「防衛費増額への警鐘 元海上自衛隊自衛艦隊司令官・香田洋二さん」(朝日新聞)

内田樹さんがリツイートしました

「弾薬など継戦能力の大幅拡充、他国に遅れない装備品の開発調達には相当のお金が要るが、今回の計画は自衛隊の現場のにおいがしない。子どもの思いつきかと疑うほどあれもこれもとなり、身の丈を超えていると思う。国民への説明も不十分で、絵に描いた餅にならないか心配だ」

◎↑朝日新聞23日の「オピニオン&フォーラム」頁はインタビュー記事でした。

防衛費増額が政府により決定されましたが、この記事は、それに対する元自衛隊幹部からの「警鐘」ですので全文を保存です。香田洋二さんが疑問に思っておられる「身の丈を超えた、現場のにおいのしない」増額がいったいどこからきているのか? 26日の「shuueiのメモ」さんの記事を読むとなるほどと。タイトルは「日本は防衛費を3倍に元米国務省高官コルビー氏「中国の最終的な狙いは太平洋支配」、日付は2022年8月4日です。

是非、合わせてコチラを:

「日本は防衛費を3倍に」元米国防省高官コルビー氏 「中国の最終的な狙いは太平洋支配」 2022年8月4日 - shuueiのメモ (hatenablog.com)

それでは、朝日新聞の記事を:

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防衛費増額への警鐘

 5年間で43兆円

 身の丈超えている

 現場のにおいなし

     海上自衛隊自衛艦隊司令官 香田 洋二(こうだ ようじ)さん

     1949年生まれ。72年防衛大卒、海上自衛隊入隊。退官後、ハーバード大

     上席フェローなどを歴任。近刊に「防衛省に告ぐ」。

 

来年度から5年間の防衛費を、従来の1.5倍に当たる43兆円に増やす計画を政府が決定した。歴史的な増額を自衛隊の関係者は歓迎しているかと思いきや海上自衛隊現場トップの自衛艦隊司令官を務めた香田洋二さんは「身の丈を超えている」と警鐘を鳴らす防衛費の増額が持論の香田さんが、そう訴える理由を聞いた。

「では、何が問題?」

つづき:「極超音速ミサイルは米国が2兆円かけても配備計画にいたらず、衛星コンステレーションは米国もやろうとしています。防衛産業の基盤が厚く、同盟国である米国との共同開発・運用を、効率と効果の面から選択肢とするべきではないでしょうか。サイバー舞台も、人員確保に悩む自衛隊で他の部隊の能力を維持したまま2万人も集められるのか疑問です。」

「その目標を、米国の要請でNATOがつくったのは2014年です。10年近く前から相当に準備している中で、ロシアからウクライナ侵攻があり、ドイツなどが明確にかじ事を切ったわけです。日本は急ぎ過ぎた上に、内容も身の丈を超えたものになっています。

―――防衛費は多ければいいということでもないのですか。

「予算に無駄があれば、防衛力にとってもマイナスです。新しい研究を始めると、途中で辞めることはなかなかできず、人も張り付きます。多くの装備品は、実はローン払いで後年度負担があり、維持費も相当にかかります。これらの選択肢を誤ると、将来本当に必要な防衛力にお金や人材を投入できないことにさえなるのです」

「敵地攻撃能力」について

つづき「事前にはっきりさせておかなければ、実効性を持たないばかりか、現場の自衛隊がしわ寄せを受けることになりかねません。」

「2%」が先行 

政治からの声に 

悪乗りはないか

「今回、2%の掛け声が先行し、政治家からもあれもこれもやるべきだという声も強かったのではないでしょうか。防衛費増額は私もOBとしてありがたいと思いますが、それに悪乗りしている防衛省自衛隊の姿が見えるのです。その結果、5年後の時点ではまだ1・5%ということもあり得たと思います。もちろん、2%超になることもあり得ますが、そこでは財政当局や政治の査定が入ります」

      ■   ■

―――防衛増税については賛否が割れています。財源はどう考えますか。

国民負担という痛みがあるからこそ、本当に必要な防衛力が積み上がります国債という麻薬のようなものを平時に使えという主張があることは信じられません。歴史的にも、いまのウクライナやロシアもそうですが、本当の有事では政府は嫌でも大量の借金をしなければいけません。平時は、歳出改革以上の分は税金で支えて頂くしかないのです。でも、だからこそ1円たりとも無駄にしてはいけないし、後ろ指をさされることが無いように、国民への説明責任を果たさないといけません

つづき:「心理戦や情報戦への対抗手段はあっていいと思いますが、国民の意識を一定方向に持って行くようなことは絶対やってはいけませんし、戦後生まれの自衛隊がそのようなことを企てることは断じてないはずです自衛隊が守っているのは民主主義なのですから」

「私は現役時代、自衛隊は悪だという世間の視線を時に感じながら過ごした世代です。20代の時、北海道沖で暗夜、私の乗る護衛艦が突然ソ連軍艦から照明弾を発射され、大砲を向けられたことがありました。命の危険を初めて感じ、自衛隊員の服務宣誓にある『事に臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に務め、もって国民の負託にこたえる』の意味を実感しました。命をかける自衛隊を国民に支えてもらいたいという思いはあるし、古巣に私が厳しく言うのは、多くの国民が支えたいと思う組織であってほしいからなのです」     

                           (聞き手・西尾邦明)

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◎こちらも:

「日本は防衛費を3倍に」元米国防省高官コルビー氏 「中国の最終的な狙いは太平洋支配」 2022年8月4日 - shuueiのメモ (hatenablog.com)