「原発のウソ」

原発のウソ (扶桑社新書)

原発のウソ (扶桑社新書)

参院行政監視委員会で、トップで意見を述べた小出裕章(京大原子炉実験所所)助教の3・11以後の書き下ろしです。
内容は帯のキャッチコピーを写真で紹介して見出しを並べてみます。
まえがき:起きてしまった過去は変えられないが、未来は変えられる
第1章:福島第一原発はこれからどうなるのか
第2章:「放射能」とはどういうものか
第3章:放射能汚染から身を守るには
第4章:原発の”常識”は非常識
第5章:原子力は「未来のエネルギー」か?
第6章:地震列島・日本に原発を建ててはいけない
第7章:原子力に未来はない
原子力について書いたものを一冊読んでみたいと思っていましたが、先日、夫がNEWTONの特集を息子に頼んだついでに私も頼んだのがこの本です。どの項目も早く読んでおくべきだったと思いましたが、第2章の放射能については、知っているようで知らない放射能の怖さを改めて。取り上げられるのは1999年9月30日、茨城県東海村の核燃料加工工場で発生した「臨界事故」で大量被曝の末亡くなった二人の作業員です。
そのうちの一人は、NHKの「被曝治療83日間の記録〜東海村臨界事故〜」というドキュメンタリー番組になり、岩波書店から書籍も出版され、今は新潮文庫で入手できると紹介されています。
朽ちていった命:被曝治療83日間の記録 (新潮文庫)

朽ちていった命:被曝治療83日間の記録 (新潮文庫)


原発はクリーンだと言われ、二酸化炭素を出さないということで信じ込まされてきたところがあります。
それが「ウソ」である証拠の一つは「死の灰」を出す、二つは二酸化炭素だって出すということです。原料のウランを鉱山から採掘して、精錬、濃縮、加工、までの過程、そして巨大な発電施設を建てるまでにどれだけの二酸化炭素を出しているか。加えて直接的に環境を破壊している、それは常温より7℃も高い温水を大量に海に流し続けて生態系を破壊し続けているということです。日本列島温暖化の一因を作っていますね。
どの章を読んでも、大変なものに手を出したもの・・・「たかが電気のために」という小出さんの嘆きが痛切です。