いずみホール「北垣彩 チェロ・リサイタル」 へ

◎ピアニストのスタニスラフ・ブーニンさんと同い年のブーニンファンさんのKIさんから6月初め頃、お電話がありました。従妹のチェリストの方が初リサイタルをいずみホールで開くけど聴く気ある?というお話で「ある、ある.」と返事。じゃ、2枚招待券を送りますとのことでした。しばらくしてチラシと一緒に大きな招待券が2枚送られてきました。

封筒のスタンプを見ると9日になっています。私は、予定を手帖に書き込みながら、母のことがあるから、これからは先の約束はしてはいけないなと考えていました。その日から一週間も経たないうちの6月15日に母は亡くなり、8月のお盆過ぎに納骨を済ませました。母のいない暮らし(といっても、ホームに入居して隣に住まなくなってからは3年程経っていますが)、この世に母がいなくなって、もう2か月半ほど経ちました。案内の封筒をみると、あの母を見送った6月を思い出します。

(↑ 真ん中に見える屋根のある橋が萱野三平橋)(↓ 梅田のビル群が見えてきました)

さてリサイタルは、9月1日(金)の19時開演でした。「車で行くぞ」と夫が言いますので、初めての体験です。5時40分ごろ家をスタート。1時間ほどでホールの地下駐車場に到着、エレベーターで上がってホールのホワイエへ。運よくKIさんにも会えてご挨拶。招待券を窓口でチケットに換えて入り直し、プログラムとチラシをもらいました。

チラシの写真でも、彩さんのお顔の輪郭とか表情がKIさんとよく似ておられます。KIさんは私が初めて会った頃は20歳。それからヤマハのピアノの試験を受けて講師になって、そのあと医療関係の事務のバイトも。我が屋にも何度か訪ねて来られて、毎年梅田でお食事していた頃もありました。この日も、手紙でも書いてありましたが、ゆっくりお話ししたいとのことでした。是非、また、話しましょうとお返事。

さて、チェロリサイタルは二人とも初体験です。楽器のチェロの音色は優しくて二人とも大好きなのに、楽器単独で聴く機会はなかったので楽しみにしていました。

 

プログラムは、シューマン:幻想小曲集 作品73

       ベートーヴェン:チェロ・ソナタ第3番 イ長調 作品69

       レーガー:2つの小曲集 作品79e

       メンデルスゾーン:チェロ・ソナタ第2番 ニ長調 作品58

 

シューマンは「むせぶような感情の表現はシューマンの独壇場で、「幻想」の名の通りロマンティックに音が並びます」と書かれていた通り、少しピアノが目立った感じでしたが徐々にチェロの音色と馴染んできました。

ベートーヴェンが残したチェロとピアノのための作品はソナタが5曲と変奏曲が3曲。お陰でこの編成で数多くの作品が次代に誕生」「第3楽章の序奏をのぞいて、アレグロの前へ向かう推進力に満ちた音楽が繰り広げられます」と書かれている通り、力強い高らかに歌い上げるピアノにチェロが絡んでいかにもベートーヴェンでした。

マックス・レーガー(1873-1916)という作曲家の名前は初めて。短い曲でしたが2曲目は特にとても美しいメロディが印象的。

最後はメンデルスゾーン。留学先がライプツィヒメンデルスゾーンゆかりの大学を首席で卒業しておられるので、思い入れのある曲だそうですが、4楽章あって、かなりの起伏のある音楽。チェロの音色に浸った前半、後半でした。

KIさんの話ではチェロはソリストとしては経済的にはやっていけないので、楽団員になっているけれど、やっとデビューリサイタルをやることになって、一寸大きなホールなので心配していると仰っていました。アンコール2曲でピアニストの紹介、緊張して忘れてましたと今田篤さんを紹介されて笑いが。帰りにアンケートに記入してまた地下へ。

帰りは40分ぐらいで自宅へ。大阪から御堂筋線真っ直ぐの突き当たりが箕面、こんなに早く帰れるとは。久しぶりに音楽に浸れる時間がとても良かったです。招待券を戴いたお陰です。