「日米同盟の正体・迷走する安全保障」孫崎享著・講談社現代新書

日米同盟の正体~迷走する安全保障 (講談社現代新書)

日米同盟の正体~迷走する安全保障 (講談社現代新書)

5月の連休前から読みかかった本ですが、大変読み辛い本でした。内容が一寸受け入れがたい内容だったからだと思います。
怖いもの見たさで読もうと思ったけれど、ここまで?とは思わなかったというのが本当のところかもしれません。

9条のことを考えると、日本の安全保障の話を抜きには考えられないと思い、読んでみたくなりました。
対米従属から日本の自立、という風に考えると、アメリカの核の傘から抜けるのなら、独自の核武装?と話が飛んでしまいがち。
で、どう考えるべきか?ヒントを得ようと思ったのですが・・・


著者は1993年、中公新書で「日本外交 現場からの証言」を書き、山本七平賞を受賞。
その後、駐ウズベキスタン大使、国際情報局長、駐イラン大使をポストにつき、2002年からは防衛大学教授となって危機管理の授業を受け持ち
「日本の安全保障」を考え続ける。「外交」と「軍事」の両面から安全保障を論じる必要があるという考えから、これはその対になる著作ともいえる。


本書の目的は「混乱する国際情勢の中にあって、いかなる安全保障政策が日本にとり最も望ましいかを考えるために執筆した」と書かれています。

結論は、私も読み終わってホッとしました。外務省に居て「ハト派」と決めつけられるだけあって?本当に嬉しい結論なんですが、
それが何が何でも平和的にというのではなく、事実に即して日本の安全保障を考えていけば、核武装が有効なのか、アメリカ追随でいいのか、
軍事面だけでいいのか、という具合にあらゆる可能性を含めて、理詰めで考えていくところに安心感と説得力を感じます。


なかなか読み進めなかったのは前半の日米安保条約が変質して日米同盟に変わった点とか、イラク戦争についての考察など。
ブッシュからオバマに代わって外交、軍事で何が変わるのか変わらないのか。興味深い内容ですが、日本にとっては深刻かつ悩ましい内容ばかりです。
ややこしいからと言って考えなくなるのは良くないことですが、このあたり政治家に任せるほかない問題でもあって、一般市民の我々の出来ることは信頼できる政治家を選ぶことだと思います。


政治といえば、先週土曜日には民主党の代表を選ぶ選挙がありました。
鳩山さんの「愛」と岡田さんの「幸せ」が抽象論で済まない切実さを伴って聞こえたのは金融危機後の世相の変化の現れでしょうか。
小泉さん以来、安倍、福田、麻生と選挙を経ないで首相が3人も変わっています。
政権交代が目前であることはここ数カ月の世論調査の結果で歴然です。
あとは本気で本気なのか、国民が問われていると思います。
関心を持ち続けて見守り続けたいと思います。