NHK「プロフェッショナル」(畠山重篤さん親子)

昨夜のNHK夜10時からの「プロフェショナル」はアンテナにも入れている気仙沼舞根(もうね)の”カキじいさん”こと畠山重篤さんを取り上げたものでした。新聞の番組欄に書かれているように、「”奇跡のカキ”復活へ/津波で全ては失われた/海と語らう養殖の巨人/家族の闘い8か月」の記録です。
ブログで知ったカキ養殖のプロ畠山さんの著作「鉄は魔法使い」(6月10日の日記)を読んで、「森は海の恋人」という言葉も知りました。10月にはWさんの娘さんの小学生の男の子にこの本をプレゼント。その時ついでに「漁師さんの森づくり(森は海の恋人)」も購入しました。
夫の山仲間の女性が一人でリュックをかついでサンチャゴ巡礼に出かけた時のお話を聞き、アルバムを見せて戴いた時のことです。フランスから800キロを歩くスペインの聖地巡礼の道標がホタテ貝のマークです。どうしてホタテ貝なのかが、この本で分かりました。マドレーヌというお菓子がありますが、これもホタテ貝をかたどったものだそうです。あちらには、”森は海のお母さん”という言葉があるんだそうです。
昨夜の番組は上手にそのあたりの大事なこと、畠山さんがどうして美味しいカキの養殖のために森に一人で木を植えるようになったのか、それが大きな運動になり、赤潮で全滅しかけた養殖カキを蘇らせることになったのかを掻い摘んで伝えていました。
番組のメインはいつも畠山さん(一つ年上の同じ世代です)を支えてきたお母さんをこの津波で失い、体調を崩して思わしくない健康状態の畠山さんに代わって、石巻に打ち上げられた奇跡の稚貝を舞根の海に沈めてカキ養殖の復興に挑む息子の哲さんとそれを見守る重篤さん親子の姿でした。

カキ養殖の「まほう使い」と言われる重篤さんが言います、「この世は天国と地獄が同居している、そこを生き抜いていくのが人生」というような意味のことだったと思います。「カキは人を映す」とも。
石巻の稚貝が今年も舞根の美味しいカキに育ちました。津波によって海が底から掻きたてられて養分豊かな海が戻ってきたのです。
哲さんが育てた今年のカキを心配そうに船着き場で待ち受けていた重篤さんがカキ殻にナイフを差し込んで開けます。
乳白色のぷっくりとしたカキを口に含んで重篤さんが言います、「美味しい舞根の海の味だ」。

自然は時として災厄をもたらしますが、また恵みも大きい。人はこうやって生きてきたし、こうやって生きていくのだと改めて教わりました。