SWITCHインタビュ―「高橋一生X中村拓志」(ふるまいと想像力)

◎昨夜は日テレの嵐の番組が最終回でした。母もお気に入りのジャニーズのグループでしたが、仲良し5人組も今年で終わりますね。SMAP世代の次男があのSMAPの終わり方にショックを受けていましたが代わりに嵐を見るようになっていたよう。私も今年は横浜流星くんが映画の番宣で幾つか出演しているので久しぶりに嵐の番組のババ抜きで仲間由紀恵さんが最弱女王になるのを見ました。次男からのメールで、つい最近又ババ抜きがあって波留さんが永久最弱女王になったと知りました。長男も「嵐ってホントに老若男女に人気だったんだね~」と書き込んでいます。それぞれが個性を生かして別のフィールドでも活躍しながらまとまっている気持ちの良いグループでした。母もきっと残念がっているでしょう。(写真は今朝の庭の山茶花

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◎先週の土曜日19日の「SWITCHインタビュー」は俳優の高橋一生さんでした。録画で翌々日に見たのですが、お相手は建築家の中村拓志という方で、ご指名があったのは高橋さんの方から。中村氏は接点がないし『不思議』なのでその点も聞いてみたいと。これは、最初から最後まで高橋一生さんペースのとても楽しい内容でした。高橋一生さんの思い入れが当たった!という感じです。というより、本質的なものを抽出して捉える高橋さんのヒラメキがすばらしいし、お二人の共通点がとても面白かったです。建築家と俳優なのに、どこが共通しているのか・・・

「高橋一生×中村拓志」 - SWITCHインタビュー 達人達 - NHK

高橋一生×中村拓志

ドラマ・映画・舞台など幅広い場で存在感を放つ俳優・高橋一生が登場。対するは地域の自然や文化に寄り添う設計で注目される建築家・中村拓志。自我と表現について語り合う 高橋が訪れたのは埼玉県内の霊園。中村が設計した礼拝堂と休憩棟がある。建築に関心のある高橋は建物を見ながら、中村の「ふるまい」を大切にする設計について聞いていく。その発想は高橋の芝居にも通じることがわかり初対面の二人の距離は急接近。後半は高橋主演ドラマの舞台・神奈川県の旧加地邸へ。建築と演技の話はさらに深まり「我を消したい」と語る高橋の真意を中村が聞く。高橋が人物観察する時に見る意外なポイントとは?

 12/19(土) 午後10:00-午後10:49 放送

[再放送Eテレ1・東京] 2020年12月26日 午前0:00 ~ 午前0:50 (50分)

 ◎再放送に間に合うようにブログに書きたかったのですが、遅れてしまいました。NHKのサイトの内容が上手にまとまっていますので、写真で内容と印象に残った言葉だけをメモ代わりに。

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中村拓志さんの建築で大切にされていることは「ふるまい」。人間のふるまいというのは「振る(まねる)」と「舞う(反復)」で出来ている。

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最近は皆SNSのツルツルしたガラス画面ばかり見ているが、触る、触れる、接触機会を大事にしたい。生暖かいモノ、ざらざらしたモノなどアナログの力を信じている。ふるまいの可能性、言語化できない豊かさ、を建築で表したい。たくさんの人がその建物の中でふるまう・・・―体感や共振が生まれ、人が繋がって小さな社会が生まれ、それをより良くしたい。自分を出したいではなくて、その建物の建つ場所や使う人を主にしたデザインを心がけている。中村氏が「ふるまいの中から立ち上る感情という点で芝居に通じるかなと思う」に「全くそうです」と高橋さん。

埼玉県狭山の霊園で、中村氏が設計した2つの建物(礼拝堂と休憩棟)を見る。

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自然のままの場所に建てた集合住宅と広島尾道のリボンタワー(結婚式場)

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さて、スイッチ後は場所を変えて、明日28日(月)からNHK総合で3日間連続で放送されるドラマ岸部露伴は動かないの撮影で使われたという神奈川県葉山にある旧加地邸露伴を演じた高橋一生さんが中村氏を迎えてのインタビューです。

高橋一生さん、児童劇団に入っていて子役時代からの長い経歴。10代で大河デビューも果たし、3年前の大河ドラマ「女城主直虎」での家老の最期の場面の演技は記憶に新しい。最近ではベネツィア国際映画祭で監督賞に輝く映画「スパイの妻」で蒼井優さんの夫のスパイを演じている。

先ず演技論から。中村氏が「緻密に考えて…」「緻密であっても大胆さがないとつまらなくなる。壊したくなる衝動も生まれる」と高橋さん。「反射で出てきたものが本物という気がする。役にジャンプする感じ」中村氏「憑依する・・・」高橋さん「地続きのまま―自分のままでの役。どの役も、もしかしたら、なりえた自分

中村「我を消してしまいたいと仰っていましたね」高橋「我を消したいなりえた自分、相反していますが・・・。入れ替えることが出来る、人間てあいまい。あいまいな人間の心を、見ている人が加味することで変わってしまうものをやりたい。」

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「芝の上に居る――語れるもの、ワンメッセージで届かない、見ている人が参加して、どうとってもらってもOK. まず形とか行為があっての感情を大切にしたい。自分を"out of control"の状態にして、それを見せて感じてもらう。」

◎「いったい何のため?」という質問には、「芝居って何?」に対しては「自分の救済、かな。まず自分のため、結果的に救われているから」に中村氏も「誰かの為ではなく、まず自分があって幸せになるーその結果、ひとにも喜んでもらうですね」と同意。

◎「相手のどこを見る?」という質問に「足、足先かな」と高橋さん。

最後にシェイクスピアを日本の芝居に翻案した劇で極悪人を演じた高橋氏は、「完全無欠の悪人を演じたが、生い立ちを考えたり演じているうちに極悪人に見えなくなってしまった。悪いと言われる人ものっぴきならないことで悪人になってしまったと見える。想像力を持つことはいいことだと考えてくれる人が増えるといいなと思う。」

◎「今後のヴィジョン、展望は?」に、高橋さんは「役を通して表に出てきたものを、それぞれの主観で感じてもらう。主観というのは、他人の意見に影響されない自分自身の想像力のことで、主観がはっきりしていないと共有は出来ないと思うんですね。そういうことを、上から目線でもなんでもなくて、提示していけるようになればいいかなと思いますね。」

中村氏も「芝居を通してみんなが色んな想像力を持つようになったら、それは素敵なことだな~と思います。お芝居の可能性、楽しさが分かりました」。

対談が終わった後中村氏は「楽しかったです。ジャンルも違うし、話したことなかったし。自分の設計論って話したこともなくてかなり孤独だったんですけど、分かってくれる人がいたっていう喜びがあって面白かったのと、言葉にならない心の豊かさをどちらも大事にしているという体験がありました

高橋氏は「非常にあの~安心しました。人のことを考えてらっしゃる人に会ったという感じがしています。確実に人の心に伝わっていくものを建築でされている方だと思っていたので、ある側面そうでありたいと思える人に出会えてお話が伺えてよかったと思いますね」

不惑を迎えた高橋一生さんのお芝居の魅力がよく解るお話でした。他人に影響されない主観が確立していなければ共有できない・・・その通りですね。極悪人といえども想像力を働かせれば、生まれつきの「悪人」はいないというお話は、最近の決めつけかた、自分と切り離した「犯罪者」という捉え方は想像力の欠如という桐野夏生さんの記事(↓)に通じる内容でした。だから小説を読みなさい、お芝居を見なさい、想像力を養いなさいということですね。小説やドラマやお芝居、表現、文化の持つ力を見くびってはいけない。文化をおろそかにする人たちにぜひ分かってほしいことです。

 金曜デモと「『小説に追いつく不穏な社会』と『不寛容の時代』・桐野夏生」 - 四丁目でCan蛙~日々是好日~ (hatenablog.com)