映画「青春18 x2 君へと続く道」藤井道人監督と「河村光庸氏と憲法(公益性の裁判)」

★3日の金曜日、お茶飲み友達のSさんを誘ってこの日公開の映画を観に出かけました。台湾と日本の合作映画「青春18ⅹ2 君へと続く道」で30分の舞台挨拶中継付きという回、スタートは12時半からです。とても爽やかな良いお天気のなか、20分ほど歩いて映画館を目指しました。

 

映画『青春18×2 君へと続く道』公式

青春18x2 君へと続く道
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄🛵⸒⸒ ⠀
 
⋱⠢ 本日公開 ⠔⋰
ジミーとアミの旅を
皆さまもぜひ楽しんでください。
 
6日(月)までの4日間限定!
《公開全劇場》にて 【数量限定・先着】“青春18×2 フィルムしおり”を入場者プレゼント! ⠀ 連休は、映画館でお待ちしております。…
 
𝟓月𝟑日(金)全国ロードショー
監督・脚本 #藤井道人
主題歌 Mr.Children「記憶の旅人」
 

写真(上)の5人の方たちの舞台挨拶の中継でした。「なにわ男子」のメンバーの道枝駿佑さんが重要な役で出演していたのは意外でした。台湾と日本の観客から事前に募った質問が書かれた紙片をおみくじのように箱の中から取って答える形でトークが始まりました。

映画は前半と後半で舞台が台湾から日本に移ると同時に物語も意外な展開になります。ラブストーリーであり、ロードムービーでもあり、若者の成長物語でも、人生を考えさせるお話でもあり・・・南国台湾と冬の日本の映像が美しい映画です。

主演の台湾のシュー・グァンファンさんの18歳と36歳の演じ分けが見事です。アジアの人気スターだそうです。清原香耶さん、いつも難しい役を演じこなす立派な俳優さんですが、今回も。公開日から4日間、フィルムの栞がもらえるそうです。入口で渡されました。

公開されたばかりなので内容にはこれ以上触れないで、藤井道人監督について。

Netflixの映画「パレード」は、藤井監督に日本アカデミー賞をもたらした「新聞記者」のプロデューサーだった河村光庸氏追悼の作品。映画界の恩人ともいうべき人物の突然の喪失を映画作品にすることでしか乗り越えられないという藤井監督。

実は、藤井監督の祖父に当たる方が台湾の方。台湾には若い頃、留学の経験もあるということです。個人的な想いから作品を思い立ち、それを普遍の物語にする…という方法でしかこの先も…という思いが語られるインタビュー記事です:

映画『青春18×2 君へと続く道』藤井道人監督インタビュー──「いままでもこの先も、自分を投影しないもの・できないものは僕には撮れないなと思います」 | GQ JAPAN

3時10分に終わって、帰り道は、来た道とは別の、当体池公園の北側を辿って、映画の感想をお喋りしながら。Sさんは台湾旅行で病気になってホテルから一歩も出られなかった苦い経験があって、この映画を観て台湾の印象が良くなったとか。帰って、我が家で冷たいアイスモナカとお茶で一休み。朝取りのエンドウ豆をビニール袋に入れて用意していたのでお土産に。

上の写真は憲法記念日を前に『憲法を手に』というタイトルのシリーズ記事で、河村光庸さんを取り上げたものです(朝日新聞4月26日)。

2019年のこと、映画「宮本から君へ」の文化庁からの助成金1千万円の交付金が、出演者の一人が麻薬取締法違反の有罪判決を受けたことで公布から4か月後の7月に取り消されることを通知された時、河村氏は「これは表現の自由への介入で憲法問題だと思う。貴方はどう思う」

顧問弁護士の四宮氏が意見を求められたが、確信が持てず、一票の格差をめぐる訴訟に長年取り組む伊藤真(まこと)(65)弁護士に相談。伊藤は開口一番、「間違いなく、これは憲法問題です」と言った。

11月、河村の事務所を訪ねた伊藤に、河村は思いを語った表現者として、業界内の『忖度』や『萎縮』を感じている。権力の介入以上に自主規制が危険だ。文化芸術表現活動を守るための闘いにしたい

伊藤の声掛けで結成された6人の弁護団の一人、平祐介(42)。実務家であると同時に法科大学院でも教える行政法の研究者だ。その平によると、広い裁量権が認められている行政を相手に「裁量権の逸脱・乱用で違法」と訴えてもまず勝てないというのが「常識」だった。

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 では、どう挑むか。平は「憲法の力で裁量の幅を狭めることを考えた」と話す。

 芸術助成金などの交付に、「公益性の観点」という漠然とした概念を考慮することは、表現内容の恣意的な選別につながりかねない。交付申請自体にも萎縮効果を与え、表現の自由を保障した憲法21条の趣旨にもとる――。

 東京地裁は、裁量権の逸脱・乱用を認め、不交付の決定を取り消した。しかし、東京高裁は「薬物乱用の防止という公益性の観点から」の不交付であり裁量権の乱用などは認められないとして、逆転敗訴を言い渡した。

 23年11月17日、最高裁第二小法廷(尾島明裁判長)は、原告逆転勝訴の判決を言い渡す。判決は裁量権の逸脱・乱用を認めるにあたり、抽象的な「公益性」を根拠に女性を見送れば表現行為を萎縮させかねないとする原告側の主張を汲んだうえで、こう述べた。「芸術家の自主性や創造性も損ない、憲法21条による表現の自由の保障の趣旨に照らしても看過しがたい

 原告の訴えを正面から受け止めた「歴史的な判決」(平)だった。

 一貫して「表現の自由の問題だ」と問い続けた河村は、最高裁判決を聞くことなく、22年6月に亡くなった。判決後の記者会見で、四宮は言った。「死せる河村が、最高裁を動かした」            =敬称略 (編集委員 豊秀一)  

★河村氏、22年の映画「ヴィレッジ」の撮影が終わった直後急逝。藤井監督のお話では最後に寵愛を受けた俳優が横浜流星だそうです。Netflixの「パレード」では長澤まさみさんはじめ縁の俳優たちが藤井監督の追悼映画作りに参加しています。遺志を継いでくれる人たちをしっかり残して、そういう映画人に慕われて、とても幸せな一生の終わり方だなと思います。

河村光庸から受け継いだもの 前編 藤井道人インタビュー | レジェンドの横顔 第5回 - 映画ナタリー (natalie.mu)