西淀川・女児遺棄事件と児童虐待防止法

ここのところ色んなことが続きます。25日はJR福知山線の事故から4年を迎えましたし、その前には、和歌山のカレー事件の最高裁の判決が出ました。スマップの草磲君の泥酔事件?もありました。その中でも痛ましいのは「西淀川・女児遺棄」(新聞見出しより)事件です。

本題に入る前に、訂正です。
4月12日のNHKのプロジェクトJAPAN「戦争と平和の150年」について書いた文のなかで、オランダハーグの国際司法裁判所で活躍し、日本の平和憲法の精神の源流ともいえる日本人、満州事変の軍国日本をただ一人止める事のできる人物と期待され、当時のオランダの新聞に素手で刀を押さえる侍として描かれた「安達」峯一郎さんの名前を足立と誤記していましたので、訂正します。コメント蘭で教えていただいて初めて気づきました。


さて、本題です。
小学4年生、9歳の聖香ちゃんが行方不明になり、その後遺体となって奈良市内の墓地で発見され、とうとう母親と内縁の夫とその知人が虐待と死体遺棄で逮捕されるという事件。この世に生れて10年にならない命、それも産みの母親と一緒に暮らしていての虐待による死というのは本当に可哀相。なんとかならなかったか?と考えると、今回も、周りの大人たちには気付かれていて、誰か一人でも本気になってくれる人がいれば助かったかもしれないというのが悔しいです。

ところで、平成12年(2000年)5月には児童虐待防止法が制定され、11月施行。虐待されている児童を発見した者は福祉事務所か、児童相談所に通告の義務があるとされました
しかし、またまた相次ぐ虐待による幼い犠牲者が後を絶たず、4年後の平成16年(2004年)4月には児童虐待防止法の改正法が国会で成立、10月施行されました。改正法では、証拠がなくても虐待と「思われる」場合は通告の義務を負うというものです。虐待の「疑い」があれば通告してよいということです。通告者の名前や内容が本人に伝えられることはありませんし、思い違いで事実でなかった場合でも責任を問われることはありません。そんなことよりも子供の命が失われることを未然に防ぐことを優先するというのが改正法の精神です。


それで、聖香ちゃんの場合でも、新聞記事によりますと、1月中旬、学校の先生が左ほおのあざに気づいて、本人に問いただしたら、「(同居の男性に)たたかれた、ご飯を食べさせてもらえない、寝かせてくれないこともある」という答え。学校側が母親に確認の電話をすると「嘘をつく癖がある。あざはどこかに当たっただけ」と言われ、その後、何もしていません。

近隣住民も、聖香さん宅マンションで、「昨年末から今年3月下旬ごろまで、昼夜を問わず女児の泣き声や男のどなり声、壁をたたく音などが頻繁に聞こえていた」といいます。どれも、「虐待の疑い」が濃厚です。学校の先生は知っていて当然のはずですが、住民の皆さんは、警察か、児童相談所に通告する義務があることを、すなわち児童虐待防止法のことをご存知だったのでしょうか? 


身近にいる民生委員も「児童委員」を兼ねています。正式な肩書は「民生委員児童委員」で、二つの役割を重ねて表記することになっています。虐待されている児童を発見、あるいは疑わしいと思った場合、最寄りの民生・児童委員に相談すれば委員さんの方から関係機関に通告することになっています。お年寄りの問題だけでなく児童のこういう問題でも相談の窓口役を引き受けています。たとえ通告した場合でも、警察や児童相談所が思い通り動いてくれるかは分かりませんが、少なくとも「疑い」を持った者の通告義務を果たしたと言えるようにはなりたいものです。


法律が出来るというのは、それ以前に、本当に大勢の犠牲者がいて、その浮かばれない子供たちの沢山の命と引き換えにやっと新しい法律が生まれるのだと思います。その子の身内でなくても、周りの大人たちの一人でも、本気でおかしいと思い心配して行動に出てくれていれば、助かったのに・・・ということが、もうこれ以上ないように・・・この法律・児童虐待防止法のことも新聞、テレビでもっと取り上げてほしいと思います。


 児童憲章の一部から<昭和26年(1951年)5月制定>
   児童は、人として尊ばれる。
   児童は、社会の一員として重んぜられる。
   児童は、よい環境のなかで育てられる。

    1  すべての児童は、心身ともに、健やかにうまれ、育てられ、その生活を保障される。
    2  すべての児童は、家庭で、正しい愛情と知識と技術をもって育てられ、
      家庭に恵まれない児童には、これにかわる環境が与えられる。
    3  すべての児童は、適当な栄養と住居と被服が与えられ、また、疾病と災害からまもられる。
   (4〜12 略)