アールデコの館(朝香宮邸)

昨夜のフィギュア中国杯、もうグランプリシリーズも第3戦です。男子の羽生結弦(16)くん、4回転ジャンプに果敢に挑戦・成功しましたが他のジャンプで転倒、惜しくも4位。織田信成(24)はショートプログラム4位でしたが、フリーでも安定感が物をいい2位。女子の村上佳菜子(16)さん、デビューの昨年と違って怖いものなしの笑顔も少なく顔つきも少し大人っぽく、成長過程の難しさを感じさせて結局6位。今朝の新聞では「GPファイナル進出はほぼ絶望」とか。本当にこれからが勝負です。暖かいのでスケートテレビ観戦も集中を欠いてしまいます。
ところで、昨年、夏前にサントリーホールクリーブランドオケの演奏会のチケットをEさんに取って戴き、11月になっていよいよ上京し念願の演奏会が終わった翌日、2人で東京都庭園美術館へ寄りました。(昨年のブログの11月22日))
その時、学生時代の友人と連絡が取れて、この美術館で落ち合うことに。結婚(就職が先だった?)してからず〜と東京住いのNさんですが、庭園美術館は初めてだったとか。

今回、その東京都庭園美術館(旧朝香宮邸)が2年後の2013年には開館から30周年を迎えるそうですが、その30周年を記念して建物の改修と美術館施設の拡充工事に入るためしばらく休館になるといいます。今年28周年を迎えた10月がリニューアルオープン前の最後でした。
ということを、東京のNさんに私が間違ってテレビ電話?した時に教えてもらいました。ケイタイ電話の変な所を押したらNさんにつながって映像が見えました。Nさんが「テレビ電話になってる!」というので「私が見えるの?」と訊いたら「見える」とのこと。私のケイタイにはNさんが写っていました。どこをどう間違ったのか?私からは「ごめ〜ん!」でしたが、Nさんからは、この朝香邸のニュースと写真を送るということでした。
そして届いた写真がなかなかいい写真です。建物自体は昭和8年(1933年)に建てられたもので、戦後の一時期、外務大臣・首相(吉田茂)公邸、国の迎賓館などとして使われてきましたが、建設から半世紀後の1983年(S58年)10月1日、美術館として生まれ変わりました。Nさんが同封してくれたパンフレットの解説から一部をご紹介です。

 朝香宮邸は宮内省内匠(たくみ)寮工務課が設計・監理し、戸田建設が施工を担当。日仏のデザイナー、技師が総力をあげて建築材料を厳選し、当時の最高級の技術を駆使し、また、1923年から25年までアール・デコ全盛期のフランスに滞在(夫君留学中事故にあいその看病のため妃殿下も渡欧)1925年のパリ現代装飾美術・産業美術国際博覧会(通称アール・デコ博覧会)を見学された朝香宮ご夫妻の熱意もあって、宮家に相応しい格調高い独特のアール・デコ建築を創造した。アール・デコというのはこの1925年のパリの博覧会の略称を由来としたもので、1925年様式とも言われます。1910年代から30年代にかけてフランスを中心にヨーロッパを席巻した工芸・建築・絵画・ファッションなど全ての分野に波及した装飾様式の総称です。


 1920年代というのは、現代生活の枠組みが出来た時代であり、飛行機が飛び、汽船による観光旅行が盛んになり、汽車や車はスピードを上げ、世の中のあらゆるものが目まぐるしく動き始めました。この動きーリズミカルでメカニックな動きの表現が、アール・ヌーヴォー有機的形態に取って代わり、鉱物的で直線的なアール・デコの基調となっています。それは電波を表現したジグザグ模様やスピード感あふれる流線型、噴水の図様などに見ることが出来ます。
社会生活全般における様々なものが合理性と機能主義一辺倒となった今日、1920年代、30年代の機能的でありながらも装飾美を兼ね備えたアール・デコ様式が今日再び新鮮に受け止められ、脚光を浴びるようになりました。


Nさんのカメラはデジカメではありません。美しい生写真を私のデジカメで写したものを載せてみます。
大理石レリーフ<戯れる子供たち>
イヴァン=レオン・ブランショ(1868−1947)彫刻家
1893年頃よりフランス芸術家教会の会員となり、サロンへの出品を行う。朝香宮邸には大広間レリーフ、大食堂壁面レリーフがある。
ラジエーターカバー/宮内省内匠寮工務課→

大客室と大食堂のシャンデリア
ルネ・ラリック(1860−1945)
宝飾デザイナー、ガラス工芸家。パリとロンドンでデッサンと彫刻を学び、1900年のパリ万国博覧会では、植物、昆虫、裸婦などをモチーフとした官能的な作品により、アール・ヌーヴォーの宝飾の分野において第1人者となる。1906年には香水商コティから香水瓶のデザインを依頼され、ガラス工芸にも着手。1925年のアール・デコの博覧会では、自身の記念碑的はガラスの噴水を制作、ガラス工芸家としても活躍した。

香水塔/アンリ・ラパン
アンリ・ラパン(1873−1939)
画家、インテリア・デザイナー。新古典主義系統のジェロームに師事し、1910年代には凝った材質を用いシンプルに様式化した家具デザインを出品。1924年に国立セーブル製陶所と装飾美術学校の美術部長に就任、1925年のアール・デコ博覧会では装飾美術家協会の副会長として博覧会開催に力を尽くした。同時に、自らもフランス大使館や国立セーブル製陶所のパビリオンのデザインでその才を振るった。
朝香宮邸建築においては、朝香宮自身から内装を依頼された。



建物の外観は「モダニズム建築特有の簡潔さ」内部は「一転してきらめくアールデコ様式の装飾が訪れる人を魅了。」
ガラスと鉄、クラシックとモダン、シンプルとデコラティブ・・・
異質なものが美しく調和しているのが朝香邸、アール・デコの魅力なんでしょうね。
20世紀初頭の美術がなんだか懐かしい感じがします。
21世紀の今、何か新しい動きが生まれているのでしょうか・・・楽しみです。