母の面会と車庫とフェンスと再びの映画「きみの瞳が問いかけている」

先ず桜並木の写真。3月末のものですが、また1年待たないといけないので:

f:id:cangael:20210329152418j:plain   f:id:cangael:20210329152738j:plain

 ◎昨日はホームで母との面会。頼まれていたものを準備して出かけました。予約時に空いていた時間枠が9時でしたので、今までで一番早い時間の面会になりました。

母は日に日に元気になってきて遠くから私たちを見つけると手を振りながら歩行器でやって来ます。頼まれていたのは現金。花柄の手作りの封筒に入れて渡しました。ホームで買い物が出来る日があって身の回りの物やちょっとした小物が買えるようです。

桜の開花に合わせてホームでは元気な二人をお花見に連れて行って下さっとか。俳句の二人だそうです。帰りにスタッフさんがその時の写真をコピーしたものを渡してくださって、満開の花の下の母が写っています。

 ◎ところで、前回の面会の時に母が気にしていたフェンスとガレージのこと。ガレージは今から半世紀以上前、父が50歳の頃車の運転免許を取って、昔からお世話になっている大工さんに頼んで作った車庫。鉄骨製で、屋根はトタン葺き、木製の扉は二枚で一枚ずつ真ん中で上のレールから吊り下げたもの。回転させながら片側に寄せて2枚を重ねます。メンテナンスには鉄柵を加えて全部10年ごとのペンキ塗り替えが必要。

f:id:cangael:20210405105758j:plain f:id:cangael:20210405105847j:plain

植木の散髪でお世話になっているNさんに車庫や玄関扉の修理をよくしてもらっていましたが、車庫はもう無理ということで今度動かなくなったらアウト。「車庫を作り直し、鉄柵のペンキのさび落としをして塗り直すのと、全部取り換えてアルミにするのと費用は同じくらい」と言われていました。母はそのことも知っていて、自分の入退院とホーム入所が落ち着いたら、そちらに取り掛かるようにと言っていました。

後期高齢者夫婦にとっては大工事になりそう。以前、実家と我が家の通路を作るのにお世話になった豊中のN工務店の若社長は会長さんの身内の女性で一級建築士。代替わりしてからは毎年の大晦日にカレンダーを持って自分で車を運転してご挨拶に回っておられます。昨年暮れ、年が明けたら車庫とフェンスのことでお願いしたいことがあってと伝えていました。3月中旬に夫が会長に電話したら、夫より一つ年上の会長さんが一級建築士若い女性と一緒に話を聞きに来てくださって、アチコチ寸法を測り、先週は、解体の下見にと専門の人たち3人を連れてこられました。

そんなこともあって、ガレージの扉とフェンスの玄関周りを見学がてら二人で散歩に出かけました。最近の傾向は、フェンスをつけないのが流行りです。車庫も屋根をつけないでそのままというのが多いのに驚きました。母が気にしているのは、これが母の最後の家の補修の仕事だから。残してきた家の始末はきちんとしないと気が済まない母の性格。使うのは私たちですので、何年か先を見越したものにしたいとは思っていますが、工務店さんの提案を待っているところです。

f:id:cangael:20210405104843j:plain

★さて、雨が降るという日曜日の午後はDVDの映画を観る予定にしていました。昨年公開された「きみの瞳(め)が問いかけている」のディスクが2日到着。レンタルもこの日から開始です。天気の良い日の午後は夫は箕面の山歩きに出かけてしまいますので、雨の日に観てほしいと思っていました。ラブストーリーというより、贖罪と赦しと再生の物語で、なかなかよく出来ている内容ですので見ごたえはあると思い薦めることに。

夫にとってはダブル主演の吉高由里子さんは「花子とアン」で見たことがある女優さん、もう一人の横浜流星さんは初めてで、私が紹介したい役者さん。見終わって、これなら行けそう?かなと思ったので、昨年私が書いた長文の感想文のようなものを読んでもらうことに。長いのを書くな~と呆れ気味ながら熱心に読んでくれました。

 (3)「きみの瞳が問いかけている」塁の帰る場所(絶望から希望のあかりと再生) - 四丁目でCan蛙~日々是好日~ (hatenablog.com)

 映画終盤に繰り返される暗転について考えて書いたものですが、夫も同じところで声をあげていましたので勧めて見ました。読み終わって、良く分析できてると言われ、合格だったようです。勢いで書いたもので謎の暗転について何とか納得できる自分なりの解釈をしてみたかったので長文になってしまいましたが、ブログは見ないし滅多に褒めることがない夫の口から言われると嬉しかったです。私が、あの暗転のどこで終わっても可哀そう過ぎるよね、と言うと夫もハッピーエンドで良かったよと。これで横浜流星さんの次回の映画からは二人で観ることが出来るようになりそうです。

f:id:cangael:20210405104937j:plain

★同封されていたパンフレットが充実しています。この映画は第25回釜山国際映画祭に出品され、三木監督と主演二人の3人がリモートで映画祭に参加し「Q&A」を実施した模様が記録されています。そして、特典映像にはない青山学院大学の「青山祭」のトークイベント「『きみの瞳』特別授業in青山祭~人が人を想うとは~」の記録も掲載。最後に載っている、昨年、全身癌を克服して復帰を果たしたフリーアナウンサー笠井信輔氏の「動きだした風車」と題する解説文がとてもいい文章でした。笠井氏は3人の舞台挨拶の司会も務めておられましたが、コロナ禍とこの映画の内容を結びつけてこんな風に書いておられます。

f:id:cangael:20210405111156j:plain

☆この映画は冒頭、塁が駐車場の管理人の仕事の初日、約束の時間に遅れた時「遅れるなら連絡ぐらいしろ」と言われて「ケイタイ持ってないので」と言わせています。その事から笠井氏は「目の不自由な明香里にとって音声コミュニケーションは極めて重要だけど、それを奪うことによって塁と明香里は『直接会う』、会っても一方は目が見えないので『触れ合う』か『会話』によるコミュニケーションしか手段はない設定になる。直接会うことから生まれる『葛藤』『衝突』『愛』」。

SNSで本名も顔も知らない人と文字によって繋がろうとする現代の若者たち。一方明香里は目が見えないにもかかわらず、塁と視線を合わせようとする。コミュニケーションの基本を目の不自由なヒロインに教わるのです」「タイトルの『瞳』は明香里の瞳だと考えていました」が、見終わったら「この物語は、生きる希望を失った塁の瞳の問いかけを、その思いを、目が見えるようになった明香里が受け止めることが出来るまでのラブストーリー。私は最後にそう感じました」と書いておられます。

タイトルになっている風車について最後の部分です:(写真は全てパンフレットから)

 ラストシーン、気づきましたか? 風車の並ぶ海岸。絶望した塁が海に入るとき、風車が一つ止まっています。しかし、明香里が彼を見つけると動き出すのです。‥‥公開されてから、その事を知った二人。とても驚いていました。同時に感銘を受けていました・・・・・映画の神が降りてきたのです。

 私たちの世界は、一体、いつ動き始めるのでしょうか? 二人の世界のように、気兼ねなく触れ合う世界が再び動き始めることを願って…。」