「北岡伸一氏(法制懇)に聞く」(報道特集)と「法制懇の報告」と[安倍政権"4つの不幸"」(ウォルフレン)


年のせいにしたくありませんが、取り上げておこうと思っていた番組の記事起こしが遅れに遅れています。
毎日、本当にイヤっていうほどいろんなことが起こりますし、世の中の動きが大きくて速いな〜と思います。
でも、やはり、メモ代わりに大切なことは書いておきたいし・・・ということで、今更ですが、3日(土)の憲法記念日の「報道特集」を記録しておきます。
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*「憲法ー直面する課題」という特集の前にニュースの紹介があります。昭和天皇直筆署名入りのアメリカ合衆国アイゼンハワー大統領宛の手紙がアメリカ公文書館で見つかったというものです。15日、安倍総理の私的諮問機関の法制懇が集団的自衛権容認の報告書を出した日に、書き出したこの記事ですが、現憲法をないがしろにするという点を憂うという内容で、この2つのニュースは繋がっています。それをここで書き記しておきたいと思います。

*番組の出だしは劇団「青年劇場」が上演するという「みすてられた島」(作・演出 中津留章仁)の「幻の大島憲法」です。
東京から120キロの伊豆大島GHQの占領下、日本から分離されるという話が実際あり、「大島大誓言」という、23の条文からなる「大島の統治権は島民にあり」という主権在民、「万邦和平の一端を負荷し、ここに島民相互に厳に誓う」という平和主義先取りの憲法を島民が作り上げたそうです。当時を知る90歳の山田一蔵氏は「戦争をしていて、いいことは一つもなかった」と「自分らで暮らしを何とか作ろうじゃないかと…」と思ったとか。「結局、伊豆諸島分離の計画は53日間で取り消され、大島憲法は幻となった」が、「少しでも自分の生活の中で問題意識を持ってもらえたらと、このお芝居を書いた」と。


*ナレーション「安倍総理の私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」:柱となるのは集団的自衛権の行使を可能とすること。従来これまで禁じてきた憲法解釈の変更だ。政府は報告を受けて、事実上憲法9条の解釈変更を盛り込んだ「政府方針」として閣議決定する。そして、秋の臨時国会では自衛隊法や周辺事態法など法改正の審議が行われる見通しだ。」


*第一次安倍政権で内閣法制局長官を務めた宮崎氏は憤りを隠さない:集団的自衛権は、直接武力攻撃を受けていなくても「密接な関係」にある国が攻撃を受けた場合、自国への攻撃とみなして反撃する権利だ。歴代内閣は「自衛権の行使は必要最小限に止めるべきで集団的自衛権の行使はその範囲を超えるため許されない」つまり「憲法違反」だとしてきた。「集団的自衛権」というのは、本質的には「他国の防衛」で、憲法解釈変更ではなくて憲法改正しないと、そもそも日本は法治国家なのかという問題になる。なんでも強引にやればいいのか。正当性に疑問がある状態で施行されることになれば、大変深刻な混乱を持ち込むことになる。武力行使の為に自衛隊を海外派遣することになれば、簡単に戻らない。

憲法九条

1.日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2.前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。


*第1次安倍政権で立ち上げられた「安保法制懇」は第2次安倍政権でも同じメンバーで再開した。座長代理の北岡伸一氏はかつて国連の次席大使を務め日本政治外交史を専門とする。
金平キャスター:端的に言うとこれまでの政府答弁・内閣法制局の解釈が間違っていたということですか?
北岡伸一氏:不適切から間違っているという人まで幅があって、私は少なくとも不適切だと思いますね。
北岡:「(集団的自衛権行使)”容認”という言葉も賛成ではない集団的自衛権というのは国連憲章においても、サンフランシスコ講和条約においても、日米安保条約においても、日本はこれを保持すると、これは、日本が持っているのは当然です。ただ、日本はこれまで憲法の枠内で行使できないというのが内閣法制局の解釈で禁止されている。行使できないという解釈を解こうとするのが我々の提言。」「安全保障で国が守れるかどうかは法律家が判断することではなくて、安全保障の専門家が判断すること。」
(蛙の考え:北岡氏の口ぶりでは、自衛権(個別的&集団的)は日本は当然持っているが、憲法が邪魔している。今までの集団的自衛権は持てないという憲法解釈が間違っている、だから、それを変えたいと聞こえる。しかし、従来の自民党の考えでは自衛権の行使は「必要最小限」と限定し、自衛権の中に集団的自衛権は含まず、認めてこなかった。新たに自衛権の中に集団的自衛権を含めた解釈にしたいというのは・・・・)

*北岡氏は集団的自衛権の行使のガイドラインとして6つを挙げた。

金平:海外に自衛隊が出て行くとき、最悪の事態も予想されますね。
北岡:最悪の事態って何ですか?
金平:自衛隊員に死者が出る場合も考えられますね。そういう場合は、質的には変わるんじゃないですか?
北岡:それは今の法制度でもあり得ないことではない。今のPKOでもあり得る話ですね。
金平:今までなかった可能性がこれによって増すという恐れが大きくなる・・・
北岡:それはどうでしょうか。恐れの中には不作為による恐れもある。
金平:外国に武力を送って戦闘に参加する。それ自体の危うさについては日本人が一番知っていると思うんです。であればこそ、ここまで平和主義を貫いてきた。ある種、積み重ねてきたものの重要性というものは、いくら強調しても強調しきれない。兵を出さないということによって築かれてきた重みというものがあるんじゃないでしょうか?
北岡:日本のPKO参加はとても評価されていますよ、世界で。自分が武器を持たなければ持たないほど平和になるというのは間違いだと思います。安全保障にとっては全く間違いです。たとえばPKOに行くときに機関銃を1か2か(?)という問題がありました。充分持って行って使わないのが一番いいんです。

金平:憲法9条との関係ですね。つまり、反対論者のかなりの人が言ってるのは、9条そのものの空洞化とか否定につながるんじゃないか、つまり、解釈改憲、つまり、憲法解釈の変更ではなくて、そのことイコール「解釈改憲」ではないか。
北岡:それは、もともと大きなものは何かと言うと,1954年にそれまで自衛のためのいかなる軍隊も持ってはイケナイと言ってたのを自衛隊を持ってもいいと、これは国家の自然権であるという考えを打ち出した。

金平:警察予備隊自衛隊になったことですね。
北岡:これは大きな変化だと思いますね、それに比べれば小さなささやかな変化だと思いますね。憲法の中で最も重要なのは、国家・国民の安全だと思いますよ。安全なしには基本的人権も幸福追求権もありませんよ。だからそれを守るために国の安全をどう考えるのかが最上のルールの一つだと思います。
(蛙の感想:自衛隊を持った時点で憲法9条との兼ね合いが問題なのはもちろんですが、それを自衛のため(専守防衛)なら合憲と言うことで長年やってきた(苦渋の選択とかなし崩し改憲とかいろいろ問題はありだけど)と言うことを踏まえた上で。最後の所が、聞いていて危険だな〜と思いました。憲法より国家の安全優先と聞こえます。7年間も、同じ考え方の人が、どうすれば集団的自衛権を行使できるか、憲法改変か、解釈だけで出来るか、と考えてきた人たちの言うことだな〜と)   <以下省略>  (「昭和天皇の手紙」は別記事で)
◎ここまでの記事をパソコンに打ち込んでいるとき、6時から「法制懇」の報告を受けた安倍総理の会見がありました。6時台の番組がすぐ解説を:毎日放送MBS)の「VOICE」では与田氏の解説が解り易く、また、よみうりテレビの「ten.」は、イラストがとてもわかりやすかったので写してみました。
★今までの歴代自民党の解釈です。この解釈が、「間違っている」〜「不適切」だと思っている人たちばかりを集めたのが「安保法制懇」です。

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↑これが大事。今までの解釈をガラリと変えることになります。自分の国を守るために<必要最小限の自衛権の行使>の中に集団的自衛権も入ると解釈して、<自国と密接な関係にある他国のために他国へ行って集団的自衛権を行使=戦争できる>になります。



憲法を触らないで、解釈で…というのは憲法の空洞化。総理の考え方と判断が全能というのは、独裁と同じですね。「安全が第一」で憲法は二の次なんて権限は誰が与えたの?と聞きながら思いました。それも「安全」の中身は総理が決めるわけです。秘密保護法と考え方は同じですね。権力者が万能というわけです。周辺事態の緊張と言いますが、自衛権の行使は出来ます。交戦権のない軍隊は軍隊と言わないそうですから自衛隊でいいわけですし。尖閣海上保安庁自衛隊が守ればいいですし、アメリカの船に乗っている日本人は集団自衛権でなくても守れます。海外にいる日本人の安全は、これからも日本政府は平和産業に徹して、国論を二分して反対闘争が起きるような危険な原発の輸出を率先してする死の商人役を政府が演じることは無いと思います。国民の命を守る責任を感じるのなら、今は、福島でしょ!
主権在民、万邦和平の精神は伊豆大島の幻の憲法と同じく現憲法の精神です。近隣諸国との平和のための努力を積極的にしないで、戦争準備を積極的に整えることに邁進する今の政権は憲法違反の政権ではありませんか・・・こんなにヒドイとは・・・どこかでストップをかけないと本当に大変な日本になりますね。大人しい日本人も今怒らないでどうする!って聞いていて思いました。
安倍晋三氏はどうして7年もかかって自分の考えを押し通すためにお友達で諮問機関まで作って憲法改変、出来なければ解釈改憲までしたいのか。「shuueiのメモ」さんが、最適の読み物を紹介して下さっています。

週刊ポスト〈緊急特別寄稿〉カレル・ヴァン・ウォルフレン この国の権力がいま突き進んでいる「日本人を幸福にしない新システム」安倍政権 「4つの不幸」】http://d.hatena.ne.jp/shuuei/20140516/1400181178

この男は国民の幸福より先に「総理としての幸福」を追い求めている

1)祖父を越えようとするほどその功績から遠ざかる総理自身の不幸

2)愚かな坊ちゃんリーダー、ブッシュJrと相似形の不幸

3)改憲論者すら違和感を持つ「軽薄すぎる解釈改憲」という不幸

4)「日本人を不幸にするシステム」をさらに強化しようという最大の不幸