「アメリカ発<平成の治安維持法>がやってくる! 」(堤未果)

←今朝の日経一面真中に世論調査の結果が。「特定秘密保護法案の反対が50%となり賛成26%を上回った。10月の前回調査は反対43%、賛成35%だった。安倍内閣の支持率は63%と前回より3ポイント下落した。秘密保護法案への懸念が背景にあるとみられる」。
□さて、遅ればせながら「堤未果」さんです。堤未果さんと言えば、夫が読んでいた「貧困大国アメリカ」が思い浮かびます。Wikipediaで調べると出てきますので貼り付けて見ます。

堤 未果(つつみ みか 1971年 - )は、日本のジャーナリスト、著作家。父は放送ジャーナリストのばばこういち、母は詩人の堤江実、夫は参議院議員川田龍平

[来歴]
・1971年、東京都に生まれる。学校法人和光学園の小学校、中学校、高校を卒業後、アメリカ合衆国に留学、ニューヨーク州立大学国際関係論学科卒業、ニューヨーク市立大学大学院国際関係論学科修士課程修了。国際連合婦人開発基金アムネスティ・インターナショナルニューヨーク支局員を経て、米国野村證券に勤務、2001年のアメリカ同時多発テロ事件の時は隣のビルの20階にあるオフィスに勤務していた。事件を目撃したことで、自らの目で米国という国を見ようと志し、ジャーナリストとなる
・2006年『報道が教えてくれない アメリカ弱者革命』を上梓、日本ジャーナリスト会議黒田清新人賞を受賞、以後、米国-東京間を行き来して執筆、講演活動を行う。
2008年、薬害HIV訴訟の元原告で参議院議員川田龍平と結婚、同年『ルポ 貧困大国アメリ』(岩波新書)が40万部を超えるベストセラーになった。米国が作った「経済的徴兵制」という仕組みと、戦争の民営化について指摘し、多くのメディアで絶賛された。同書は第56回日本エッセイスト・クラブ賞と、中央公論新社が主催し出版各社の新書編集長と主要書店の店員が選ぶ「新書大賞2009」の二つを受賞し、韓国・台湾・中国でもそれぞれ翻訳出版、コミック版も刊行された。政治と企業の癒着をテーマにオバマ後のアメリカを追ったルポ・貧困大国アメリカII」(2010年岩波新書より刊行)もベストセラーに。「ルポ・貧困大国アメリカ」は2013年の「岩波書店100周年〜私の選ぶ岩波本ランキングトップ10」入り。 Iと同様に中国、韓国でも翻訳出版されている。
・また、中高生向けに書いたメディアリテラシー本「社会の真実の見つけ方」(岩波ジュニア新書)も韓国で翻訳出版。
・ 2010年10月からはJ-WAVEラジオのパーソナリティ。 2011年「政府は必ず嘘をつく」(角川SSC新書)を刊行。同書は「2012年早稲田大学理事長賞」を受賞。
・また、講談社の雑誌『クーリエ・ジャポン』2010年3月号のメイン特集「オバマ大統領就任から1年 『貧困大国』の真実」で責任編集を務め、自著の2作『貧困大国アメリカI』『貧困大国アメリカII』に引き続き、オバマ後の教育、医療、刑務所ビジネスなど、日本のマスコミが伝えない米国の現状を多面的な角度から紹介している。さらに核をめぐる世界の状況やメディアリテラシーなど、幅広いテーマで執筆・講演・ラジオパーソナリティなどを続けている。

◎この堤未果さんの今から半年以上も前の4月の「週刊現代」に掲載された記事を、昨日、二つのブログで同時に取り上げられているのを見つけました。まず、堤さんの、自民党特定秘密保護法案のお手本みたいなアメリカ9・11後の愛国者法を検証している記事を『ジャーナリスト堤未果のブログ』(http://blogs.yahoo.co.jp/bunbaba530/67754267.html)からコピーしてみます。

いま、最も危険な法案とは?

「 ジャーナリスト堤未果のブログ」2013/4/18(木)


先週の週刊現代連載記事です。
昨夜のJーWAVE JAM THE WORLD でもインタビューコーナーで取り上げました。
この法律が通ったら、ブログやツイッターでの情報発信、取材の自由など様々な規制がかかるでしょうアメリカでも、大手マスコミが出さない情報を発信する独立ジャーナリストは真っ先にターゲットにされました。そして「原発情報」はまず間違いなく「軍事機密」のカテゴリーでしょう。


アメリカ発<平成の治安維持法>がやってくる!」
ジャーナリスト 堤 未果


3月31日、安倍総理は今秋国会での「秘密保全法」提出を発表した。
日弁連などが警鐘を鳴らし続けるこの法案、一体どれだけの国民がその内容を知っているだろうか? 


01年の同時多発テロ。あの直後にアメリカ議会でスピード可決した「愛国者」がもたらしたものを、今ほど検証すべき時はないだろう。 


あのとき、恐怖で思考停止状態の国民に向かって、ブッシュ元大統領はこう力説した。
今後、この国の最優先事項は治安と国会機密漏えい防止だ。テロリスト予備軍を見つけ出すために、政府は責任を持って全米を隅々まで監視する」


かくして政府は大統領の言葉を忠実に実行し、国内で交わされる全通信に対し、当局による盗聴が開始された。それまで政府機関ごとに分散されていた国民の個人情報はまたたく間に一元化され、約5億6千万件のデーターベースを50の政府機関が共有。通信業者や金融機関は顧客情報や通信内容を、図書館や書店は貸し出し記録や顧客の購買歴を、医師達は患者のカルテを、政府の要請で提出することが義務づけられた。


デンバー在住の新聞記者サンドラ・フィッシュはこの動きをこう語る。
「米国世論は、それまで政府による個人情報一元化に反対でした。憲法上の言論の自由を侵害する、情報統制につながりかねないからです。でもあのときはテロリストから治安や国家機密を守るほうが優先された。愛国者法もほとんどの国民が知らぬ間に通過していました」


だが間もなくしてその“標的”は、一般市民になってゆく


ペンシルバニア州ピッツバーグで開催されたG20首脳会議のデモに参加したマシュー・ロペスは、武器を持った大勢の警察によって、あっという間に包囲された経験を語る。
彼らは明らかに僕達を待っていた。4千人の警察と、沿岸警備隊ら2千5百人が、事前に許可を取ったデモ参加者に催涙弾や音響手りゅう弾を使用し、200人を逮捕したのです

理由は「公共の秩序を乱した罪」。
その後、ACLU(米国自由市民連合)により、警察のテロ容疑者リストに「反増税」「違憲政策反対」運動等に参加する学生たちをはじめ、30以上の市民団体名が載っていたことが暴露されている。


政府による「国家機密」の定義は、報道の自由にも大きく影響を与えた。
愛国者法の通過以降、米国内のジャーナリスト逮捕者数は過去最大となり、オバマ政権下では七万以上のブログが政府によって閉鎖されている。


為政者にとってファシズムは効率がいいジャーナリストの発言が制限され国民が委縮する中、政府は通常なら世論の反発を受ける規制緩和や企業寄り政策を、次々に進めていった。


ブッシュ政権下に時限立法として成立した「愛国者法」は、06年にオバマ大統領が恒久化。
その後も「機密」の解釈は、年々拡大を続けている。


日本の「秘密保全法」も、日米軍一体化を進めたい米国からの〈機密情報保護立法化〉要請が発端だその後、07年に締結した日米軍事情報包括保護協定を受け、米国から改めて軍事秘密保護法の早期整備要求がきた。 だが米国の例を見る限り、軍事機密漏えい防止と情報統制の線引きは慎重に議論されるべきだろう。なし崩しに導入すれば〈愛国者法〉と同様、監視社会化が加速するリスクがある



震災直後、テレビ報道に違和感を感じた人々は、必死にネットなどから情報収集した。
だがもし原発放射能関連の情報が国民の不安をあおり、公共の安全や秩序を乱すとして〈機密〉扱いにされれば、情報の入手行為自体が処罰対象になるだろう。 


公務員や研究者・技術者や労働者などが〈機密〉を知らせれば懲役十年の刑、取材した記者も処罰対象になる。国民は「適正評価制度」により「機密」を扱える国民と扱わせない国民に二分されるのだ。



行き過ぎた監視と情報隠ぺいには私達も又苦い過去を持ち、国民が情報に対する主権を手放す事の意味を知っている。歴史を振り返れば〈言論の自由〉はいつも、それが最も必要な時に抑えこまれてきたからだ

週刊現代:4月14日連載「ジャーナリストの目」掲載記事)

私がこの記事を見つけた2つのブログとは:
■「あきつ・あんてな」さんの「エジプトのその後 そして 秘密保護法」という11月22日のブログ。
少し長い記事ですが、最初に、エジプト駐在の三浦英之氏(朝日新聞国際報道部記者)の8月29日〜9月7日のツィートを引用されています。ツィートの書き出しは:ここ中東に来てわかったこと。それは武器を取ることがいかに危険な行為かということだ。撃とうとすれば撃たれる。殴ろうとすれば殴られる。武力で解決しようとすれば必ず武力によって覆される。言葉は残された唯一の「手段」。たとえ凶弾に倒れても、正しい言葉は荒野を走り、いつか世界を大きく変える。
これが結論でもある内容なのですが、<一昨年の「アラブの春」で30年続いた独裁者が倒れ、昨年、初の民主選挙でイスラム組織出身の新大統領が誕生。ところが今年、軍はクーデターを起こし、軍主導の暫定政権を設立。クーデターに抗議する民衆を実弾で強制排除し、800人以上が死んだ>というエジプトの今、いかに貧富の差が大きく、報道や表現の自由は絶たれ、一方的な情報だけが伝えられて、人々はいかなる状況にあるかが生々しくツィートされています。その後、アメリカの貧困について田中宇氏の記事を紹介して、そして、堤未果さんの週刊現代の記事が全文掲載されています。
最後に、あきつさんは「冒頭の三浦英之記者、とてもいいツィートしてくれてると思うけど、でも、若干感傷的なトーンがあって、その感傷が気になります。これがエジプトのことで日本はまだまだいいという、そういう観点から現れているのではないかしら・・・」と書かれていて、私はここにとても共感してしまいました。エジプトの今は、秘密法案が成立すれば日本の明日です。全文はコチラ:http://d.hatena.ne.jp/amadamu/20131122/1385133642
■「日々坦々」さんもコチラで:<愛国者法」成立後の米国社会と同じく日本も国家権力に楯突く市民やブログは駆逐され「国民の総家畜化」が進んでいく!http://etc8.blog83.fc2.com/blog-entry-2198.html