鴻上尚史著『不死身の特攻兵』と杉田水脈議員「LGBTは生産性がない」問題


昨日の酷暑の日曜日、家の中に避難している方が安全ということで、午前中は父の関係で隣に行っていましたが、お昼は、我が家でそうめんをつるつる、体を冷やしてくれる夏野菜と一緒に食べて、さて午後は読書と映画です。まず映画。夫が黒澤明のはDVDコレクションを本屋さんに頼んでいますので、入荷すると本屋さんから電話がかかってきます。3,40年ほど前?の黒澤明全集以来ですが、今回はDVDですので、映画が見られます。昨日は「悪い奴ほどよく眠る」でしたので、クーラーを利かせて二人で見ることに。さすが、しっかりした話の筋です。出てくる俳優さんが又すごい。
悪を懲らしめんと復讐に燃え、秘書となり娘と結婚して近づく三船敏郎モンテクリスト伯がモデルとか。よく眠る悪い奴、公団副総裁に森雅之。仕える管理部長に志村喬。課長に西村晃。自殺して死んだことにさせられる課長補佐に藤原鎌足。三船の相棒に加藤武。三船に愛される足の悪い娘に香川京子。その兄に三橋達也。どんでん返しの結末はぶっ壊れた高級外車に語らせて…すさまじい負け戦です。

読書は鴻上尚史「不死身の特攻兵 軍神はなぜ上官に反抗したか」(講談社現代新書)。読みやすいので、2日ほどで読めました。佐々木さんは陸軍の第一回の特攻隊のパイロットで、「9回特攻に出撃して、9回生きて帰ってきた」人です。
著者の鴻上さんの願いは「多くの人に佐々木友次という人がいたことを知って欲しい。多くの日本人に、こんな特攻隊員がいたことを知って欲しい。」ということでした。なぜかというと、「佐々木さんの存在が僕と日本人とあなたの希望になるんじゃないか。そう思って、この本を書きました。」
間違った命令だと思ったら、従う必要はない。間違っていると言えばよいということです。
言うは易し行うは難し、ですが、やった人(写真の左端、小柄な若者が佐々木さん)がいるし、今でも、やっている人はいます。佐々木さんが貫けたのは、周りに同じ思いの人たちがいて、その人たちが応援していたからです。蔭に日向にそういう人たちが佐々木さんの生還を応援していたのです。様々な偶然や計らいで生き残ったにしても、一人ではなかったといということが大きいと思います。「特攻」という戦術が、それを実行する人たちの納得がいくものではなかった。愚策であると見抜いている人たちが、佐々木さんを生き延びさせました。
平成の今も。”佐々木さん”はいると思います。前川さんが、面従腹背と言ったのは、今も色んな部署でそうやって自分の良心を捨てないで貫きながら生き残って仕事を続けている人たちがいることを知っているからだと思います。諦めるな、ということでもあるし、埋もれて表に出ることはあまりなくても埋火として生き残り、時と人を得て炎となって燃え盛る日も来るかもしれません。これが、希望です!

杉田水脈(みお)議員、ご自分の発言の問題点が分かっていない段階で、庇ってくれる国会議員や大臣もいるとツィートしてしまった杉田議員。「優生思想」に通じる考えが自民党の大臣クラスでも!?と新たな火種? ツィートは削除されたそうですが、覆水盆に返らず、残っています:

 内田樹さんがリツィート
新橋九段
@kudan9 7月22日

これ(↓)、事実と異なるなら自民党の議員先生方は大急ぎで否定しないとまずいのではないか。新潮45に掲載された杉田の認識が党全体に共有されていると思われるぞ。事実なら仕方ないけど。

杉田 水脈
@miosugita
自民党に入って良かったなぁと思うこと。ネットで叩かれてるけど、大丈夫?」とか「間違ったこと言ってないんだから、胸張ってればいいよ」とか「杉田さんはそのままでいいからね」とか、大臣クラスの方を始め、先輩方が声をかけてくださること。…


想田和弘さんがリツイート

ⓢⓐⓘⓣⓞ
‏@kentaro_s1980 7月21日

杉田水脈 問題は自民党の総意らしいね。
自由民主差別政党だから、まあ、そうなんだろうな

●あのBBCのインタビューで笑いながら答える杉田議員:自分の発言の本当の意味を解っていない・・・

内田樹さんがリツイート
ファリード ヤス☪︎
@Yasu9412 7月22日

同性愛者の権利保障に反対する政治家は、残念ながら他の国にもいるだろう。しかし、テレビで「同性愛者はそうでない者より自殺率が6倍高い」と言う話を自分から持ち出した上で、それをあざ笑う政治家は、世界で杉田水脈だけだろうなぜ多くの同性愛者が自ら命を絶っている事実を笑えるのか。狂気だ。https://twitter.com/JPNSecretShame/status/1019994847015522304)

●この問題、毎日新聞が取り上げました。

 内田樹さんがリツィート
平野啓一郎
@hiranok 7月22日

議員辞職すべき。【LGBT:「生産性なし」自民・杉田議員の寄稿が炎上】 - 毎日新聞https://mainichi.jp/articles/20180722/k00/00m/040/028000c


LGBT「生産性なし」自民・杉田議員の寄稿が炎上 毎日新聞2018年7月21日

 自民党杉田水脈(すぎた・みお)衆院議員(比例中国ブロック)が月刊誌への寄稿で、性的少数者(LGBTなど)について「LGBTのカップルのために税金を使うことに賛同が得られるものでしょうか。彼ら彼女らは子どもを作らない、つまり生産性がないのです」などと書き、ネット上で炎上している。杉田氏はツイッター上で<全文を読んでから批判してほしい>と反論したが、性的少数者のみならず高齢者や子のない夫婦も否定するかのような内容で、批判が広がっている。【大村健一/統合デジタル取材センター】

●今日になって朝日デジタルでも:

同性カップルは「生産性なし」 杉田水脈氏の寄稿に批判
2018/07/23 19:53


(←copy; 朝日新聞 杉田水脈氏 )



 自民党杉田水脈(みお)衆院議員(比例中国ブロック)が月刊誌への寄稿で、同性カップルを念頭に「彼ら彼女らは子供を作らない、つまり『生産性』がない。そこに税金を投入することが果たしていいのかどうか」と行政による支援を疑問視した。人権意識を欠いた記述だと批判が上がっている。
 寄稿は18日発売の月刊「新潮45」が掲載。「『LGBT』支援の度が過ぎる」と題して、「『常識』や『普通であること』を見失っていく社会は『秩序』がなくなり、いずれ崩壊していくことにもなりかねません」などと主張した。


 SNSで「優生思想だ」といった批判が広がると杉田氏は22日、自身のツイッターで、先輩議員から「間違ったこと言ってないんだから、胸張ってればいいよ」などと声をかけられたとし、「自民党の懐の深さを感じます」と投稿した。
 しかし、党内からも批判が相次ぐ。武井俊輔・前外務政務官は19日、寄稿を念頭に「劣情を煽(あお)るのは政治ではなくて単なるヘイト」とツイッターで指摘。橋本岳・同党厚生労働部会長は朝日新聞の取材に「生きづらさを抱える人たちが、自分らしく生きられるようにするための福祉行政全般を否定していると受け止められかねない」とした。


 当事者団体も23日、抗議声明を発表した。LGBT法連合会は「LGBTに限らず広く人権の観点から、『生産性』を引き合いに出す主張は疑問」と指摘。LGBT理解増進会は「重大な懸念」を表明し、自民党本部に善処を申し入れた。
 杉田氏は23日、月刊誌の発売後に「ゲイだと名乗る人間」から殺害予告のメールが届いたとして赤坂署に被害届を提出し、関連するツイートを削除。その後、朝日新聞の取材には「コメントできない」と語った。
 杉田氏は2012年に初当選し、2期目。元次世代の党で、自民党が昨年の総選挙で比例中国ブロックに、比例単独候補としては最上位の17位で擁立した。(二階堂友紀)