初めての「初釜」体験

15日(土曜日)、11時から、お茶の初釜です。
着物ではないので何を着たらよいのか…から始まって、初めてのことばかりで緊張してこの日を迎えました。
インターネットで調べたら、学生さんは制服が良いということですのでセミフォーマルなのかなと見当をつけました。その時、白いソックスを履くのだということも知りました。私は昨年誘ってもらった時、ロングスカートにソックスを履けば着物でなくてもOKと聞いていましたので、ずっと黒い靴下を履いていたのですが、足袋の代わりに履くのだから白でなければおかしいと得心できました。(後から分った事ですが、ソックスは持参してお部屋に入る前に履くべきでした。)5分か10分前くらいに到着するように家を出ました。
玄関に入りますと、皆さん、大勢おられて、すぐお稽古仲間のNoさん、Naさんを見つけて、ヒソヒソ声で新年のご挨拶。控えの間に入りますと、絨毯が敷いてあって、 懐かしい炭火の火鉢がありました。全員が揃うまで控えのお部屋で待っている間、今日お世話してくださる方がお茶を出してくださいます。お多福が描かれたお茶碗にはお茶ではなくて白湯が入っています。口を付けるときにお多福さんと目が合って思わず微笑んでしまいました。この時、持参したのし袋の「初釜御祝」をお渡ししました。
全員が揃った所で、席順が発表されました。正客さんから呼ばれて、私が2番目!? どうして? ですが、次はNaさん、次々名前を呼ばれて、お仕舞いの方は足や膝の悪い方たちで椅子を利用する人たちなのでNoさんはこちらです。どうしてぇ〜!?ですが、文句を言ってる場合ではありません。ここは正客さんの真似をして、分らなければ聞くしかないと覚悟を決めました。
黄金色の着物姿の正客さんがお部屋に一礼して入られ、床の間の前でお軸の拝見、お花を見て、棚の辺りでも・・・それから床の間を背に座られました。私の番なんでしょうか? 入っていいですか?と目で訊いて、どうぞと言われて、入室。お床を拝見してから座りました。総勢14人、内、お着物姿が5人。そして、お目出度い事にお腹の大きな妊婦さんが3人も。一番早い人で3月初旬出産予定だそうです。あとは、私たち世代や以上の方たちと独身の方もチラリホラリ。

揃ったところで先生がご挨拶にお出ましです。正客さんが代表してご挨拶され、私たちも一緒に頭をさげてご挨拶。
いよいよ、お濃茶が出されます。まず主菓子が喰籠(蓋つきの菓子鉢)に入れて出されます。「花びら餅」といって、大きな花びらが青い棒を包んでいます。
「花びら餅」というのは「お正月にだけいただける伝統の和菓子の一つで、白味噌のあんと甘く煮たゴボウが柔らかいお餅や求肥で包んであります」ということですが、先生の手作りの花びら餅は餡が桃色でゴボウが若草色でした。初めての私は、「蕗?」とか口に出してしまいましたが、お隣の正客さんが、「柔らかいですものね」と優しくフォローしてくださいました。これが、恥をかかせない思いやりの言葉なんですね〜助かりました。(何でも思ったことを口にしては駄目ですね)。これは、懐石料理が出たあとの、お喋りの時の事で、お濃茶の席は、先生の手元に集中しておりました。鉄瓶の湯がシュンシュンと沸く音や茶杓がお茶碗にあたる音が大きく聞こえるくらい静かです。回って来たお濃茶の美味しいこと!! 先ほどのお菓子の甘味が口中に残っていて、それと渋くて甘い濃厚なお茶の味が染み渡るようです。
お料理が出て、先生は取り鉢に大きな栗の渋皮煮や昆布巻き、お雑煮を出して「ごゆっくり」と下がってしまわれました。お部屋には14人だけ。あれこれ吟味したお正月のお料理が沢山。どれも美味しくいただいたのですが、全部はとても無理。私の娘くらいの年齢でお稽古暦10年という正客さんが懐紙で中を見えなくしたビニール袋を取り出して、残ったものを袋の中に。残さないで器をきれいにたいらげるのが礼儀なんだとか。知らなかった、どうしようと思っていましたら、予備があるから使ってくださいと2枚渡されましたので、隣のNさんにも。助かりました〜。
頃合を見て、先生がお部屋に。本当は、全員揃って正客さんの合図でお箸を落として、その音を聞いてお膳を下げに出てくるのよ、という解説でした。言われてから「ご一緒に」でお箸を落としました。その前に、箸洗いの白湯が出されます。お茶席ですので普通のお茶は出される事はありませんとのこと。
先生とお手伝いの方とでお膳を下げられた所で、「中立ち(中断ち?)ですのでご自由に・・・」と言われて休憩に入りました。
足の方が限界!!です。後半、大丈夫か・・・心配になってきました。
今度はお薄茶が出されます。正客さんともうお一人の方が指名されてお茶を点ててくださることに。
2番目にお茶を点てる方に正客さんになってもらいました。一人づつ受け取りに出るのではなく、大勢なので、お手伝いの方が正面までお茶碗を持ってきてくださいます。先に干菓子を懐紙に頂いて、口に含んでいましたので、やはり、甘いお菓子の後に頂くお茶が、今回は、お薄なので、五臓六腑に染み渡るというか体内に取り込まれるような感じです。美味しいものですね〜お茶って。
お茶碗を拝見しながら、一人ひとりお茶が回っていきます。お目出度い柄のお茶碗や志野や京焼のものが何点も出されました。濃茶のお茶碗は楽焼きに内側が金と銀とに塗ってある広口のお茶碗でした。金と銀のお茶碗は大きさに差があって重ねる事が出来るとか。外側は二つとも夕焼け色に濃いグリーンが透明な釉薬越しに見える素敵なお茶碗でした。使っているうちに金も銀も剥げるので塗り直してもらうんだそうです。濃茶の茶入れは広口の陶器の入れ物で耳がついたもので蓋つき。蓋の裏は金色でした。薄茶の棗(なつめ)は黒の漆に渋い金の「零(こぼ)れ梅」で「雪吹(ふぶき)<漢字の順は吹雪の逆>」模様です。高麗棚の下に置いてある水差しは宝尽くしの桶側というお目出度い柄の京焼き。追羽根の蓋置きに合わせて香合は羽子板。

さて、足の方はいよいよ限界を越えて突っ張ってきました。次回は私も椅子の方に廻らなければならないかも。
先生が、応接間にお茶の用意が出来ているのでとお誘い下さったので、ゾロゾロと和室を出て、洋間の方へ。
私はそこで、先生の娘さんと22年ぶりのご対面!です。Hさんは、上の息子と同い年。中・高と私は英語のお相手をしていて、彼女は熱心に通ってくれた一人でした。大学を出て広告会社に勤務、そこの仕事を今も続けていて、最近では日本企業の上海での広告、看板などを扱っているとか。仕事で英語が必要だけど困っているというので、それは先生が悪かったんだワ〜と私。今は台湾出身の英語の出来る人と中国語の出来る人に手伝ってもらっているとか。実家も何年か前に出て、立派に自立しているようです。今頃になって週一回、お母さんのお茶の教室の手伝いをするようになったとも。

お手伝いの着物の女性は弟さんのお嫁さんでした。弟さんは下の息子と同学年。そのK君と呼んでいた息子さんにもお会いできました。子供さんも二人、コーヒーと紅茶の席でお母さんのお膝から離れずでした。先生に習っているお茶のグループ同士の交流の場でもあり、また、同じグループ同士でも普段出来ないお話も出来て、本当に楽しい初釜の集いでした。
 最後に、来月のお稽古日の打ち合わせをして先生のお宅を後にしました。