雨の土曜日、珍しく山行訓練をキャンセルした夫と映画を観ることに。
夫はクリント・イーストウッドの「グラン・トリノ」を観ようと誘ってくれたのですが、私はこれまで二度(「ミスティック・リバー」と「チェンジリング」)がっかりしていますので、今回は逆らって?インドを描いた本年度アカデミー賞「作品賞」他8部門授賞の「スラムドッグ」を薦めてみました。
その日の夕刊にちょうど広告が出ていてラッキー! 夫も興味を示して、決まり。行ってきました。
行って観て、大正解!! さすが〜(アカデミー賞!)。(これから見る方は、出だしオエ〜もののシーンがありますので気をつけて)
英語のスラムドッグは、スラムの野良犬? 負け犬? スラムをねぐらにするヤツ=子供たちということですのでタイトルを直訳すると「スラムっ子百万長者」、私たち世代の理解ですと戦後の浮浪児と重なりますので「浮浪児長者」。でも「ミリオネア」はクイズ番組のタイトルも指しているので、やはりカタカナでないといけないか…浮浪児も今じゃ通じないし、結局「スラムドッグ ミリオネア」が良いわけだ〜と終わってからの二人の会話でした。(カタカナばかりの洋画の題名がまだ?なじめない世代なんですね〜)
「ミリオネア」というクイズ番組、日本ではみのもんたさんが司会をして思わせぶりな間が気持ち悪いあの番組のインド版で、スラム出身の18歳の主人公が勝ち進み、明日前人未到の2000万ルピーに挑戦という時、不正疑惑で警察の取り調べを受けます。ここから刑事が追及する少年の過去と、インド版「みのもんた」氏によるクイズの進行と、現実が絡み合って映画が進んでいきます。
昔、ボンベイ、今はムンバイというインドの都市が舞台。急速にIT産業で近代化を遂げ、かつてのスラムは今や高層ビルが林立する大都会に変貌。宗教がらみの暴動で母を失った兄弟。怪しげな男に拾われ、兄の機転で危機一髪の逃亡、その後のタージマハールのシーン、とインドの経済、文化、宗教、社会背景を簡潔に織り込みながら緊迫、切迫した息をもつかせぬ場面の連続。
ラティカという少女との出会いと恋、再会と救出劇と兄弟の運命、そして全てがクイズ番組の最終場面へと収束していく見事な劇的展開。う〜〜〜んとうなっちゃうくらい面白くって、悲しくって、という映画です。
映画が終わってからのダンスシーンが楽しい。「マンマ・ミーア」でも最後に三人で古き良きヒットソングのダンスシーンがありましたが、あれと同じ。何年か前の大ヒットインド映画「踊るマハラジャ」を彷彿させるシーンで本編の暗く切ない物語とバランスがとれてハッピーな気分で終れます。連休中、映画でもという方、おススメですよ〜。
ところで、クリント・イーストウッドの「グラン・トリノ」、これも土曜夕刊の大きな広告を読んでみると、見てみようかな〜という気持ちに。硬質でアメリカの、人間の、暗部に目を背けずに迫っていく力作、問題作(私が「ガッカリ」といった2作品も)なのは分かっているのですが、どうも救いようのない気持ちにさせられて・・・。でも、「ローハイド」の若造だったロディ役の俳優が大監督になりましたね〜。