「やさしい花」のヒメジョオン

先週の金曜日(16日)、「かんさい特集」というからには、関西のみの放送だったのでしょうか、
NHKで夜8時から「やさしい花」というドラマが放送されました。
石野眞子、谷村美月、西川宏が主演した児童虐待がテーマのドラマでした。
同じ集合住宅の上の階に22歳のシングルマザー(谷村)が3歳の男の子と暮らしています。表札は出していません。男の子の泣き声が度々聞こえて、どうも虐待されているようで、隣に住む学生も心配しています。谷村は父親の反対を押し切って子どもを産み、今はホステスをしながら子育てに頑張っています。石野眞子(役名?)は、夫と二人暮らし、花屋に勤めていますが、娘を虐待した過去があり、児童相談所の相談員の世話で養護施設に娘を預けた経験があります。
夫の言い分が「そこまでしたら、もういいやろ。あとは、専門家にまかせろ」。石野眞子は、「住民に通報されれば、親子が引き離される」。二人の会話を聞いていた娘は、「施設に入れられる子どもの身になってみて!」と訴えます。そして、ある日、花屋で働いている石野に娘からメールが。「私たち親子のことを話してあげたら・・・」と。
児童虐待に至る様々な体験をもとにドラマは作り上げられたそうですが、男の子を育てた経験のある私は涙ナシには見ることのできないドラマでした。どんな母親だって紙一重で虐待と呼ばれかねないと自覚できる経験があります。実際に手を出すかどうかではなくて心理的に追い込まれる経験は共通して持っていると思います。文字通り孤立した母親が虐待へと進む過程は容易に想像がつきます。そして、そんな母親を子どもはどんなに慕い愛しているかも。
ドラマでは、石野眞子が見かねて子どもを預かって散歩に出かけるシーンがあります。男の子は川沿いの土手で可愛いお花を摘んでお母さんにあげると言います。お母さんが好きな花だからと。「そう、お母さん、姫ジョォン好きなんやね」<姫ジオンなんじゃないの?と私は「ジョォン」にひっかかりました。>
ある日、子どもが大泣きするので、駆けつけたら、前回と違って今回はドアに鍵がかかっていません。書置きがあって母親は出てしまっています。隣の学生も、夫も駆けつけ、子どもを預かった夫が学生に、「君もこの間は駆けつけたんやろ。見たら放っておけないしな〜」と。石野は土手沿いを必死に探して谷村を見つけ、自分にもあった虐待の過去を打ち明け、一人じゃないこと、よく頑張っていること、一人で幼い子どもを立派に育てているいいお母さんよと励まします。谷村は初めて自分を認めてくれる隣人に心を開きます。
それから数日後、谷村の玄関には二人の名前を書いた表札が出され、石野が以前世話になったあの児童相談所の相談員が訪れ、谷村は快く部屋に招き入れます。「優花」という名前を見て、「ゆかさん、いい名前ね〜」と相談員が。
石野の娘は、花屋を訪ねてきて、「お母さん、頑張ってくれたのね」と母親をねぎらいます。

虐待は本当に子どもの問題ではなく、親の問題。周りの者にとっては、お節介と思う部分と放っておけないという面と、両方が同居する問題でも。
あの時、チョッと声をかけていれば、という後悔だけはしたくないと思います。それでなくとも少子化の日本、子どもは宝。
大きくなれば美しい花も咲き立派に実る若い芽をみんなで守りたいと思います。
ところで、私の引っかかりは私の誤解でした。調べてみたら、「春じおん・紫苑」という花があり、秋に掛けて咲く「姫ジョオン・女苑」とは別物です。そういえば、春紫苑(ハルジオン)は背が低く、姫女苑(ヒメジョオン)は咲く時期も夏からで背も高い。
写真は、昨日住宅街から田圃(たんぼ)に差し掛かる空き地で見つけたコスモスとヒメジョオン