安倍首相の「女性活躍推進」と「従軍慰安婦強制連行否定」、そしてオーストラリアから(内田樹氏)

◎早いですね〜もう10月も下旬です。
「女性が輝く社会」「女性登用」とか「女性が活躍する社会」とか言いながら、目玉の女性閣僚二人が相次いで辞任なんてことになりました。支持率アップ狙いの女性利用では化けの皮が剥がれるのも早いです。国内は、なぁ〜ンだで済みますが(済まないか…?)海外ではそうはいかないですね。ほかにも在特会の幹部やネオナチ幹部との関わりがある女性閣僚たちの問題、靖国参拝3シスターズ(日本会議メンバーズ)の方々の問題は深刻です。コチラはすでに海外メディアから右傾化、歴史修正主義の指摘や批判を受けています。(←写真は19日の日経より)
その海外で、9月、それも国連総会の場で、安倍首相は堂々女性の活躍を重視し、社会的地位向上に取り組むことを世界にアピールしました。その結果が、無残なことになってしまっていますが、本当に恥ずかしいのはコチラの方です。今や全世界の女性の人権問題の中でも重要な位置にある従軍慰安婦問題で、「誤報記事が撤回されたから強制連行そのものもなかった」という主張をすれば世界がどう受け止めるか…考えが及ばないのでしょうか。また、そのことを報じない日本のメディアも、安倍さんたちの主張を信じている人たちも、考え直してほしいと思います。周りが見えない、周りを見ない、見せない戦争中の日本、今の北朝鮮と同じになってしまいます。
◎少し前の15日のニュースからです。先日アジア女性基金のHPを覗いたところでしたので、ちょっとビックリです。(引用元:http://www3.nhk.or.jp/news/html/20141015/t10015410641000.html


アジア女性基金」文書 外務省HPから削除
10月15日 13時30分

官房長官は午前の記者会見で、いわゆる従軍慰安婦の問題に関連し、外務省のホームページに元慰安婦に償い金などを支給した『アジア女性基金』の文書が載っているのは問題だという指摘を踏まえ、文書を削除したことを明らかにしました。


岸田外務大臣は今月6日の衆議院予算委員会で、いわゆる従軍慰安婦の問題に関連して、「慰安婦に償い金などを支給した『アジア女性基金』への拠出金の呼びかけが、政府の文書ではないのに外務省のホームページに載っているのは問題だ」という指摘に対し、「削除するか、注釈をつけるか検討したい」と述べました。

◎国会で指摘したのは「次世代の党」の山田宏幹事長。「次世代の党」の役割=『右舵ヨーシ!』がよくわかります。このニュースを受けて14日の「くろねこの短語」さんが反論を。この内容が一々、もっとも、もっとも、と共感、同感の一文でした。
<「言われなき中傷が世界で行われている」って喚けば喚くほど、想像力の欠如した歴史修正主義者として世界の笑い者になっていく。>より、後半を引用です。(青字)は蛙の割り込みです。

・女性基金 呼び掛け文削除 外務省HP



 従軍慰安婦が何故こんなにも世界から糾弾されるかと言えば、強制連行があったかどうかなんてことは関係なくて、もし自分の娘が従軍慰安婦なんてものに貶められたら、っていうメンタリティーの問題が大きいんだね。(元外交官現京都産業大学東郷教授がアメリカで「もし自分の娘が…の問題だ」と言われたと報道ステーション慰安婦検証番組で
従軍慰安婦に軍が関わっていたってのは、大勲位・中曽根君が自慢しているように事実なんであって、世界は苦界に身を沈めた女性の心境に想像力を働かせるわけです。そこには、強制も自発もありません。(9月1日の蛙ブログで取り上げた<中曽根元首相が「土人女を集め慰安所開設」! 防衛省に戦時記録がBusiness Journal 2014.08.29>)
 だから、狭義の強制とか、広義の強制とか、言葉遊びしているレレレのシンゾーなんかは、「言われなき中傷が世界で行われている」って喚けば喚くほど、想像力の欠如した歴史修正主義者として笑い者になっていくって寸法です。


 そもそも、戦後すぐに、アメリカから要求されたわけでもないのに、「特殊慰安施設協会(RAA=Recreation and Amusement Association )」という米兵相手の売春組織を作ったのは、日本政府ってことを忘れちゃいけない。従軍慰安婦の発想とまったく同じです。「一般婦女を守るための『防波堤』」なんてお題目があったんだから、なんとも恐れ入る。


 1945年9月4日の毎日新聞には、

『急告』
「特別女子従業員募集」
「衣食住ノ高級支給、前借ニモ応ズ」
「地方ヨリノ公募者ニハ、交通費ヲ支給ス」
なんて広告が載ったくらいですからね。


 こんなことやってた国だもん従軍慰安婦についてアレコレ屁理屈つけたって、世界から見れば説得力ないんとちゃいますか。って、なんか話が飛んじまったけど、こうしたこともすべて含めての従軍慰安婦問題なのだと考えることも重要だと思う今日この頃なのだ。

◎全文はコチラ:http://kuronekonotango.cocolog-nifty.com/blog/2014/10/post-cb38.html
◎下書きをしている間に「内田樹の研究室」で、内田先生が取り上げられたのがオーストラリアの記事です。「テッサ・モリス=スズキ教授の語る安倍政権と慰安婦問題」というタイトルですが、先生の前書きを引用します:


2014年10月18日 —  アジア地域史研究で国際的に知られるオーストラリア国立大学のテッサ・モリス=スズキ教授歴史学)が、10月10日、安倍政権の動向と今回の大学脅迫事件の関係を論じたうえで、日本が「慰安婦」問題に真っ向から取り組まない限り国際社会のリーダーにはなりえないとする記事を、オーストラリア放送協会ABCのサイトで発表しました
 参考までに以下に訳出します。誤訳がある可能性がありますので、引用される場合は必ず原文を参照してください。
 大学人はどうかこのような海外の声を決して忘れず、連帯を求めながら勇気をもって学問の自由のために脅威と戦ってください。私たち市民有志はそうした大学人を強く支持することをあらためてここに表明します。

○内容がとても分かり易いです。安倍首相はじめ現政権は、強制連行を認め謝罪している河野談話を継承すると言いながら、一方で従軍慰安婦の強制連行はなかったと国際的にも発言し始めています。普通に考えれば矛盾しているのですが、ご都合主義の方たちにはどうでもいい事らしいです。しかし、世界はそうは見てくれないということです。一部を:

日本の「女性活躍推進」政策の醜悪な面
テッサ・モリス=スズキ


 日本は戦時下の性暴力をなくすことにかけて国際社会を先導していきたいとしている
 それにも拘わらず安倍政権はいわゆる「慰安婦」の歴史的事実を強く否定しており、そのことについて敢えて語る人物を執拗に攻撃している

 9月25日、日本の安倍晋三首相は、第69回国連総会にて行った演説で、日本を女性の輝ける社会に変えると固く誓言し、戦時下の性暴力をなくすために国際社会をリードしていきたいと付言した。
 これは安倍首相による「女性活躍推進」政策のうちのひとつに過ぎない。これに先立って、プムズィレ・ムランボ=ヌクカ国連ウィメン事務局長は、報道によれば、安倍首相が全閣僚19名のうち女性閣僚の数を2名から5名へと増やしたことによって「世界に手本を示した」と述べて、首相を称賛したという。

 しかし世界のメディアの視線の届かないところで、日本では別の女性関連政策が同時に進められてきた
 9月5日、安倍内閣菅義偉官房長官が、記者会見を開いて、そこでいわゆる「慰安婦」について日本政府の見解を明らかにした。それによれば、第2次世界大戦中、日本軍の慰安所へ集められた何万人もの女性たちのうち誰ひとりとして日本軍または日本警察によって強制的に徴集された者はいなかった、というのだ。
 会見に居合わせた記者たちは、「慰安婦」として勤めさせられた(戦時下捕虜を含む)オランダ人女性たちについて質問を投げかけた。

<以下省略>  ☆全文を、ぜひコチラで:http://blog.tatsuru.com/2014/10/19_0924.php

朝日新聞たたきについても、「朝日新聞はいま公開処刑の憂き目に会っており、その主筆を国会に証人喚問せよという脅迫じみた声が上がっている」、「慰安婦」問題に関する記事を執筆したことのある元朝日新聞記者を講師として雇っている日本の大学が、右翼グループから、メールや電話を通じた集中砲火を浴びており、その元記者の解雇を要求されている」問題にも触れています。 海外から言われたり、心配されたり…ではなくて、日本人の私たちがしっかりしないといけない問題なんですが・・・NHKは「右向け右」ですし・・・(黄色いツワブキの花が玄関先に明かりを灯したようです)