横浜流星さん退院!と斎藤幸平って?「アフター資本主義、グリーン・ニューディール『未来への大分岐』」

(今日、2つ目です)

◎本日午後2時過ぎ、横浜流星さん、インスタグラムで退院報告です。よかった。

 今日の東京の空でしょうか。うっすら虹が見えます。

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 ◎奈良の友人への電話、28日の退院と聞いていた日は生魚と格闘して力尽き?翌日になってから電話をすることに。「自宅はやっぱりいい?」「そりゃいいよ~」「半年ぶり以上よね?」「6か月半」「そうか、そうね~ 昨夜は寝られた?」「ぐっすり寝たよ. 今日は訪問リハビリがあった」「そう、30分?」「40分」「そう、じゃ、疲れるよね」「さいとうこうへいって知ってる?」「知らない」「若いけど良さそう、読んでみて」と逆に宿題を与えられました。

楽に読める小説本を送ってたので退屈だったのかな~とか思いながら「さいとうこうへい」って誰?とさっそくパソコンで調べてみました。小説家じゃなくて社会学者の斎藤幸平らしい。病院にいてこんな難しいの読んでたの?とちょっとびっくり。後で聞いてみたら新聞記事で読んで良さそうだったからとのこと。じゃその内コピー送るねと私。好奇心、向上心、時代のセンス、二十歳のころと変わっていないな~と感心。

探してみると東洋経済のこれが良さそう。対談の相手は水野和夫氏、アフター資本主義とかグリーン・ニューディールについて語っている。

 🔲前編は11月21日付のこちら:

「資本主義が終焉期に入っている」と多くの著書で指摘する水野和夫氏は、「このまま資本主義にこだわり続けて今の生活スタイルを守ろうとすれば、資本主義の終焉は多大な苦しみも生むハード・ランディングにならざるをえない」と予想する。
このまま経済成長を最優先し、ハード・ランディングに突き進むのか。それとも、別の経済システムに移行し、ソフト・ランディングを選ぶのか。そんな時代に、私たちはどうすればいいのか。資本主義や民主主義の危機について海外の知識人たちを訪ね歩き、編著者として『資本主義の終わりか、人間の終焉か? 未来への大分岐』にまとめた斎藤幸平氏と水野氏の対談をお届けする。

◎一部を取り出してみます。コロナ禍で大変な時にアベノマスクや電通の中抜きみたいにそれでも利益をあげよう、一儲けしようという人がいる!?と思いましたが『惨事便上型資本主義=ショック・ドクトリン』と名付けられている資本の動きがあるのですね:

(本文の色字、太字by蛙)

水野和夫(以下、水野):『未来への大分岐』には、私も大いに触発されました。

日本の経済論壇がアベノミクスの是非に拘泥している間に、海外では資本主義の次の社会をどう構想するのか、これほどまでに具体的な議論が進んでいるのかと驚きました。日本だけが「大分岐の時代」にいることから目を背けているのかもしれないね。

水野:資本は、天災や惨事に便乗してまで利潤を得ようとするし、1%の人々は99%の不幸にお構いなく、利益を掠め取ろうとしています。ナオミ・クラインが「ショック・ドクトリン(惨事便乗型資本主義)」と呼んだ状態ですね。

斎藤世界がどんな危機を迎えようが、資本はそれを糧に生き延びようとし、資本主義は形を変えてきました。資本主義の可塑性・弾力性はすさまじい。

🔲後編にあたるのがこちら:

「資本主義が終焉期に入っている」と多くの著書で指摘する水野和夫氏。資本主義や民主主義の危機について海外の知識人たちを訪ね歩き、編者として『資本主義の終わりか、人間の終焉か? 未来への大分岐』にまとめた斎藤幸平氏。「人類は資本主義を本当にこのまま続けられるか」(2019年11月20日配信)に続く対談後編をお届けする。 

 🔲一部を引用です:

斎藤幸平(さいとう こうへい)/1987年生まれ。大阪市立大学大学院経済研究科准教授。専門は経済思想。博士(哲学)。ベルリン・フンボルト大学哲学科博士課程修了。Karl Marx's Ecosocialism: Capital, Nature, and the Unfinished Critique of Political Economy(Monthly Review Press/邦訳『大洪水の前に』・堀之内出版)でドイッチャー記念賞を歴代最年少で受賞。マイケル・ハートマルクス・ガブリエルなど世界の知識人と議論した対談集『未来への大分岐』(集英社)で注目を浴びる(撮影:露木聡子)

 

水野:条件的には、日本はポスト資本主義や定常経済にいちばんシフトしやすいのに、なんらアクションが出ないどころか、政府も企業も逆走しています。

斎藤:このままでは、どんどん取り残されていってしまいますよね。それじゃまずいと思います。

水であったり、電力であったり、インターネットであったり、非常にさまざまですが、生活のために不可欠な社会的な共同財産、要するに社会的インフラの「コモン」が、資本主義のもとでは解体され、資本によって独占されてしまう。そして、利潤獲得のために略奪されていく。

「コモン」をソ連の失敗を繰り返さない形で、人々の手に取り戻すためには、国家の力を使うだけではなく、むしろ人々がアソシエーションを形成して、資本の力を弱めるような社会運動を展開していくことが重要なのです。実際、EUアメリカで起きているグリーン・ニューディールやポスト・キャピタリズムを求める新しい政治の動きも、「下からの運動」があってこそ生まれたものです。

「上からの政策」だけでは、結局、グリーン・ニューディールもさらなる経済成長のためのケインズ主義止まりで、地球からの略奪をやめることはできないでしょう。

社会運動を下火にしないためには、そして日本で活性化させるためには、現在の社会を批判するだけでなく、ポスト・キャピタリズムの社会が今よりも魅力があり、豊かであることをもっと伝えていかないといけません。

斎藤:未開発の油田はまだあるけれど、掘っても儲からなくなるということですか。

水野和夫(みずの かずお)/1953年生まれ。法政大学法学部教授(現代日本経済論)。博士(経済学)。埼玉大学大学院経済科学研究科博士課程修了。三菱UFJモルガン・スタンレー証券チーフエコノミストを経て、内閣府大臣官房審議官(経済財政分析担当)、内閣官房内閣審議官(国家戦略室)などを歴任。主な著作に『終わりなき危機 君はグローバリゼーションの真実を見たか』(以上、日本経済新聞出版社)、『資本主義の終焉と歴史の危機』『閉じてゆく帝国と逆説の21世紀経済』(以上、集英社)など(撮影:露木聡子
 

水野:儲けも出ませんが、「1」のエネルギーを採掘するのに「1」のエネルギーを使う必要があるなら、採掘する意味はありません。

近代資本主義は、化石燃料が無限にあることを前提にできたからこそ、成長至上主義を疑わずにやってくることができました。もうその化石燃料が使えなくなるのですから、資本主義も限界を迎える。

ただ、もちろん問題は、その資本主義の終わらせ方です。化石燃料が使えないのに、資本主義が悪あがきをすればハード・ランディングになって、人類の危機、文明の危機をまねいてしまいます。理想的には、化石燃料が使えなくなる前に、資本主義が終わってくれればいいのですが。

🔲最後の部分からです:

水野:ちょうど現在の日本は8.5倍で、ケインズの言う基準を全部クリアしています。資本を蓄積する必要がないということは、利子率ゼロの状態であり、ケインズは「利子生活者の安楽死」は経済にとって大きな達成だと考えました。

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ところがいま、利子生活者は安楽死せず、低賃金の労働者が瀕死の状態に陥っています。それはもう成長できないのに、無理やり成長を求めて、ROE10%を目指したりするからです。

日本はそろそろケインズの言葉に耳を傾けるときです。もう8.5倍の生活水準に達したのだから資本主義はやめましょう、と。資本蓄積を目指さなければ、もっと豊かで人間らしい生活ができるようになるわけですから

斎藤ケインズは、2030年までに労働時間は週15時間になるとも言っていますし、それができる生産力はもう手にしているわけです。

現在の金融業界に顕著なように、ひたすら富を目指すような活動が何も生んでいないのは明らかです。これ以上、資本の増大を目指せば、気候変動に代表される環境破壊はひどくなる一方だし、ブルシット・ジョブ(クソくだらない仕事)も増えていきます

しかし、富を生み出すだけでは、人類はこれ以上豊かにならない。資本主義を終わらせるためには、「より多くつくり、より多くの賃金を獲得し、より多く消費する」という近代の勤労倫理を転換する必要があるのでしょうね。

水野そこにも、資本主義の次の社会を生み出すためのカギがあるのだと思いますよ。

◎斎藤幸平氏、「未来への大分岐」という最近話題のマルクス・ガブリエルの本を編集された方でまだ30代前半の若い方ですね。大阪市大の准教授とありますが、私たちは大阪市大のことを高校生の頃から「いち大」とよんで「府大」と区別していました。それを維新は統合するとか? 大学文化が相当違うのに経済的理由?から又統合?でしょうか。

 🔲さて、こういうことはきっとSPYBOYさんがブログでとりあげられているはずと「特別な1日」さんを覗くことに。 「斎藤幸平」で検索して出てきたのはついこの間6月のテレビ、NHKのものでした。

🔲SPYBOYさんが記事の中で斎藤幸平氏について書いておられる部分をコピーさせていただきました:

 番組では大阪市立大准教授の斎藤幸平氏が『医療や介護など生活に不可欠な仕事に携わっている人に比べて、仕事が止まっても社会に大きな影響がない広告やコンサルなどのほうが高い報酬を得ている社会構造はおかしい』と言ってました。

●斎藤氏はド左翼ですが、様々な識者と対談、

編集しているこの本は良かったです。『資本主義はもう限界』という話はありふれたものになってしまいましたが、そこからもう一歩議論を進めています。昨年出た新書では一番面白かったかも。

 ◎この本、読んでみたくなりました。