連続ドラマ「不適切にもほどがある」とNHKスペシャル「下山事件」と中国映画「小さき麦の花」

◎桜並木の桜の木。ソメイヨシノの寿命が80年ですので、入れ替え時期を迎えて大半が若木になっています。この時期、桜の花のトンネルで箕面の山と宿泊施設「風の杜」の建物が見えることはなかったのですが、今は、こんな風にまる見えです。

昨日の4月1日4時半ごろ、少し西に傾いた太陽の光を受けて咲いている桜

クドカンこと宮藤官九郎さんの脚本で10回の連続ドラマ「不適切にもほどがある」が先週金曜日の3月29日に最終回を迎えました。毎回、劇中ミュージカルが挟まれてユニークにもほどがある!ドラマでした。バックトゥザフューチャーと同じタイムスリップ物語で令和と昭和を行きつ戻りつのお話がとても面白く為になるお話。

☆最後は令和も昭和も否定するのではなく、お互い良い所も悪いところもあって、『寛容に、大目に見れば…』と歌い上げてミュージカル仕立てで終わりますが、どうも、昭和に戻った先生は、令和に学ぶところ『大』だったらしく、とても女性や人権に配慮できる”イイ先生”になっちゃって・・・↓矢嶋さんのツィート、さすがドラマの神髄を: 

#不適切にもほどがある 登場人物達が往来した時間は日本の失われた30年なんだと思うと、これからの30年をどう生きるかを考える、大事なドラマだった。そして渦中の人間にとっては"今"をどう生きるかって事だった。人間はさほど変わりはしないが、世の中は変わってゆく。粋なテロップ👍お疲れ様でした🍀

 

3月30日(土)NHKスペシャル「未解決事件・下山事件

朝日新聞のテレビ番組欄の紹介では、第1部が「シリーズ第10弾ついに占領期最大ミステリー国鉄総裁謎だらけの死、検察捜査の知られざる舞台裏を実録ドラマ化」。

第2部は「スクープ資料徹底追跡事件はアメリカの謀略なのか? 96歳の新証言2重スパイの闇が」。

★新しい事実『韓国人の二重スパイ』を取り込んだ今回のドラマは、脚本が「透明なゆりかご」の安達奈緒子さんでした。アメリカの原爆投下で敗戦した日本、既に世界は米ソの冷戦体制下、米国の単独占領下にあった日本は、独立や民主化の課題は否応なく占領軍であるアメリカを相手にすることに。10万人の首切りをアメリカから押し付けられた下山国鉄総裁や、捜査に携わった担当官、新聞記者たち当時の日本人の闘いが時代を伝えてリアル。東京地裁の主任検事を演じた森山未來さん、好演。重要場面での煙草が効いていました。

☆「パンとサーカス」(島田雅彦)はこの事件のレールの先の半世紀以上も後の日本をエンタメを装って明らかにした小説でしたが、このドラマは半世紀以上遡って当時の日本人の苦悩を描いたリアルなドラマでした。「ソ連アメリカの2重スパイ」が韓国人であったことから、日本政府は韓国人の所為にして終わりとしたようですが、他者の所為にしてウヤムヤにしてしまう(アメリカが絡めばウヤムヤにされる)のは変わっていません。

(写真はコチラから:NHKスペシャル 未解決事件

3月31日(日)のお昼過ぎ、配信で中国映画「小さき麦の花」を見ました。説明を徹底的に排したセリフの極端に少ない映画で、淡々と人間の太古からの営み、土を耕して麦を育てるという日常を映します。(中国公開は2022年夏)

★厄介者の男女二人(女性の方は足に障害も)が無理矢理結婚させられるような出会いから、大切なロバとの新生活。土と雨と風と光と、麦と、ツバメ。大地を相手に黙々と耕し、種をまき、育て、収穫する。土と水を泥にしてレンガを作り、家まで造る二人。

二人は互いを思いやり、慈しみ、たまに諍い、許し合い‥‥人間の営みの原点のような暮らしの厳しさと喜び・・・を説明抜きで見せられていくうちに、まさに二人に魅せられていくのです。

段ボール箱を孵卵器にして卵を孵す印象的で美しいシーン)

☆夫が読んでいた中国の農業についての本の中に、この映画のことが書かれていて、中国で大ヒットしたが、2か月後に突然上映・配信中止になったそうです。そういえば、政府の住宅政策で、泥レンガ造りの家を重機で潰していく場面が何回かありました。有償で集合住宅へ移す政策に反していたり、昔ながらの暮らしで上昇志向が無くても幸せな二人の生き方が理由かな。

昨年のベルリン国際映画祭の星取りでは、驚異の4.7点(5点が満点)をマーク、金熊賞最有力と絶勝されるも無冠。しかし、中国で公開されるとレビューサイトでも本年度中国映画ベスト1の評価を得てじわじわ広がり、公開後2か月経ってからTikTockが火付け役となり、若い世代を中心に、興行収入トップに躍り出る大ヒットを記録。<奇跡の映画>とまで呼ばれた。

映画『小さき麦の花』公式サイト (moviola.jp)

1983年、中国・甘粛省生まれ。2003年、国家ラジオ映画テレビ管理幹部学院(現 山西伝媒学院)卒業。これまでに5本の長編映画を監督し、人と人との関係性や土地、急速に変化する中国の片田舎の“家族”や“生”や“死”に焦点を当ててきた。また、撮影は主に親しい友人や親戚と共に、監督自身の故郷で行っている。これまでの作品はベネチア、カンヌ、ベルリンの世界三大映画祭に出品され、『僕たちの家に帰ろう』は2014年東京国際映画祭コンペティション部門に出品、日本でも公開された。長編6作目となる本作では自身の故郷・甘粛省張掖市花牆子村を舞台に、貧しい農民夫婦が、逆境の中でお互いを思い、守り合うようになっていくまでの愛の物語を描き、2022年ベルリン国際映画祭コンペティション部門に選出。金熊賞有力候補と絶賛された。
 

 

☆英語のタイトルは「Return to Dust」(原題は『隠入塵煙』)で、監督の意図がよく解ります。邦題の「小さき麦の花」は、これは映画を観た者には『麦の花』が何を指しているかがよく解り、二人の優しい関係を表しているようで、これも良いタイトルだと思います。(このシーンから来ていると思います)

☆コチラが突然の上映・配信中止についても触れています。2枚の写真はこの記事から:中国の若者たちが羨んだ、貧しい農民夫婦の物語『小さき麦の花』 | cinemacafe.net