ピアノとロシア民謡の夕べと「道」


土曜日の22日、Nさんからお電話、月曜日ロシア領事館のコンサートに行かないか?というお誘いでした。ご主人が仕事が忙しく出張先から帰って来られないのでピンチヒッターということです。領事館は手続きがややこしいので一度行ったことがある私は好都合ということでした。前日に居酒屋の予定が入っていましたので翌日はいいだろうと夫には相談せずに即答しました。でも、「今のところOK」なんて余計な事を言ってしまったので心配させたみたいです。前の日の日曜日、連絡を取ろうとしたら夜留守だったので、これはてっきり父に何かあったと思ったとのこと、悪いことをしました。


豊中のロマンチック街道から一本入った閑静な住宅街の中にロシア領事館はあります。Nさんが申し込んだのはウクライナ情勢が厳しくなる前のことだったそうです。先日在阪のウクライナの人たちがクリミアのロシア軍進攻で抗議のために領事館を囲んだというニュースでこの領事館が写っていました。行ったことあるあそこだと思ってニュースを見ていたところでした。

5時、コンビニ前に黒いロングドレス姿の方が居られたので声を掛けました。以前、新聞紙でつくるコサージュを教えてほしいとNさん宅に呼ばれた時、ご一緒したことがある方で、華やかな可愛い方。その時のことは覚えていないと言われましたが、丁度私と10歳違いのお姉さん。とてもそうは見えなくて同い年くらいかと思っていました。Nさんともうお一人はお茶仲間、今日は二人は着物なんだとか。なるほど〜

車が見えて乗りこんだら着物姿で運転です。二人で2時間がかり出来上がったと思ったらお化粧が済んでなくて慌てて口紅を塗ったとか、前合せが綺麗にできていました。運転手のNさんは百人一首を描いたお気に入りの渋めの総柄の着物。Naさんは桜色の付け下げ?というのかな…お肌の色と綺麗に合っていて素敵でした。私はスーツにパールのネックレスで。


大きな会場を横半分にして奥の方にグランドピアノが置いてありました。第3回高松国際ピアノコンクールの「ロシア人出場者歓迎レセプション」で「世界に羽ばたく若いロシア人ピアニストを迎えての楽しい歓迎会」ということでした。
コンクールが終わった翌日ということで、演奏された曲目はどれも技巧を駆使した大曲?ばかり。300人のエントリーがあって30人が残るそうです。どなたも上位入賞はならなかったのか、そういう報告はなかったようです。司会は関西ブラボー協会のロシアファンクラブ?代表岩本氏。今回も軽妙洒脱な進行です。

領事さんは今日は伊丹の自衛隊とロシア軍との定例会議?を終えて駆けつけてこられたとか。岩本さんいわく、「自衛隊とロシア軍が定期的に話をしてるなんて知らないでしょ」。岩本さんの説明ではこの日のグランドピアノは大阪万博の時に持って来られた「エストニア」というかなり硬質で"重い"ピアノなんだそうです。ロシアの若いピアニストの手にかかるとよく鳴り響いていました。


代わって日本側の歓迎の演奏。ピアノ伴奏に合わせて日本の歌曲とロシアの歌が歌われます。歌い手さんのドレスは着物地です。次は、和服姿の母子連弾で「八木節」と「カリンカ」の演奏。とっても楽しかったです。バリトン田中勉氏の「落葉松」そしてソプラノの安藝栄子さんで「さくらさくら」。

予定より20分ほど遅れて7時半ごろ懇親パーティ。仕切りが開け放たれて立食パーティのテーブルが用意されていました。まず飲み物を持って乾杯から、という掛け声にウーロン茶のグラスを取って、まずは乾杯。鶏をかたどったロシア模様の塗りを施した木彫りの器にパンが入っていました。

ロシア人ピアニストたちは一角で。写真を撮ってもらったり、デザートのクッキーのテーブルを目指したり。着物姿のお二人を交えて写真を撮ったり撮られたり。さて、最後、ロシア民謡のソロとコーラスの時間です。橋爪真理子さんのメゾソプラノ、素晴らしい情感で歌い上げられたロシア民謡の数々、コーラスを従えて贅沢な時間でした。
中でも衝撃的?だったのは男性ソロとコーラスの「道」です。思いがけない時に聴いたのと、ソロの男性のいでたちが一寸見そんないい声の持ち主には見えなかった(?)ので、嬉しい驚きでした。

黒い瞳」で終わったメドレー、最後は遠近つけての演出です。仕切りの向こうから声がしてバリトン田中勉氏登場、「ヴォルガの舟歌」です。声量豊かに朗々と歌った後は、掛け声を掛けながら仕切りの向こうにフェードアウト、ブラボー!!でした。
コサージュ作家として有名な方だという佐藤美佐子さん(前の席に座っていた写真右端のピンクのドレスの方)の作品がプレゼントされました。どれも和テイストが加わっています。帽子の作品は最後にリストを演奏したアンナ・ツィブレヴァさんが被りました。最後は領事ご夫妻を真ん中に勢揃い。

◎ロシア歌曲「道」の歌詞と歌声をここに:

  道


1 おお道よ 立つほこり 寒さに震え 茂るブーリャン
  明日をもわれ知らず いつ荒れ野の露と消えん
  ほこりは畑に 野辺に 山に
  あたりは火の海 弾丸(たま)は飛ぶ


2 おお道よ 立つほこり 寒さに震え 茂るブーリャン
  カラスは上に舞い 友はブーリャンの中に眠る
  けれどなお道は ほこり込めて
  ほのお果てもなく 燃え上がる


3 おお道よ 立つほこり 寒さに震え 茂るブーリャン
  林に陽は昇る 故郷とおく母ぞ思う

  果てしなき道に 山に 畑に
  母は思い込め われを待つ



4 おお道よ 立つほこり 寒さに震え 茂るブーリャン
  おお 友よ 思い出さん
  ほこりの道 忘れられぬ  おお〜〜〜〜〜〜♪


「ディミトリー・ホロストフスキー」の『道』: http://youtu.be/d1JFKJtPVlQ

◎1945年に出来た歌だとか、独ソ戦を歌った歌ですね。ウクライナは「ひまわり」の舞台でしたし。日本だけじゃなく世界も逆戻りしてほしくありませんね。