「脱炭素化って?」/「人新世の『資本論』」著者・斎藤幸平氏によるダイジェスト

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2月21日付の朝日新聞オピニオン面は脱炭素化って?と題した特集記事でした。

  脱炭素化って?

 日本でも2050年までの温室効果ガス排出の実質ゼロ化が宣言され、政財界が慌ただしく動き始めています。

 ただ「実質ゼロ」が達成できるのか、現在はまだ懐疑的な意見も。達成までのロードマップは?

 

 私たち市民が行動すべきこととは? 専門家の話や第一線での動きをもとに、脱炭素社会の実現への道を考えます。 

 ◎その記事のなかに経済思想家の肩書で斎藤幸平氏の記事があり、読んでみると新書の「人新世の『資本論』」を要約した内容になっていますので、新書の紹介としては最適かなと思って書き移してみます。

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社会の共有財産増やせ

  経済思想家、「人新世の『資本論』著者

    斎藤幸平さん(34)

 

 人間の経済活動が地球環境を徹底的に破壊する「人新世」と呼ばれる年代に突入したと言われています。その破壊的な影響の一つが気候変動です。

 菅義偉首相は温室効果ガスの排出を2050年までに実質ゼロにすると宣言しましたが、その対策が「成長戦略」、つまり産業対策になっているのが気になります。というのも経済成長と二酸化炭素ゼロの両立は不可能だと思うからです。

 無限の利潤を求めて成長し続けなければならない資本主義は、地球の資源をひたすら収奪して大量生産、大量消費、大量廃棄の社会を作るシステムです。それが環境危機の原因である以上、解決策は資本主義の中にはないでしょう。気候変動対策を需要喚起のネタにする「緑の経済成長」路線に切り替えても、自然の破壊は続きます。

 環境保全と経済成長の二兎を追いかけられない以上、「脱成長」を発想のテーブルにのせるべきです利潤を生みだすために商品化されてしまった、電気や水、医療、教育といった社会の共有財産を増やすことを提案します。

 マルクスは、こうした誰もが生きるために必要な、社会の共有財産を「コモン」と呼びました。 例えば、市民電力や自治体新電力のように、分散型、地域型、市民参加型で管理する。自分たちの町で再生可能エネルギーの電力を作って、電気代を町に払い、その利益を町のためにどう使うかも、市民のなかで議論する、といったことです。

 気候変動が進めばいくら経済成長をしても、何億人もの難民が生まれ、食糧危機に陥り、世界秩序も不安定になる。これは豊かさではない。それに普通の人たちにとって、日本の経済成長率と自分の暮らしの豊かさは別物です。

 米ハーバード大学などの研究によると、「3.5%」の人々が非暴力で本気で立ち上がると、社会が大きく変わります。3.5%の人々がまず飛び出して資本主義の先にあるものを開拓し、いけるぞとなったら一気に社会のシステムが変わっていく。そんな変革を期待しています。

                           (聞き手・神田明美

 

🔲この記事の下にアンケートの声が掲載されていますので、その一部も:

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2050年では遅すぎる■社会の考え方変える時

若者の声に耳を傾けて

 2050年実質ゼロでは遅すぎます。それでは私たちにとっては思考停止と同じなのです。今すぐにでもゼロを達成しないと私たちの未来を守るのは難しいと思います。産業革命以降の地球全体の平均気温の上昇が1.5度に達するまであと10年しかありません。今、地球環境を守るために世界中で行われている若者による運動「Friday For Future」は私たちにとって出来る最大限の行動です。どうか私たちの声に耳を傾けて欲しいのです。(千葉県・10代女性)

社会の根本的価値観変えて

 人類は化石燃料を使いすぎている一方、その事実に気づいていないふりをするか、無視を決め込んでいるようだ。不自由、不都合、不便になると嘆いている間はまだ奈落の底に向かうことになる。社会の根本的価値観を変えていくほかに、人間社会の22世紀いや21世紀後半は無いと思っています。(滋賀県・60代男性)

エネルギー、政府や自治体主導を

 エネルギー分野は政府や自治体など公的組織が主導しないと温暖化対策は進まないだろう。個人の努力には限界がある。一方で、社会の考え方(経済成長してこそ是など)も変換するべき地点に来ているのは確実で、そこはメディアが果たせる役割が大きそうだ。大阪府・20代女性)

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