「命限り(ぬちかじり)〜沖縄県知事が被告として法廷で語った200分〜」

◎日替わりのように自民党議員の崩壊発言が。今度はいい年をした元弁護士の国会議員の非常識亡国発言、「黒人奴隷も大統領になれる」?「アメリカの51番目の州になるとき憲法上問題があるやなしや」?「日本人でも大統領になれる」??

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丸山議員の「黒人、奴隷」発言が永田町で大きな問題となっています。
押さえておきたいのは、この発言が単に若手議員の発言ではなく憲法審査会幹事の発言であること。こういう発言をする人が改憲を議論する時の中核となることへの不安はあります

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201602/CK2016021802000141.html

◎沖縄では、翁長知事の本人尋問があり、三上智恵さんが、傍聴記でその発言を記録されています:

代執行訴訟第4回弁論始まる 翁長知事、尋問で出廷
2016年2月15日 14:28


代執行訴訟の第4回口頭弁論が開かれた福岡高裁那覇支部第201号法廷=15日午後2時、那覇市樋川(代表撮影)


 翁長雄志知事が米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に関する埋め立て承認を取り消したことに関し、国土交通相が翁長知事を訴えた代執行訴訟の第4回口頭弁論が15日午後2時、福岡高裁那覇支部(多見谷寿郎裁判長)で始まった。翁長知事が本人尋問のため出廷している。沖縄の過重な基地負担の歴史・現状などを訴えながら、埋め立て承認を取り消した背景や正当性を説明するとみられる。

 1月29日の第3回口頭弁論で「根本的」な解決策と「暫定的」な解決策として多見谷裁判長が提示した二つの和解案に対して、県・国双方の対応についても注目が集まる。
 同日午前には傍聴抽選会が開かれた。一般傍聴席32席に対して、383人が傍聴を希望した。
 午後1時からは高裁那覇支部向かいの城岳公園で弁論に望む翁長知事らへの激励集会も開かれ、支援者ら約1500人(主催者発表)が参加した。
琉球新報電子版】

日本経済新聞、16日の記事です:

沖縄、辺野古訴訟の暫定和解案「前向き」 国は受け入れ困難か
2016/2/16 1:33


 沖縄県の米軍普天間基地宜野湾市)の名護市辺野古移設を巡り、翁長雄志知事による埋め立て承認取り消しの撤回を国が求めた代執行訴訟の口頭弁論が15日、福岡高裁那覇支部(多見谷寿郎裁判長)で開かれた。翁長氏が昨年12月に続き法廷に立ち、沖縄の過重な基地負担を改めて訴えた。29日に結審予定。


 訴訟では高裁那覇支部が1月、国と県に和解を勧告し、双方が対応を検討している。国が訴訟を取り下げるなどして県と再び話し合う暫定的な和解案について、翁長氏は閉廷後、「前向きに検討すると裁判所に回答した」と明らかにした。しかし国が暫定的な和解案を受け入れるのは困難とみられている。


 この日の訴訟は翁長氏の当事者尋問が行われ、県と国それぞれの代理人弁護士の質問に答えた。翁長氏は米軍専用施設の74%が沖縄に集中している現状を示し、「米軍基地が沖縄発展の最大の阻害要因となっている」と強調した。

 さらに争点となった承認取り消し処分の正当性について「(埋め立て承認の法的な問題点を検証した)第三者委員会の報告を精査し、県職員や弁護士と意見を交わして公正中立に判断した」と主張した。国側が第三者委に移設反対の立場の人がいるとして「メンバー選定に問題がなかったか」とただすと、「中立の人を選んだ」と述べた。(日本経済新聞

◎昨日、17日付で、マガジン9条の「三上智恵の沖縄撮影日記」の第41回に、三上智恵さんの法廷傍聴記「命限り(ぬちかじり)〜沖縄県知事が被告として法廷で語った200分〜」がアップされました。動画で当日の激励集会の様子が見られます。写真は動画の画面を写したものです。


◇2016年2月15日午後2時。福岡高裁那覇支部辺野古の埋立てを巡る「代執行裁判」の第4回口頭弁論が開かれた。埋立て許可を取り消した沖縄県知事を被告にして国が始めた裁判だ。弱い者が強い者を訴えるならわかるが、戦後70年間も基地を押しつけてきた側が沖縄に対して、さらに引受けないことに怒り、司法の力まで借りて屈服させようとしている。諸外国から見たら理解しがたい構図ではないだろうか。私は地元紙に傍聴記を書くために法廷で一部始終を見届けた。


◇ 201号法廷は那覇の裁判所の中でも大きい部屋だというが、高校の教室ほどの広さしかない。傍聴席は記者を入れても48席、これを巡って380人が抽選に並んだ。裁判官と係官合わせて100人が法廷という名の狭い部屋に膝をつき合わせ、異常なエネルギーが充満している。
 右半分からは、沖縄の歴史と尊厳をかけた負けられない闘いに臨む熱気がびんびん伝わってくる。が、左半分に座る国側の人々は一様にポーカーフェイス。冷静なのか冷たいのか、空気もひんやりしている。左側の空間が水色なら、知事のいる右側は熱気でオレンジ色。四角い部屋の空気はタテに真っ二つに分かれている。その、真ん中でせめぎ合っている目に見えないラインこそが、この国の民主主義と地方自治を取り戻す闘いの最前線なのだ。こんな小さな空間から、国家の根幹に巣くう闇を照らす法を引き出していかなければならない。

◎ 本人尋問で翁長知事は、「沖縄県からしますと、日本国民としての自由度、民主主義、自己決定権どれもないがしろにされてきたという思いがあります」「沖縄が誇りと希望を持って子や孫が生まれ育ち、ふるさとを愛しながら自信を持って生きていけるように、わたしたちは頑張っているのです」と述べて、最後に、「アンパイアとプレーヤーが一緒という、同じ行政内の判断ではなしに、裁判所の方できちっと公正な判断をして欲しいと願っています」と締めくくっています。 以下、翁長知事の発言部分をコピーです。


翁長知事


「昭和25年、保守の政治家の家に生まれました。幼い頃から基地を巡って保革が対立し、大人たちが罵り合いながら生きてきたのを見ていました。保守は革新の言い分を理想論だと切り捨て、革新は金で命を売るのかと保守に迫る。本来沖縄県民が望んで持ってきたわけではないのに、その基地を巡って県民同士が争うわけです。いつしか、それを誰かが上から見ていて笑っているのではないかと思うようになりました。父が市長だったので、将来市長になりたいと考えたときにも、県民の心を一つにしたいという思いはずっとありました


Q 稲嶺県政の時には、辺野古移設を一旦は受け入れていたのでは?


当時は自民党県連の幹部でした。苦渋の思いで軍民共用空港にすることと使用期限を付けることで稲嶺知事を支え、当時の岸本名護市長も条件を付けて容認して政府に協力する姿勢を取っていましたが、平成18年に米軍再編の話が進み、一方的な閣議決定で条件も含め白紙になってしまった。一体何だったのだろうと政府のやることに徐々に批判的になっていきました。
 この問題の当初、政府には野中さんや小渕さんと言った戦中戦後の沖縄に思いを寄せて下さる政治家がいました。中曽根政権の官房長官を務めた後藤田さんは、『俺は沖縄には行かないんだ』と話しました。『どうしてですか?』というと、『県民がかわいそうでな…。直視できないんだよ』とおっしゃった。胸が熱くなりました。私たちの思いに答えようとしていた方々もいたのです。
 那覇市長の時代に民主党政権が県外移設を掲げて誕生しました。鳩山総理がそれをやってくれるならと大いに期待しましたが1年足らずで元に戻ってしまった。県内に作らないためには、沖縄県としてはもう○○党なんて言っていられない。解決するにはオール沖縄しかないと思いました



Q 県知事選では大差を付けて当選したがその理由をどう見る?


サンフランシスコ講和条約で沖縄は日本から引き離されて、アメリカに土地まで買い上げられようとしました。戦後で貧しくて、当時の沖縄は裸足とイモの生活です。それでも、自分たちの土地は売らないと。この時は保革関係なく力を合わせて土地買い上げに抵抗し、一坪たりとも売らなかったことは県民の誇りですそして賃貸借になったわけですが、県内の基地の7、8割が個人の地主で、元は無理やり取り上げられた土地です。それなのにほかからは『お前たちは基地で食ってるんだろう』と言われ続け、傷つけられ続けてきました。だからこそ前知事の『3000億円の交付金でいい正月が迎えられる』という発言を聞いたときには、県民の尊厳が崩れ落ちるような気持ちになりました
 私たちは当然豊かさを求めますが、誇りを失ってはいけない。私が知事選のスローガンに掲げた『誇りある豊かさ』は、革新が大事にしてきた誇りと、保守が重視してきた豊かさ、両方を取り入れた概念です。
繰り返しますが、私たちは自分から基地を差し出したことは一度もない。それなのに、普天間基地が老朽化して使い勝手が悪いから、また沖縄から差し出せという。出さないなら、と警察も海上保安庁も一緒になって、陸で、海で、県民を押さえつけてでもやってやろうというあの姿を毎日県民が見ていたら、将来の子や孫のことを考えたらとてもこれではいけないと。それが大差での勝利に繋がったのだと思います」



Q どうしても沖縄に基地を置かなくてはならない理由に日米安保がある。それについては?


元々保守の政治家ですから、日米安保体制の必要性は理解しています。しかし昨今中国の脅威ばかりが叫ばれて、中谷防衛庁長官スクランブル発進が増えているとか宮古八重山へのミサイル配備が急務であるとかこんこんと話されていますが、旧ソ連との緊張関係が高まっていた時代と比べても今のほうがそこまで危険なのかどうか。それで、中国防衛に関して沖縄が役割を果たせということならば、あの70年前の口に出して言えないような苦しさと同じことを繰り返すことになりますが、それはおかしくはありませんか?
 昔は、沖縄は中国に近いから抑止力だと言われた。しかし今は、中国から近すぎて危険だと言われています。マイク・モチヅキさん、ジョセフ・ナイさんも報告しています。中国からのミサイルで普天間基地も嘉手納基地も一発でやられてしまうそうです。物の本によれば、そのミサイルに核弾頭を搭載できるといいますし、そんなものが飛んでくるなんて心が凍る思いです。先日の北朝鮮からのミサイルも6、7分で沖縄上空に到達した。そんな中に我々はいるのです。中谷長官は沖縄のことを領土としか考えていないかも知れませんが、沖縄の先々の子どもたちのことを守っていくのは、我々沖縄の責任世代しかないんです辺野古に作られる基地は200年も対応する恒久的な基地で、強襲揚陸艦が接岸する軍港と弾薬庫も備えています米国と中国の緊張関係が今後続いていく中で日米安保と言ったときに、沖縄の安全という視点は決定的に欠けているのではないでしょうか



Q 知事が埋立てを取り消したことに対して防衛省は執行停止を求め、国交省がそれを認めたが?


官房長官は、日本は法治国家だと言いますが、本当にそうなのかどうか防衛省国交省、アンパイアとプレーヤーが一緒という形で、到底納得できるものではありません。すると国は直ちに代執行訴訟に入ったんですね。戦後ずっと日本の安全保障を支え続けてきた沖縄県民に対して、あくまでも押しつけていこうという姿勢に大きな疑問を持ちました。三権分立に則って客観的な判断を仰ぎたいというのはそこから来ています。知事として、裁判にこうして出廷するということは正直なところ心身ともに大変な思いもあります。しかし、司法の公正な裁きを信頼するからこそ、ここに臨んでいます


 沖縄県からしますと、日本国民としての自由度、民主主義、自己決定権どれもないがしろにされてきたという思いがありますこの国が、安保体制も含めて世界に理解され尊敬される国であって欲しいそして沖縄が誇りと希望を持って子や孫が生まれ育ち、ふるさとを愛しながら自信を持って生きていけるように、わたしたちは頑張っているのです。慎重な判断をして頂きたい。そして将来の日本のことも考えて欲しい。アンパイアとプレーヤーが一緒という、同じ行政内の判断ではなしに裁判所の方できちっと公正な判断をして欲しいと願っています

◎三上さんの傍聴記は、「さてここから60分は国側の質問に入るのだが、今後有効な切り札を出すために知事の言質を取って置こうという策略的な質問が続く」と書かれています。国側の質問と翁長氏の返答、そして動画はコチラで:http://www.magazine9.jp/article/mikami/26049/