5月のお茶のお稽古


5月はお道具が季節の変化に合わせていろいろ変わります。
炉がまず風炉になるのに合わせて、床の間の花は籠になります。写真はサザエ籠。
活けてあるお花は、アヤメと鳴子ユリかと思ったら、宝(ほう)シャク草。鳴子ユリはユリ型の白い花が葉の付け根に一つずつ付きますが、ホウチャク草は一茎に釣鐘型の白い花が一つしかつきません。左端の背の低い葉の蕾は「そけい」といって、黄色い花が咲くそうです。
お軸は「薫風自南来」(風薫る5月の風が、自然に南の方から吹いて来る)。
香合は陶器ではなくて塗り、鯉をかたどったもので、鯉のぼりじゃなくて、「上り鯉」です。中に入っているお香は白檀。
棚は四方棚。「しほう」とは読まないで、「よほうだな」。「し」は「死」に通じて避けられたのでしょうか。利休好みの棚には白木のものが多く、今日の二段の赤い溜め塗の少し軽やかで華やかな棚は即中好みです。
お茶を点てるトップバッターになってしまいました。水屋に入って支度をしますが、先輩さんに教えてもらいながら少しずつ思い出してやってみます。仕組み茶碗と右手に棗を持って出ましたら、「棗(なつめ)は初飾りで棚の上に置いてあります。最初にキチンと見ておかないとダメですよ」と注意されました。なるほど、2つもいらないですね。
プロンプター役の先生の声を頼りに、何となく、あぁ、そうだった〜とか、次、なんだったっけ?と、うろ覚えです。
さて、出される主菓子(おもがし)が入った喰籠(じきろう)は、塗り物から陶器の蓋付きに変わります。今日は若草色と羊羹色の2色の水羊羹でした。足が三本ついている場合は正面が足2本ですので、持って出るときは正面が相手側になるように考えて持ち運びます。
お薄茶を2服点てて、水差しの水を釜に足して、棚の上に柄杓を斜めに、蓋置を入りの字の支えの位置に置いて飾ります。「初飾り」に対して「二次飾り」というそうですが、入りの字にちなんで「入り飾り」とも呼ぶそうです。お茶碗や建水を片付けながら一礼して下がります。足運びがまだまだです。
今日は3人目が足の悪いNさんで立礼式(りゅうれいしき)の黒塗りの扇形テーブルを出して腰かけに腰かけてのお点前です。
私が使った蓋置はアヤメの絵柄でしたが、あとのお二人が遣われたのは唐子(からこ)の3人が後ろ手に手をつないでいる可愛いモノ。葵釜の焼き物です。
今月は3人とも日が合ったので、再来週の火曜日に二度目のお稽古があります。2週間も経たないので少しは覚えているでしょう。
帰りに、お花のお稽古の教材用に花屋さんから手に入れられた芍薬を三人にそれぞれ水切りしながら分けていただきました。

お茶碗は左が薩摩焼。京焼とよく似ていますが、絵は京焼の方が華やか、薩摩の方が肌理(きめ)が細かく黄色がかっています。
子育て中や子供の学費に四苦八苦の時に、主婦がお稽古…というのは「贅沢」?でとても無理だと思っていました。気持ちの上でも余裕がないのでしょうね。
アルバイトをしていた頃、ヨガの方に見習って、50歳になる前から収入の一部を個人年金で積み立てていたのが良かった! 75歳までは家計に心配なく自分のために使えるお小遣いがあるというのが嬉しいです。
記憶力は若い方にかなわないですが、自分だけのために使える自由な時間というのはありますので、覚えるまでかける時間はたっぷりありますし、忘れてもいいのよという先生のお蔭で同じことを何度繰り返しても楽しめます。
一夜明けた今朝、芍薬は蕾が開いて、こんなです。