元スイス大使の野田総理への手紙

昨日の記事「そもそも総研」の大きな円形グラフのイラストの最初は「火曜日・野田総理が『この夏を原発ゼロで迎える選択肢がある』」と発言」したことが書かれています。
そのことと関係があるのでは?と思わせる記事がこのスイス元大使で4月11日の蛙ブログ(http://d.hatena.ne.jp/cangael/20120411/1334103065)でも取り上げたことがある村田光平(みつへい)氏についてです。
「Various Topics」さん(http://afternoon-tea-club.blog.ocn.ne.jp/blog/2012/05/post_0a58.html)の記事によりますと、村田氏は野田総理に3月25日に書簡を送っています。その中で、あのドイツZDFテレビ製作の「フクシマのウソ」の内容の「書き起し」文をつけて、「内容は衝撃的で 内外で反響を呼んでおります。『原子力ムラ』の実態が生々しくさらけだされており、日本人として恥ずかしい限りです。日本の名誉挽回には一日も早い脱原発政策の確立しかないとの確信を深めました」という書き出しで紹介しておられます。
(「フクシマのウソ」は蛙ブログでも3月22日と24日で取り上げています/http://d.hatena.ne.jp/cangael/20120324/1332574675)
その後、民主党政権になってオバマ大統領と初めて会ってもらえた(?)今回の野田首相渡米直前の4月27日、元国連職員の方と総理官邸で藤村官房長官と会談、福島第一原発の4号機問題を伝えたということです。村田元大使のHPはこちら:http://kurionet.web.fc2.com/murata.html
会談の内容については以下にコピーします 。総理への書簡は是非HPを訪ねて↑読んでみてください。

藤村 修 内閣官房長官を往訪して


 訪日中の松村昭雄元国連職員とともに4月27日、午後2時30分より15分間、総理官邸において藤村修内閣官房長官と会談いたしました。


松村氏からは次の諸点を述べました。


1.4号機には著名な核科学者Robert Alvarez 氏によればチェルノブイリの10倍のセシウム137があり、福島第一全体では85倍となる。4号機の崩壊などにより冷却プール内の燃料棒が火災を起こすに至れば地球規模の大惨事に発展することについて異論は見られない。


2.米国の地震学者は今年中に日本においてマグニチュード6.5以上の地震が発生する可能性があると見ている。このことは米国の日本に対する協力をためらわす要因になりつつある。


3.これまで米国のマスコミはこの問題を大きく報じていることもあり、野田総理の今週末の訪米に際し、オバマ大統領が問題提起することは確実と思われる。Wyden米上院議員が藤崎大使宛書簡の中で国際協力を求めるよう要請したことに関し、もし野田総理が現在の対応振りに問題がないとして、これに否定的な姿勢を示すことは自殺行為となろう。米国の関係者の間で国と東電を信頼するものはいない。そして日本には事故収束に必要とされる技術がないと見ている。


4.Arnie Gundersen 博士など親しい米核科学者は「中立評価チーム」の設置を提案しているが、日本としてはこの案を土台として幅広い国際協力を実現することが強く望まれる。



 私からは次の諸点を指摘しました。


1.4号機問題は日本、そして世界の安全保障問題であるとの認識が広がりつつある北朝鮮のミサイル問題に劣らぬ緊急課題であるにも拘らず、最大限の対応が行われていない現状は改める必要がある。



2.8年前、各方面に「日本の命運を左右する電力会社」との警告を発信したが、無視されて現実となってしまった。現在は新たな決意で「日本の、そして世界の命運を左右する第一福島4号機」との発信を行っている。


3.事故対応には営利企業の限界を超える経費の捻出が求められる。経費節約のため十分な対策が採られていないとの具体的事例がメールで寄せられている。国が一層前面に立って責任を果たしていくことが求められている。


 以上に対して、藤村官房長官からは政府としてもこの問題を重視しており、このほど中塚副大臣は4号機の視察を行っていると述べられました。


 野田総理訪米の直前にこの会談が実現したことは変意義深いものがあると認められます。