ツェルマットの2日目・ロートホルン、スネガーへ <10日目>

14日(日曜)
やはり、5時半になると目が覚めて、今朝もカーテンを開けてみる。王冠を戴いたマッターホルンが!

昨日、Fさんにモルゲン・ロートの話をしたので、今朝はFさんたちも見ているはず。Fさんたちはテラス・パーティのあと、シャワーを浴びてテラスに出たら素晴らしいアーバントロートを見たという。Fさんのカメラに収まった写真は西の斜面がバラ色に輝いていた。PM9時過ぎというので私たちがバーに居た時間だった。
(窓の外、今日も快晴!)
8時、朝食。8時50分に女性オーナーにこの宿の支払いを済ます。宿帳が置いてあったので見ると、色んな国のたくさんの人たちが書き込んでいる。日本人の若い女性の書き込みも。思い切って、一ページに感想を書く。F氏にイラストを描いてもらう。
9時、今日は、昨日のゴルナグラートより西のロートホルン(Rothorn)へ行く予定。ケーブルカーの乗り場も昨日のツェルマット駅ではなく、町の西はずれ。長いトンネルを抜ける電車とロープウエイ2台を乗り継いで、まだ雪の残る3100mへ。360度の沢山のピークのパノラマ! 
 

展望台から上の方へ行くと、小高くなった雪の丘になっている。思い切って男性二人が踏みしめた後をなぞって見晴らしの利く上まで歩いてみる。足元には隠れるように背丈の低い花が石に張り付くようにして咲いている。氷河に削られたのか小石がたくさん。石英の白いのや、雲母でキラキラ光っているのも。記念のお土産にと小石を拾ってバッグに入れる。

今日は、ここからひとつ下った駅Blauherd(2537m)で、Fさん達とは別行動。お二人は歩いて途中のスネガー(Sunnegga)駅まで。私たちは今日はロープウエイで、歩くのは止め。スネガーの乗り継ぎ駅で降りる。展望台になっている方には行かず、歩いて下る道のスタート地点に向う。
そこのベンチに腰かけて、しばし景色にみとれ、2288mに咲く花をカメラに収める。
道を下るカップルが写真を撮ってくれるので、夫がお礼にお二人のカメラでも「ハイ、ポーズ!」

振り向くと赤いパラグライダーがゆっくりと気持ち良さそうに浮かんでいる。12時にロープウエイに乗って山を下る。歩いてホテルへ向かう途中、去年の7月、夫が山仲間と泊まったホテル(Arca)を見せたいからと鉄道に近いシャレ-(自炊宿舎)とテント場を案内される。テント場は今年は建築現場になっていて、その脇の芝生がテント場になっていて、数張りのテントが。

12時半、ホテルの部屋のテラスに続くデッキで、コンロにコッフェルを据えて湯を沸かし、紅茶とパンと昨日食べきれなかったアプリコットケーキを頂く。
窓からマッターホルンが見える。1時15分。写真に残そうとカメラに収める。夫はノートパソコンを開いて、山仲間や仕事のメールの最後のチェック。

そこへ、Fさん達が到着。14時半、一緒にショッピングに。日曜日なので閉まっているお店も。昨日のバーも案内したら、エーデルワイスも、置いてあったテーブルも片付けられて、店には張り紙が。日曜から水曜までお休みとのこと。昨日は土曜日だったから遣っていたのか〜と。東京の息子のお土産にナイフを求め、その場で名前を刻印してもらう。その後、女性陣はホテルへ。


男性陣は30年前に二人でヨーロッパ出張の際に泊まったという小さなホテル(当時ガイドが経営)が懐かしいと、探し出して訪ねたが、今は場所を変えて大きくなってしまっていた。そこで今日の夕食をと思い、店の前まで行くと張り出してあったメニューに「SASHIMI」と書かれていてF氏はガッカリ、即やめようとなった。その近くに山岳ガイド推奨の店という表示がついているお店をみつけたという。

今日はスイス最後の夜。6時半、その山小屋風のレストランに入る。 窓際は予約済みということで奥の方へ。英語のメニューはなく料理を決めるのに大モメ? サラダとべジタブルの違いが分らず、片言の英語を話す可愛いお顔の伝統的衣装を着た女性とおかしなやり取りが続く。隣のテーブルのカップルの女性が見かねて、べジタブルはコレ、と自分たちのお皿を示してくれる。結局、サラダを二つ、べジタブルを二つ、注文して試して見ることに。分ったことは、サラダはサラダ。「べジタブル」とは温野菜のこと。ナァ〜ンダで決着。

ウエイトレスの彼女、前菜にお勧めでシカ肉の燻製を持ってきて、「アレ」と指さす店の奥には立派な角を生やした鹿の首が壁に掛けて飾ってある。それを見ていたカップルの男性が声をあげて大笑いしていました。
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このカップル、私たち4人の写真を撮って下さったので、夫もお返しに二人をカメラに。出来た写真を送りたいのでアドレスをというとメールアドレスを教えてくれて、ドイツ人、それもシュツットガルトからとわかる。夫たちが若かりし頃仕事で毎年出かけた思い出の町ということで盛り上がりました。

私はあちらのテーブルの上の見覚えのある陶器製のワインサーバーに目が釘付け。夫が25年前に気に入ってお店に頼んで分けてもらったブドウ柄のワイン壺に姿も色もソックリというより、全く同じでサイズ違い。これにはビックリ!
  (我が家の壺) (ワインの最低量を示す目盛りがついている)


7時半に日本人のツアーの方たちが30人近く入ってこられ、シカが飾ってあるコーナー全部と先ほどの窓際に一組が。チーズフォンヂュのメニューだったようですが、9時ピッタリに終って引き上げ。私たちは9時半くらいまで。デザートはシャーベットと果物の組み合わせ。メインは牛とラムでしたが、付け合わせのジャガイモの千切りをこんがり焼いたものがとても美味しく、初日のレストランでも同じものが出て、これも美味しかったです。

夕闇の中、レストランを後に、そぞろ歩きでホテルへ帰る途中、橋を渡ると川沿いに道を隔てて両側に墓地がある。町の教会の裏手側の墓地は、大小様々な墓石もユニークでピッケルやザイルを模ったものも。
墓碑に書かれた英文の文章を一つづつ読んでいくと、マッターホルン登頂途中、あるいは登頂後の帰還中に帰らぬ人となった方たちのお墓であることが分る。暗闇で目を凝らして一つづつ声を出して、碑文を読み上げる。中には「24歳。私は登ることを選んだ(I chose to climb.)」というのもあった。登山の町であることを改めて実感。