ならではの映画となっています。

朝斗役のかわいい男の子(佐藤令旺くんかな)、巧いと思った浅田美代子さん、そして尾野真千子の再来を思わせるひかり役の蒔田 彩珠(まきた あじゅ)さん。2002年生まれの未だ10代ながらキャリアは長いようです。「万引き家族」はじめ是枝監督作品には常連?とか。来年春スタートのNHK朝ドラ「おかえりモネ」で、清原伽耶さん演じるヒロインの妹役で出演するそうです。これは楽しみです。  

さて、今日は洗濯も終わったので、これからもう一本映画を観てきます。