62年経って初めて聞く原語の「ソルヴェイグの歌」

◎7月最初の金曜日の3日は原発再稼働反対の官邸前抗議のデモが復活再開の予定でしたが、東京都の感染者が100超の大増加で抗議行動は中止になったそうです。

来週10日以降についても情勢を見て判断とのこと、「特別な1日」さんのお知らせでした。コロナ対策と都知事選についての記事が読みごたえがありますので是非こちらで:

◎昨年私たちは結婚して50周年の金婚式を迎えました。両親のときは二人の郷里で盛大に孫たちや親せきが集まって金婚式のお祝いをしました。父が77歳、母、72歳。今から25,6年前のこと。当時は大きな節目の御祝い事でしたが、私たちは夕食時に今日は私たちの50周年と母に言って、そう、おめでとう!と母が祝ってくれて、いつもの小さなワイングラスで乾杯と言う簡単なものでした。

◎さてその51年前の新婚時代、二人で沼津の池の傍の宿舎から北側の雑木林や畑に向かって散歩に行くと夫が必ず歌った歌が2曲。 一つは夫が亡き(義)兄から教わったという曲で「さすらいの歌」あるいは「さすらう若人の歌」のタイトルで覚えているという歌でした。その曲は、思わぬところでベートーヴェンの歌曲だということが分かりました。このいきさつは8年前のブログで書きましたが亡き義兄が紙片に書いてくれたという歌詞がこれ↓

草も木も 枯れ落ち 肌を刺す風
旅の道 淋しく 今日もさすろう
かなたの野も山も 夕日に映えて
天地(あめつち)紅(くれない)に 夕べは厳(おごそ)か


波遠く はるかに 流れ漂い
あてもなき旅路を 今日もさすろう
緑濃き島浜(しまはま) 夕日に映えて
南の海辺は 麗(うるわ)し 今日も

 ◎今度はもう一つの歌「ソルヴェイグの歌」です。

夫は、高校時代音楽をとっていて音楽の教科書に載っていた堀内敬三詩詩作詞、グリーグ作曲の歌劇「ペールギュント」の中の一曲です。これはイプセンの「ペールギュント」から、旅に出て帰らぬペールを待つソルヴェイグの歌。いつも思い出したように何かあると歌いだすので私の耳にもなじんだ歌です。どうしてこんなに悲しい歌ばかり歌うのか…それは、不思議でした。ロマンチストだったのでしょうね。ボロボロの教科書を写真に:

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これも悲しげな曲ですが、6月24日のNHKの5分番組「名曲アルバム」でこの歌が取り上げられ夫は初めて原語の歌を聞いたのでした。高校1年生の15歳で初めてこの歌に出会ってから62年経っています。こんな歌だったのか~と感慨深げでした。

教科書から堀内敬三の詩を書き出してみます:

冬はゆきて 春過ぎて 春過ぎて

夏も廻りて 年ふれど 年ふれど

君が帰りを ただ我は ただ我は

誓いしままに 待ちわぶる 待ちわぶる

あー あー あー あー

あー あー あー あー

 

生きてなお 君世にまさば 君世にまさば

やがてまた 会うときや来ん ときや来ん

あまつみ国に ますならば ますならば

かしこに 我を 待ちたまえ 待ちたまえ

あー あー あー あー
あー あー あー あー 

NHK「名曲アルバム」の「ソルヴェイグの歌」画面から:

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冒険に旅立ったペール・ギュントを恋人ソルヴェイグは待ち続ける。

ノルウェーの東部のヴィンストラ村。生家は今も残る。

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◎これで、新婚時代をスタートした沼津の夕刻の散歩で歌ってくれた2つの歌の出自が明らかになりました。夫が調べないので私がパソコンで動画を探してみました。

原語で歌うセシルさんの歌を聴いていると、日本語で夫が歌っていた時に感じた悲しさや切なさとは別の響きに気づきます。恋人の帰還を信じて疑わず待ち続ける乙女の健気さや愛情の深さや強さを感じます。

◎素晴らしい歌声です:2011年のシセル・シルシェブー

 ◎同じシセルさんの1993年の歌唱:

◎日本語で:

◎夫にとってはタイトル通り62年ぶり、私にとっては初めて聞いたのが結婚した年でしたので51年ぶりに初めて聞く原語での「ソルヴェイグの歌」でした。

私の高校時代は音楽ではなくて美術でしたので、授業で習った歌の思い出は中学校の2年生の教科書ということに。「赤い花の帽子」という日本語の題で歌ったのがチャイコフスキーの曲でした。これを音符名で覚えていますのでオルガンやピアノがあれば片手で再現できます。もの哀しい短調の曲ですが、ルーツは何か。また何かの出会いで分かる時が来るかもしれません・・・