「最高裁の判決を受けてのコメント 佐藤栄佐久さん」

16日に出た佐藤栄佐久元知事への最高裁の判決についてご本人の佐藤栄佐久氏がコメントを掲載。
原発のない日本を目指して福島から叫びます」さんに紹介されましたのでタイトルごとソックリ引用させていただきます。
引用元:http://blogs.yahoo.co.jp/phkhn641/14205137.html

最高裁判決を受けて各社に配布したコメントをブログにも掲載させていただきます。

平成24年10月16日
佐藤栄佐久


 本日10月16日、最高裁判所は、私、佐藤栄佐久の上告を棄却する決定を下しました。

 私は、この裁判で問われている収賄罪について無実であり、最高裁の決定には到底、承服できません。真実に目を背けるこの国の司法に対して、大変な失望を感じています。


 そもそも、この事件は「ない」ものを「ある」とでっち上げた、砂上の楼閣でした。
 私と弟は収賄罪で突然逮捕され、世間から隔絶された東京拘置所の取調室で、東京地検特捜部の検事から身に覚えのない自白を迫られました。
 私の支持者たちが軒並み特捜部に呼び出されて厳しい取り調べを受けている、それによって自殺未遂者も出ている。私は独房の中で悩み、そして、「自分ひとりが罪をかぶって支持者が助かるなら」と、一度は虚偽の自白をいたしました。


 しかし裁判が始まると、収賄罪の要件は次々に崩れていきました。私が知事室で土木部長に発したという「天の声」は、不可能とのアリバイが証明されました。また、「知事への賄賂で弟の会社の土地を買った」と証言したサブコン水谷建設の水谷功元会長は、「検事との取引でそう証言したが、事実は違う。知事は潔白だ」と証言しています。特捜部の描いた収賄罪の構図は、完全に崩れてしまいました。


 私の弟は、東京拘置所の取調室で、担当の検事からこんなことを言われていました。
「知事は日本にとってよろしくない。いずれ抹殺する」
 今にして思えば、これが事件の本質だったのかも知れません。



 私は知事在任中、東京電力福島第一・第二原発での事故やトラブルを隠蔽する、国や電力会社の体質に、福島県210万県民の安全のため、厳しく対峙していました。国から求められていたプルサーマル実施についても、県に「エネルギー政策検討会」を設置して議論を重ね、疑義ありとして拒否をしていました。事件は、このような「攻防」を背景に起きました。
 大変残念ながら、その後プルサーマルを実施した福島第一原発3号機を含む3つの原子炉が、福島原発事故メルトダウンを起こし、私の懸念は、思っても見ない形で現実のものとなってしまいました。私たちのかけがえのない「ふるさと福島」は汚され、いまも多くの県民が避難を余儀なくされる事態が、いまだ進行中です。苦難を余儀なくされ、不安のうちに暮らしている県民を思うとき、私の胸はひどく痛みます。


 一方、私の事件の直後に起きた郵便不正事件のフロッピーディスク証拠改竄事件の発覚によって、特捜部の、無理なストーリーを作っての強引な捜査手法が白日の下にさらされました。フロッピー改竄事件で実刑判決を受け、服役した前田恒彦検事は、私の事件で水谷功氏を取り調べ、水谷氏に取引を持ちかけた検事その人なのです


 当然、私の事件はすべて洗い直され、私には無罪判決が言い渡されるべきでした
 しかし、最高裁は私と検察側双方の上告を棄却した、そう聞いています。
 確定した二審判決である東京高裁判決は、大変奇妙なものでした。私と弟の収賄を認めたにもかかわらず、追徴金はゼロ、つまり、「賄賂の金額がゼロ」と認定したのです。そして判決文では、「知事は収賄の認識すらなかった可能性」を示唆しました。ならば無罪のはずですが、特捜部の顔も立てて、「実質無罪の有罪判決」を出したのです。


 今日の決定は、こんな検察の顔色を伺ったような二審判決を、司法権の最高機関である最高裁判所が公式に認めたということなのです。当事者として、こんな不正義があってよいのかと憤ると同時に、この決定は今後の日本に間違いなく禍根を残すと心配しています。



 福島県民の皆様。日本国民の皆様。
 私は、弁護団とも相談しながら、今後とも再審を求めることを含めて、無罪を求める闘いを今後も続けていきます。どうか、お心を寄せていただきますようお願い申し上げます。

◎手元に「佐藤栄佐久開沼博 地方の論理 フクシマから考える日本の未来」という本があります。
一度読んでみたのですが、二度目を読みながらいつかブログでまとめなきゃと思っていたところ、先日「Various Topics」さんのブログ(http://afternoon-tea-club.blog.ocn.ne.jp/blog/2012/10/post_3c97.html)で、開沼博氏の「フクシマの正義」の紹介があったので、今度はコチラを読んでからにしようか・・・と思い直したりしていたところでした。
<フクシマを「支配するまなざし」/ローカルな「正義のあり方」= 「フクシマの正義 『日本の変わらなさ』との闘い」開沼博氏インタビュー>はコチラ:http://wedge.ismedia.jp/articles/-/2295

◎「司法の独立」という言葉が泣きます。勇気をもって白は白と言ってくれなければ・・・。
フロッピー事件の前田検事が関わっていたとは驚きました。
福島の原発事故で今まで隠されていたもの…知らなかったことが白日のもとに・・・知ったからには・・・