STAP細胞論文と「再び?の河野談話見直さず」


◎小保方さんのSTAP細胞の論文について理化学研究所の野依理事長はじめトップの方たちが揃って頭を下げる会見がありました。「未熟な研究者」としてすべての責任を小保方さんに…という年長の学者さんたちの解決方法にはちょっと疑問を感じました。「未熟な研究者」が本当だとしてその結論を見過ごしてきた組織の責任に触れる必要があるでしょうに…小保方さん切りで決着でもないでしょうに。若い女性の割烹着姿の話題性で売り出したとすれば佐村河内守事件と同じで・・・スッキリしませんね。
〇それに、共同研究者で論文共著の一人でもあるハーバード大学のチャールズ・バカンティ教授は、在籍する病院を通して、コメントを出しています。

<前略>
・・・「今は理化学研究所の最終的な調査報告がまとまるのを待ちたい。一方で今回の成果は、比較的小さなミスや外部の圧力によって無視してしまうには、あまりに重要なものだ。論文に提示されたデータが正しくないという説得力のある証拠がないかぎりは、論文を撤回すべきではない。非常に大きな決断なので、すべての共同著者と話をするつもりだ」として、現時点では論文の取り下げに反対する考えを示しました。また、STAP細胞の作成に関わる詳細な手順などすべての情報を研究室のウェブサイトに掲載する考えを示し、「ほかの研究者がわれわれの成果を再現するのに役立つはずだ。最終的には科学が答えを出すことになる」としています。(14日NHKニュース)
3月15日「shuueiのメモ」さんの<海外の共同著者「論文撤回すべきでない」:http://d.hatena.ne.jp/shuuei/20140315/1394834132

◎おなじく「shuueiのメモ」さんから、今日の記事です。
生物学者福岡伸一氏の見解です。(http://d.hatena.ne.jp/shuuei/20140316/1394911962


STAP論文、過失と作為の切り分け明確に 福岡伸一

2014年3月15日03時15分


 ■福岡伸一青山学院大教授(生物学)


 iPS細胞の成功以降、生命科学がテクノロジーに走りすぎ、「作りました、できました」という研究がもてはやされる風潮がある。今回の問題もその延長線上に起きたのではないか。科学は本来、もっとじっくり「How(どのように)」を問うべきものだ。


 STAP細胞の実在性に著者らがなお信念をもっているのであれば、論文を撤回するのではなく、訂正や続報で対応すべきだ。撤回すれば、故意のデータ操作や捏造(ねつぞう)などの不正があったと世界はみなすだろう。


 不適切と不正の切り分け。つまりどこまでが過失で、どこからが作為なのか。こうした点が明確にならないと、科学界に広がった多大な混乱と浪費は回収できない。著者や理研はきちんと説明してほしい。



 さらに言えば、問われるべきは個人の資質や共著者の責任だけではない。多くのメディアは当初、ネイチャー誌やハーバード大といった権威をうのみにし、若き理系女子の偉業を翼賛称揚する一方、疑義が出てくると一転、手のひらを返した。研究内容を冷静に解読する自律性がなかった。


 
また、若手を重要な地位に抜擢(ばってき)するのは推進されるべきだが、研究者の基本姿勢や倫理観を育てる科学教育のあり方は十分だったのかなど、論点は限りなくあるように思える。


 
今回は論文発表直後から、世界中の研究者の集合知的なあら探しによって問題点があぶりだされた。最高権威だった科学誌の審査が機能せず、草の根的なレビューが機能した。ランディ・シェクマン(2013年ノーベル医学生理学賞)が主張しているネット上の「オープン・アクセス・ジャーナル」(自由に投稿・討議できる学術誌)の理念がはからずも実現した、という点でも興味深い。


◎ついでに、もう一つ、「安倍晋三首相は14日(金)の参院予算委員会で、従軍慰安婦問題を巡り旧日本軍の関与を認めた1993年の河野洋平官房長官(当時)談話を見直す考えがないことを明言した。談話見直しの持論を封印して慰安婦問題に拘る韓国に配慮し、首脳会談実現の糸口を探りたい考えだ。ただ談話作成の経緯を検証する方針は変えず、依然として関係修復の火種になりかねない。(日経15日朝刊リード部分)」。
この国会答弁は事前に韓国にも米国にも知らせてあって、「韓国の期待に最大限こたえたものだ」とアピール。「4月下旬のオバマ米大統領の訪日時に日韓関係の問題が議題に上がるのは避けたい」(政府関係者)とも。
〇これで何度目でしょう? 河野談話を目の敵にする安倍取り巻きお友達の強硬派を宥めて河野談話継承をお約束するのは。ついでに、失言や暴言が心配なNHKの籾井会長や百田さんたちにもお引き取り願いたいところです。アンカーの水曜コメンテーターの青山繁晴氏も、河野談話を破棄して『管談話』を出すよう進言しているがアメリカからの圧力がかかっていると先週漏らしていました。こういう取り巻き応援団がこれで黙っててくれるか、ですね。どうせ安倍首相の「河野談話見直さず」とか「継承」というのは本心ではなく、面従腹背の方便であることは皆わかっていますが、政治の世界はこれでいいんですね。力関係です。今はアメリカの圧力が大きくなっています。世界の報道関係の世論からも批判を受けて孤立しています。これ以上突っぱねれば安倍政権が危ういということです。
〇お友達ついでに、国会で迷走・暴走答弁を重ねている小松法制局長官もそろそろお引き取り願う時期が迫ってきました。何でも思い通りに手をまわして要所要所にお友達を据えて国政を我が物にするという安倍首相のやり方は二度目も変わらずでした。原発についても自民党内でハッキリ脱原発宣言した伊吹文明氏や、以前から主張している河野太郎氏もいます。ここで頑張ってほしいですね。諦めずに金曜ごとの抗議デモを続けて下さっている方たちもいます。3年経って、4年目。脱原発の勢いがつくよう・・・