◎息子と一緒にお正月を過ごしていたので、7日の報道特集は録画していました。元旦だったかに放送されたというNHKの「欲望の資本主義2023」の再放送もこの日にありましたので録画。10日の夕方、息子を東京に送って次の日はヨーガの初日でした。やっと、午後、一人になって、録画分を再生して見ました。壕を案内しながら、70年前と同じことになるのではないか。国民はあっても住民はない。また結局壕に逃げ込むことになり、本土の人間に追い出されるのではないかという男性。「戦争」も「戦」も島の言葉にはなかったという石垣島の女性の言葉が胸を打ちます。私が生きているうちに日本が沖縄に対して同じようなことを繰り返すことになるとは・・・日本の政治に心底ガッカリしてしまいます。情けない。あの戦争は、あの沖縄の戦いは、なんだったの…本当に、こんなことが繰り返されては、無駄死になってしまいます。繰り返させていいのでしょうか。
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ナレーション(N) : 2022年12月16日、岸田政権は安保関連3文書を閣議決定した。その中で敵のミサイル基地を直接叩く「敵基地攻撃能力」を「反撃能力」と言い換えて保有することを明記。岸田総理は専守防衛の範囲内だと強調した。
岸田首相「憲法、国際法、国内法、そして専守防衛をはじめとする基本的な姿勢はこれからも堅持していきたい」
N:相手の攻撃の着手を確認した段階で反撃能力を行使するとしているが、どの時点を着手と判断するのか、ミサイル基地をどう特定するのか、あいまいな点は多い。着手の判断を誤って攻撃すれば、国際法違反の先制攻撃になる危険性をはらむ。
防衛費はGDP=国内総生産の2%に倍増、5年間で43兆円に膨れ上がり、アメリカ、中国などに次ぐ規模となる。
敵基地攻撃が出来る潜水艦やイージス艦に搭載する巡航ミサイル「トマホーク」をアメリカから500発購入するという、そして、南西諸島には敵の射程圏外から発射する”スタンド・オフ・ミサイル”を配備する計画だ。
そのミサイル基地の建設が進む場所がある。
沖縄石垣島 これまで基地が無かった島は、静かだった。パイナップル畑に工事の音が鳴り響く。3月の完成を目指し、陸上自衛隊の駐屯地が建設中だ。
敵基地攻撃が出来るミサイル部隊などが配備されることになっている。
基地建設の記録を続ける石垣市の上原正光(69)さん。
年末から急ピッチで工事が進んでいるという。
「そこにライトがあるでしょ。夜間工事用。突貫で夜間も工事しているってこと。
現場監督が疲れ切っちゃって『休みたいけど休めない』ということでね。『上からかなり圧がかかっている。急がされている』と言ってた」
N:上原さんが撮影したドローンの映像を視ると6ヘクタールの敷地に、屋内射撃訓練施設、隊長舎、弾薬庫などが配置されているのが分かる。
「ここは、だいたい30戸にも満たない集落。ここは、マンゴー畑。
ここら辺にヘリパッドが出来る」
隣接する敷地で暮らす當銘由彦(74)さんに話を聞いた。
「ここが私が利用している仕事場。こっちの道路半分が自衛隊側」
N:自衛隊の基地が出来ると攻撃されるのではと警戒していた。
當銘さん「歴史が物語っていますね。軍事基地をつくっておくと、相対する国からやられるのは当然のことですね。つくる側は危険なものが出来るところに住んでいる人の気持ちを本当に理解しているのかってことですね」
「基地をつくりたいという政権に反対しても、どうしようもないだろうなと思う。
無力、非力・・・」
藤井幸子(75)さん「抑止力だという形で軍備を強化する方向はかりにしか動いてきていないから、それは違うでしょうと。市民としては不安がそのまま積み残されて行っている状況なので、ちゃんと解決してほしいと、少なくともちゃんと説明しなさいという思いですね」
N:更に石垣市議会では先月12月19日の第10回定例本議会で賛成多数で可決された意見書がある。岸田総理あての「陸上自衛隊石垣駐屯地(仮称)への長射程ミサイル配備に関する意見書」で、「石垣市議会は『平和発信の島』『平和を希求する島』との決意のもと議会活動をしており、自ら戦争状態を引き起こすような反撃能力をもつ長射程ミサイルを石垣島に配備することを到底容認することはできない」と訴える。
自民・公明が優勢で基地賛成が多いとみられた石垣島の市議会においては異例の事態だ。
提案者の花谷史郎議員「石垣が(ミサイルを)撃った場合は、攻撃目標になるというのは間違いない話。その判断に島民は関われないじゃないですか。島民が「撃った方がいい」って言ったら撃つわけではないので。(駐屯地建設に)賛成の方(住民)たちも「石垣を守りたい」というつもりだったはずなのに、今、全くそこと話が変わって来てるというのは、賛成されていた方(住民)も動揺しているのかなと思いますね」
N:安保関連3文書では沖縄を”安全保障上極めて重要”と位置付けている。防衛省は先週石垣島に加え、台湾に最も近い与那国島にも地対空ミサイル部隊を配備する方針を明らかにした。
与那国島では、昨年11月、弾道ミサイルが発射されたことを想定した「避難訓練」も実施された。町役場ではこうした訓練で実際住民の命が守られるのか、石垣島に住む男性は疑問に感じている。
「これが壕の入り口です」 太平洋戦争時に使われていた壕の前に立った平喜名さんは「住民は、結局こうした壕に逃げ込むしかないのでは」と話す。
「70年前と同じ状態」「住民は行くところが無いから、自分が生きるための自然な洞窟とか探したりとかやらないと」
N:沖縄戦には「旧日本軍がガマに避難している住民を追い出したり虐殺したりした」という証言が多くある。「軍隊は住民を守らなかった」という歴史がある。
平喜名さん「これ(壕)、奪われると思う」「自衛隊が行くところが無ければ、住民がいるところに来て『守りますよ』って来るけど、いざとなったら守るんじゃなくて(住民を)出て行かせて自分らが入るんじゃないかな」
N:今回の安保政策の転換について―――
平喜名さん「国民って言いながら(沖縄の)住民ではない。「またか」っていうのはありますね。」「70年前、日本軍は『国民を守りますよ』だったでしょ。いざ戦争が始まったら、国民は国のために働きなさいって言うことで、住民には知らせないで自分らだけで法律を作って、どんどんやって」
N:島に基地がやってきて、ミサイル配備がすすむ。
戦争を経験した山里節子(85)さんは落ち着いて眠れないという。
山里節子さん「戦争が又やってくるんじゃないかって不安を拭い去ることはできない」
山里さん「私と母は同じ日にマラリアで倒れて、体の芯から震え上がるものですから、2人抱き合ってガタガタ(震えていた)、母は4日寝てて持ちこたえられなくて、避難先でそのまま・・・」
「この島にはね、『戦争』という言葉も『戦』という言葉も、島の言葉としては、ありません。「戦争」も「戦」も、大和の言葉の借り物です。
私たちの先代は『戦争』という言葉を知らないで、この小さな島で連綿と息吹いてきたわけですよね。私はそれを一番大きな誇りにしています。」
想いを八重山民謡に乗せて
ゆむいくさ(憎い戦争に)
やーにんじゃ(家族を)かいとうられー(奪い取られ)
かたばりきないや(片割れの家族は)
「しゅうせん」で(「終戦}を)
んかいらるなー(いまだ迎えられず)
山里さん「私が生きている限り「終戦」って言うのは無いです。
終戦を迎えないうちに、また新たな戦が目の前に押しかけて来た。」
「できるならみんなの前に立ちはだかって、どこかに吹き飛ばしてしまいたい
私の中に歌があれば、どんな目に遭っても、もし核爆弾が私の頭の上に落ちてきたら
踊りながら浴びていられる自分であり続けたい」
岸田政権の出身派閥、宏池会に所属していた自民党の重鎮。防衛費倍増と敵基地攻撃能力という安保政策の大転換について話を聞いた。
尊い命を犠牲にして我々は今ここに繁栄を得ているのです。
決して忘れません。決してあの過ちは繰り返しません。何十年と言い続けて、
その結果が、この攻撃転換というのは、あり得ないと思っている。」
N:攻撃転換の起点は安倍内閣だという
河野洋平さん「安倍政治というものに、非常に大きな問題があったと思う。全体の流れを先に作ってしまう手法は、議会制民主主義の手法としてはちょっと違うのではないか。
「安倍内閣、そして菅内閣、岸田内閣と、内閣が3つ変わって岸田さんがバトンを受け取った時には、かなりもう勢いがついて、この勢いを簡単に変えることはなかなか難しい状況にあったことは想像できます。しかし、そうであっても変化をさせようとするなら、もっとやるべきことがたくさんあったのではないか。
少なくとも国会で議論をする。あるいは、これをテーマに解散して総選挙で国民の意思を問うぐらい重要な問題だ. と私は思いますね。
戦後最大と言ってもいいかもわからない、国の性格を変えるという意味で、それをやるだけの信念というか、深い考えが、あったんでしょうか、ねぇ~。」
N:軍事増強を加速させる中国について、安保関連3文書では「深刻な懸念事項」と明記している。
河野洋平さん「中国が自分の言い分を正当化して押しかけている。それならやっぱり話し合う必要がありますね。その努力をどのくらいしたのか。外交関係でこの問題をテーブルに乗せて真剣に議論したことはあるか。私はそういう情報を聞いておりません。
現状の倍の国防力負担を国民にさせようという状況なら、先にどれだけ外交的努力が行われたのか問わなければならない。」
N:アメリカ製のトマホークの購入に2100億円余りを当てるというのだ。
河野洋平さん「米中関係が最大の課題だと思っているアメリカにとってみれば、最も中国に近い最前線の日本を自分の味方に完全に取り込んで、その証拠を示すためにあれだけの金額を日本が使えますと、これだけあからさまにしたということは、やはりアメリカは大喜びでしょうねぇ」
N:ロシアのウクライナ侵攻で世界的に軍拡の動きが広がる中、日本のあるべき姿とは
河野洋平さん「反撃能力というのは威嚇ですよね。明らかに「武力による威嚇」の「武力」を予算化しようとしている。どう説明をなさるのか私にはわかりません。
政治や外交の努力を抜きにして、ただ壁だけ建てていく。壁ならまだいいけれども、壁の隙間から鉄砲を向けて狙うのは本当に安全とは思わない。
日本には日本の歴史的な事情、反省に基づいて、あるいは、日本の置かれている立場を考えて、やれる範囲、やるべきこと、やってはいけないことを、もう少しはっきりさせるべきじゃないでしょうか。戦わないために何をするべきか、深刻に考えるべきだと思います。(報道特集」からの書き移し、終わり)
◎河野洋平氏の話と、「欲望の資本主義2023」の最終章「混迷の時代の歩き方」での、経済学者で思想家でもあるジャック・アタリ氏の日本への言葉が不思議にリンクします。
日本には影響力があるはずです。
日本を素晴らしい国だと思いつつ、言わせてもらえば
日本は自らの歴史を振り返り、過去の敵と協調する時だと思います。
そうすれば、日本はアジアで大きな影響力を保てるでしょう。
日本が1930~1940年代の敵と和解すればね。
過去の全ての敵と和解すべきです。
フランスとドイツも、お互いのために和解しました。
日本も、中国やベトナムと心からの関係を回復し合うことが重要です。
◎歴史人口学者のエマニュエル・トッド氏は「日本人の移民に関する否定的な感情は理解しています。ですが、私が思うのは…日本人は移民受け入れ能力に関して自信を持っていいと思います。おっと、私自身、謙虚になると言ったのに助言してしまいましたね」と苦笑して。
◎最後に<「なぜ日本は没落するか」で2050年の日本の没落を予想して警告を発している森島通夫氏が、その回避のために熱く論じられているのが、「日本に求められているのはアジア人との協調と自分の頭で考えることが出来る教育と人材の必要性だ」>と。
◎今日の朝日新聞「天声人語」の締めくくり部分から:「政府は、驚くスピードで沖縄の自衛隊を増強させようとしており、本島から与那国島まで飛び石のようにミサイル部隊が置かれる計画だ。思えば沖縄は、60年代も対中国の核ミサイル基地に変貌させられた▼「しょせん、沖縄は日本にとって軍事植民地にほかならない」。地元の作家、大城立裕さんはかつての政府の横暴さを突いた。都合次第で切り捨て、国を守るためという理由で負担を強いる。何度、同じ道を歩むのだろうか。」(おわり)