ふたたび「借りぐらしのアリエッティ」

映画館とプールのあるヴィソラという商業施設への道路沿いに畑や田圃があります。
稲がすくすくと成長して青田になり、ミニトマトは宝石みたいに輝いています。

昨夜のNHKジブリ創作のヒミツ アリエッティの舞台裏 400日の密着ドラマ! 宮崎駿に挑む新人監督 巨匠の老い…涙のワケ」
「」内全部夕刊の番組欄をうつしました。いつからこんな週刊誌みたいな長い題がつくようになったのでしょうね。
まあ、内容はこの通りでした。大河ドラマ龍馬伝」の武市半平太を好演した大森南朋さんがナレーション。彼も父親が麿赤児さんで同じ俳優の道を歩んでいますので、一寸かぶってみえなくもない。で、69歳の監督が新人監督の誕生をハラハラしながら見守る内容に、すっかり惹きこまれてしまいました。
宮崎監督は10才年下の有能な才能の持ち主である同僚を12年ほど前に失っています。その時、育てたいという余りの熱意のために強圧的になって口出しし過ぎたという自責の念があって、今回は手も口も出すまいと、こらえている姿が気の毒なくらい。まるで妻の出産に立ち会うお父さん未満の夫みたいです。今回、産みの苦しみを味わうのは監督席に陣取る新監督米林宏昌、37歳。宮崎さんは代わってやるわけに行かないというのは重々承知の上なんですが、気が気でない、というのが手に取るよう。
それでも、思い余って一度だけ意見を言うと、抜擢した新監督は受け入れず自説を貫きます。しかし、貫き方が凄い!! 相手の指摘を取り入れながら乗り越える方法を一生懸命探って貫き通すのです。問題になったあのシーンは良く覚えています。新監督の狙いはとっても良かったと思います。少年が手を差し出すのは自然でしたし、涙をぬぐいコックリ頷きマナジリ決して差し出された手の上に乗る少女は、少年と立派に対等の人格をもった少女でした。ここから二人の協力による母親救出のシーンが山場、アリエッティの大活躍は痛快です。二人はこの苦難の克服の共同作業を通じてそれぞれ新しい自分を獲得する事に。そして別れが待っています。
試写会での監督の一筋の涙。新しい作品の誕生と、立派に期待にこたえた新しい待望の「監督・演出家」の誕生です。その喜びの涙だったのか、あるいは、ご本人が仰っていた二人の心情が良く出ていたので、少年翔とアリエッティの別れのシーンに涙されたのか。
原作がどんなストーリーなのかわかりませんが、映画を観る限り、二人の出会いと別れのラブストーリーではあります。そのうえ、一方は人間、もう一方は小人というわけで、これはかぐや姫のお話しですね。異界からやってきて、人間としばし共生するが、結局は元の異界へ帰って行くという。その共生の方法が「借り暮らし」というわけで、ここに地球環境と人間の暮らし方についての今日的メッセージ性が感じ取れるわけですが、メインとはならず、むしろ追われる有様です。
ただ、出会いから別れに至る二人の交流が丹念に細やかに描かれています。