◎庭に夫が小さな畑を作ったのはコロナ禍の去年のこと。母が介護付き老人ホームに入居を決めたのもきっかけの一つでした。私も花壇の手入れが億劫になってきて重たい鉢物も整理したいと思っていたのと重なって、大事な花も思い切って諦めました。
今まで、白菜やレタスや大根などが小さいながらも口に入るようになって、赤タマネギやエンドウ豆が少しずつ収穫出来て、今は毎日キュウリやナスが取れますし、その内トマトも赤くなるでしょう。
(手前に里芋ときゅうり) (ナスとトマトと手前にさつま芋)
先日、夫が丸々太ったきゅうりとナスの写真をラインにあげたら、ビックリした息子たちから返信が。そういえばコロナでここ2年帰省していない息子たちには畑の話はしたかもしれませんが写真を載せたのは初めて。火曜日の夜は東京の長男から電話。オフの日だったようです。夫が話し終えた後私が代わってドラマの話になりました。やはりコロナの所為でどこも出かけられないし一杯飲むことも出来ず家に帰って「春クール結構見たよ」ということでドラマの感想を言い合うことに。
意外にピッタリ合います。NHKの「今ここにある危機と僕の好感度」が素晴らしかったこと、NHKだからこそだったという話から、不思議にほかのドラマの評価が一致するのに驚きました。「イチケイのカラス」の竹野内豊の抜け感がいいとか「大豆田とわ子と三人の元夫」の下らなさが良いとか、「半径5メートル」の芳根京子さんがきれいになって演技もうまくなったとか、「コントが始まる」の有村架純さんがいい女優さんになったとかいう話になって、川口春奈さん、大河ドラマで沢尻エリカさんの代役で帰蝶を演じて良かったというのまで意見が一致したので、「着飾る恋には理由があって」の川口さんもとても良いよ~今夜、最終回だから見てと勧めました。
◎最終回、見ていて途中で「しまった」と思いました。9話までかなり深刻なやりとりがあって、さあ、どうするという結末でしたが、コロナ禍での連ドラ、それも家の中でのラブストーリー、必ずハッピーな描き方をしますと制作サイドが事前に宣言していたドラマでしたので、解決編の最終回はそれぞれが決着をつけて最後は祝祭的なムードの大団円。これは今までの展開が分からない人に勧めてもダメだったと思いました。息子は第一回から見ると言ってたのに…「見て、見て」と勧めたことを後悔しましたが、案の定、「川口春奈、イケてない。横浜流星見たかっただけでしょ」という悔しいメールが。「9話まで見続けてきた者しか見てはいけない最終回だった」と私も言い訳したり・・・いつまでも続くやりとりを見かねた沖縄の次男が「そーゆーの、ある」と「祝祭ヴァージョンで、他の回はあんなレベルではなかったの」という私に加勢?してくれたり。ドラマは見ない夫が、何の話だと呆れていました。
「着飾る恋には理由があって」最終回
このドラマ、シェアハウスに住む男女4人とオーナーの女性と元夫と、20代、30代、50代の3組の男女の物語。主に20代の真柴くるみと藤野駿の二人に焦点が当てられます。途中からアラフォーの元社長が加わって三角関係?という話になりかけますが、くるみは社長への7年間の片思いの末に出会った駿が、自分にはない視点から与えてくれる指摘に助けられて自分が変わっていくことを実感、時に見せる優しさにも惹かれ「私が好きなのは藤野さんだよ」と、葉山の出現にくるみを失う前に身を引く決心までした駿に宣言。くるみの一途さは最後まで変わらずでした。駿からは自分を着飾らず無理せずありのままの自分を大切にという事を学びます。また、好きなものなら無理して辞めなくてもという駿の言葉や葉山の「失敗したら、まず顔を上げて、今できることを考える、過去は変えられないけど自分と未来は変えられる」「いつかしたいは、今からだ」と教えられます。自分が扱いたいシェルランプが取り上げられないのを切っ掛けに会社を辞めてバイヤーとして独立、オンラインショップを立ち上げます。
駿は、葉山元社長の出現に一時は動揺しましたが、くるみの気持ちが駿一途なのを知った葉山が戦意喪失?したことや、駿への大人の対応に、葉山に心を許すとともにインスタを勧めた責任をとって立派にくるみを助けるのを見て畏怖から畏敬の念を新たに。
(写真↓左真ん中の女の子は映画「万引き家族」でネグレクトの女の子を演じていた佐々木みゆさん。右は地元のワサビをもらうシェフ駿)
駿は田舎でのキッチンカー出店の経験から、北海道の話を断って、キッチンカーで全国を回って地域の食材を生かした料理を食べてもらうという新し仕事を思いつく。最後はくるみに「付き合ってください、一生つきあってください」とプロボーズも出来ました。
30代の二人は、画家の夢を諦めた羽瀬さん、画材から作品全部を捨てる決心をしたものの、いざ運び出されるとやはり未練が。在宅カウンセラーの陽人は一部を残してくれていました。画家の夢を叶えるために「僕と結婚しよう」と言われた時は「今ほしい言葉じゃない」、それでは止められなくなると思っていましたが、「全部捨てんでもええんちゃう」と絵を描く羽瀬さんが好きだという陽人との未来こそ自分が自由で居られると確信して「結婚しよう」と言います。
50代のハウスのオーナーでフードスタイリストの香子は今の自由な幸せを大切にして再婚の道は選ばず、元夫とは「緊急連絡先」という関係を崩さず、「家族未満、友達以上」の自由な関係で付き合うことを決心。
アラフォーの葉山は、ハウスから黙って去ろうとしていたが、追っかけてきた真柴から7年間の片思いをバネにがんばれたと涙ながらの”長年のご指導ご鞭撻”の感謝とお礼の言葉を聞いて、「1つだけ間違いが、片思いじゃなかったよ、気づくのが遅かったけれど」と告白。本当は、真柴を連れてトルコへ行くことまで考えていたのに。最後、タクシーに乗り込んで一人「頑張りますか・・・」という再出発。
いよいよ最後は陽人と羽瀬さんの結婚式のシーン。くるみのオンラインショップも2万のフォロワーがつき順調な出だし。いつものサイドB、駿の裏の言葉は表の言葉「一生付き合ってください」のプロポーズとなり、「to be continued」は5年後、村を訪ねるキッチンカーと、ママになったくるみが女の子と一緒に車から降りて、駿が「あかり」と呼んで子どもを抱き上げるシーン。二人は結婚してママとパパになっていました。
3組とも女性がリードして決断しています。ドラマはフィクションではありますが、とてもリアルな描き方でした。現実はそうではない場合が一杯だけど、失敗もすれば悩みもする主人公たちの恋と仕事と生き方の物語。これが脚本の金子ありさ、プロデューサーの新井順子、演出の塚原あゆ子、三人の描いた世界。少しガンバレば自分でも実現しそう、ちょと頑張ってみようかと思えるリアルな世界であったと思います。10話通して見た者にはハラハラ、ドキドキのあとホッとして最高の満足感と幸福感に満たされて終われました。
ミニマリストの駿もスマホを持ち仕事にも生かすようになっているし、着飾らないで、普通がいい、ありのままがいいと言われていたくるみも、時にはスッピンで着飾らないこともあるけれど「あなたに素敵と言ってもらえるために着飾る」「着飾る理由はあなたよ」と。二人はお互いの価値観に影響し合って互いに取り入れつつ無理のないバランスで落ち着くようになりました。
女性が働きやすく、生きやすい社会というのは、結局、男性にとっても楽な社会。『男らしさ・女らしさ』を求められることはお互い辛いものです。女性問題は男性問題でも。二人が、一旦はそれぞれの夢の実現のため北海道と東京と別々の道を歩むことを決めたとき、ともに「応援します」と励まし合い、涙があふれるくるみに駿が「頑張れ」と声を掛けていました。男女がこうやって仲良く日本のジェンダーの問題を解決していけるといいなと思いました。もちろん政治の後押しが必要ですが。