NHKの番組から

NHK大河ドラマ「江」が終わりました。前回の「龍馬伝」と余りに違って気の毒でしたが、最終回の前の回が一番ドラマとしては良かったし納得がゆきました。秀忠と徳川家康の不器用な親子関係の最後の修復というか和解。そして繰り返されるかのような秀忠と長男竹千代と母であるお江との関係と和解。どちらも、戦国から太平の世へという歴史的な転換点を創造しようとする徳川家という描き方の中で上手に解決されていました。女のお役目としては、ああだったんでしょうね〜という思いも。それにしても国家安泰の為の大奥制度というのはチョッとビックリしました。

宮崎あおいさんが主演したマダム・バタフライの土曜ドラマもありました。蝶々さんの新解釈でした。武家の娘として誇りを守って自害したという筋立てでしたが、オペラのスズキ役のともさかりえさんの女性のエピソードや、最後の川平慈英さんが演じていたハーフの旅行者がお蝶さんの孫!というエンディングなどのエピソードがなかなか面白い作りでした。宮崎さんの情感を漂わせた静かな演技にも魅了されました。

そして、朝の「カーネーション」。カンヌで賞を取った「萌の朱雀」のあの少女が今は堂々朝の連ドラの主役です。今週からは太平洋戦争開戦の時代に入りました。岸和田の呉服屋さんの娘さんから3人の世界的ファッションデザイナーの母となった小篠綾子さんの物語。大阪でも南の威勢のよさが朝から小気味よいと思っていたのですが、時代は戦争に入りました。お祖母ちゃん役のかしまし娘の照枝さんがまた良いですね〜。浪花ちえこさん、ミヤコ蝶々さん亡き後のお婆さんにピッタリです。芸達者な方達が周りを固めて快調です。3月までが楽しみです。

坂の上の雲」はいよいよ今年で最終回まで。映像化は、たとえ作者のお許しがでても、あの203高地の戦闘場面やバルチック艦隊との海戦など映像化自体が無理と思っていたのに、NHKはやりました! 

土日の2日間でNHKスペシャル真珠湾から70年”証言ドキュメンタリー「日本人の戦争」の2回が放送されました。第1回は、<なぜこれほどの死者が>沈黙を破る涙の告白▽泥沼の中国アジア戦線▽捕虜となるよりは死を、第2回は、<太平洋・絶望の戦場>▽飢餓と集団投降▽特攻▽誰が兵士を殺したのか。(新聞の番組欄から)
戦後70年近く誰にも語ることのなかった戦争中の話を語りだす人たち。「共食い」がやはり事実だったのかと思えるお話も。そこまでの飢餓の苦境に日本兵を追いやった戦争指導者の責任は? 終戦記念番組の内容と重なる場面もありましたが、貴重な体験記録です。
国の無責任さやマインドコントロール(「戦陣訓」の”生きて虜囚の辱めを受けず”/「捕虜になるくらいなら自決せよ」という教え)などは、3・11を体験した今年、今も昔も、被害者は国民であり、本当の地獄の悲惨は、末端の国民が背負わされるという、同じことが繰り返されているのではと思ってしまいます。

坂の上の雲」で明治国家の青年期を振り返って21世紀の今を・・・という3年がかりの番組制作の意図を、現実ははるかに超えて進んでしまっているようにも思え、今年この番組を見る側の自分の意識がすっかり変ってしまっています。

火曜日は女性問題を捉えたドラマが面白い。NHK今夜10時。今度はまたDVの恐い内容がヨガ仲間でも評判です。

(写真は新聞紙で作ったコサージュです。)